2人きりの反省会
「ふ、フィオナさん……本当に怒ってないんですぅ。ただ、その、あまりに恥ずかしくて……。ごめんなさい、お洋服まで焦がしちゃって……っ」
鈴が半泣きで謝り、フィオナが「いいのですわ……お姉様に焼かれたのなら、この焦げ跡も勲章ですわ……」とどん底の表情で呟くという、いたたまれない空気が流れます。
それを見かねたヒルダが、二人の肩を優しく叩きました。
「……二人とも、少し頭を冷やしましょうか。鈴殿、フィオナ王女殿下。とりあえず、もう一度温泉に入ってきてください。二人きりでゆっくりお話しすれば、きっと誤解も解けますから」
「そ、そうニャ! 裸の付き合いってやつだニャ! ミィアたちはここでカレンと一緒にお片付けしてるから、ゆっくりしてくるニャ!」
半ば押し出されるようにして、鈴とフィオナは再び大理石の温泉へと向かいました。
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ヒトミノジ別荘:貸切反省会温泉
湯気が立ち込める中、二人は少し離れてお湯に浸かりました。外の騒がしさが嘘のように静かな空間で、パチャパチャと水の音だけが響きます。
「……あの、フィオナさん。……本当に、怒ってないんです。ただ、私、昔から人に見られるのが……すごく苦手で……」
鈴が膝を抱えながら、消え入りそうな声で本音を漏らしました。
「あんなに立派な魔法の写真に、私の……その、変な顔が残ると思ったら、パニックになっちゃって……。レベルが上がってから、感情がすぐ魔力に出ちゃうんですぅ……」
フィオナは、お湯に浮いたリボン型の木桶を見つめながら、静かに答えました。
「……申し訳ありませんでしたわ、お姉様。わたくし、お姉様が嫌がっていることに気づきもしないで、自分の『欲しい』という気持ちだけを押し付けてしまいましたのね。……騎士たちに言われた通り、わたくし、愛が重すぎましたわ……」
「そ、そんなことないです……っ! フィオナさんが私を好きでいてくれるのは、すごく嬉しいんですぅ。……ただ、その、時々……ものすごい勢いで突進してくるから、びっくりしちゃうだけで……」
鈴がちょこんとフィオナの隣まで泳いでいき(Lv.449の移動速度は意外と速い)、勇気を出してフィオナの袖……ではなく、お湯の中の手をそっと握りました。
「……写真は、フィオナさんが大切にしてくれるなら……いいですよ……? その、変な顔のやつじゃなくて、今度……ちゃんとしたのを撮りましょうか……?」
「お、お姉様……! ほ、本当ですの!? 今、今『いい』と仰いましたのね!? しかも撮り直しまで……っ!!」
フィオナの瞳に、一瞬でいつもの輝きが戻りました。
「はい……。だから、もう泣かないでくださいね……?」
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現在の状況:温泉から上がった後
| 登場人物 | 状態 | 備考 |
| 桜井 鈴 | 【一安心】 | 王女をなだめることに成功。少しだけお姉さんらしくなった。 |
| フィオナ王女 | 【完全復活】 | 「お姉様との絆が深まりましたわ!」と鼻息が荒い。 |
| カレン | 【お出迎え】 | 風呂上がりの二人を、ふかふかのタオルを持って待機。 |
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「ふにゃぁ……。」
温泉から上がった鈴たちは、すっかり仲直り。




