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王女様の名前は❔

「……あ、あの、王女様。そんなに……お口を塞がなくても、大丈夫ですよ……?」


鈴は結界のすぐ手前まで歩み寄り、おずおずと声をかけました。王女が「はわわ……!」と目を白黒させているのを見て、鈴は少しだけ勇気を出して言葉を続けます。


「大声を出されたり、いきなり……抱きつかれたりするのは、ちょっと……その、心臓が止まりそうになっちゃうので嫌ですけど……。普通の声量でお話ししてくれるなら、私、大丈夫ですから……」


「……っ! お、お姉様……! もったいなきお言葉、身に沁みますわ……っ(ひそひそ)」


「えへへ。あ、それから……私、そういえば王女様のお名前、まだちゃんと伺っていませんでした……。教えていただけますか……?」


鈴はそう言うと、今朝カレンと一緒に海岸で見つけた、虹色に透き通る「星形のリボン貝」をそっと差し出しました。


「これ、よかったら……プレゼントですぅ。仲直り……と言いますか、ご挨拶のしるしに」


鈴が結界に手をかざすと、その部分だけがふわりと柔らかい光に包まれ、綺麗な貝殻がスゥーッと結界の外側へと通り抜けました。


「お、お姉様から……初めての……プレゼント……。しかも、私の名前を知りたいと仰ってくださるなんて……!」


王女は、震える手でその貝殻を受け取りました。瞳には感動の涙が溢れ、宝石のようにキラキラと輝いています。彼女は深呼吸をし、騎士団に説教された「適切な距離感」と「普通の声量」を全力で意識して、居住まいを正しました。


「……お姉様。改めて名乗らせていただきますわ。わたくしはセントシャイア王国第1王女、フィオナと申します。以後、お見知りおきを……!」


「フィオナ様……。素敵な、お名前ですね……」


鈴がふんわりと微笑むと、フィオナは「ああっ、お姉様が私の名前を……!」と気絶しそうなほどの幸福感に包まれました。大声を上げたい衝動を必死に抑え、貝殻を胸に抱きしめてプルプルと震えています。


---


現在の状況:結界の境界線


| キャラクター | 状態 | 備考 |


| 桜井 鈴 | 【安心】 | 王女が静かになったので、少しだけ心を開き始める。 |

| フィオナ王女| 【限界突破の幸福】| プレゼントの貝殻を家宝に決定。普通の声量を維持。 |

| カレン | 【ほっこり】 | 鈴の足元で、尻尾をゆっくり振って様子を見守っている。 |

| ヒルダ&ミィア| 【感動】| 「初めてまともな会話が成立したニャ……」と涙ぐむ。 |


---


「……ふふ。フィオナさん、よかったら……少しだけ、中に入りますか……? 立ち話も、なんですし……」


鈴のその一言で、フィオナの心臓は今日一番の激しい鼓動を打ちました。



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