表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
81/97

反省した❔な王女様

「……ふぅ。王女殿下も、あそこまで言われれば少しは身に沁みたでしょうか」


夜風に吹かれながら、ヒルダは手紙を書くための羊皮紙を手に、再びパステルカラーの結界を抜けて別荘へと戻りました。せめて鈴から「落ち着いてください」と一言あれば、絶望の淵にいる王女も少しは救われるはず……。


しかし、別荘のリビングに入ったヒルダが目にしたのは、あまりにも平和な光景でした。


「あらら……。皆さん、すっかり夢の中ですね」


そこには、カレンの巨大なモフモフをベッド代わりに、鈴とミィアが左右から挟まるようにして、スースーと幸せそうな寝息を立てていました。温泉で温まった体が心地よいのか、三人(二体と一人)とも一糸乱れぬ完璧な安眠。


「……これでは、今渡しても寝ぼけて爆発シャイニング・フレアされるだけですね。お手紙は明日の朝にしましょう」


ヒルダは苦笑いしながら、そっと毛布をかけ直し、自分も空いているソファで休息を取ることにしました。


---


翌朝:ヒトミノジ別荘


小鳥のさえずりと、窓から差し込む柔らかな朝日の光で、鈴がゆっくりと目を覚ましました。


「ふにゃぁ……。おはようございます、カレンさん……。……あ、ヒルダさん。おはようございますぅ」


「おはようございます、鈴殿。よく眠れましたか? 実は……昨夜、王女殿下が騎士団の皆さんにこっぴどく説教をされておりまして」


ヒルダは、昨夜のフィオナ王女の様子――「自分はお姉様に怖がられているのか」と涙目になっていたこと、そして今は反省して(?)結界の外で静かにしていることを丁寧に伝えました。


「えっ……。お、王女様が、私を怖がらせていたって、反省してるんですか……?」


鈴は驚いて目を丸くしました。あの、いつ会ってもキラキラと輝いて「お姉様ーーー!」と突進してくる太陽のような王女が、しゅんとしている姿。それを想像すると、人見知りの鈴も少しだけ申し訳ない気持ちになりました。


「……そ、それなら……。本当に反省してるのか、ちょっとだけ……こっそり様子を見に行ってみようかな……って……」


「それは良い考えですね。今の結界越しなら、鈴殿の姿は見えても、直接触れられることはありませんし」


鈴は勇気を振り絞り、カレンの背中に乗って別荘を出発。ヒルダと、ようやく起きてきたミィアを連れて、結界の境界線へと向かいました。


---


結界の境界線


「……はぁ。私、最低の妹ですわ……。お姉様を愛するあまり、お姉様の心を置き去りにしていましたなんて……」


結界の外では、王女が昨夜から一睡もせず(騎士団に止められたため)、地面に膝をついて項垂れていました。その姿にはいつもの覇気がなく、まるで雨に濡れた子犬のような哀愁が漂っています。


『……あ、あの……。王女様……?』


「!! ……っ、お、お姉様……!?」


鈴の声に、フィオナがガバッと顔を上げました。しかし、いつものように叫び出したり突進したりはしません。自分の両手で口を必死に押さえ、「大声を出してはいけない」と己を律しているのが、結界越しにも痛いほど伝わってきます。


「(も、もじもじ……)お、お姉様……。昨日は……うるさくして、申し訳ありませんでしたわ……。私……反省……いたしましたの……(ひそひそ声)」


蚊の鳴くような、今までに聞いたこともない小さな声で喋る王女を見て、鈴はパチクリと瞬きをしました。


「(……わぁ。本当に、すっごく静かになってますぅ……。これなら、怖くない……かも……?)」


---


現在の状況


| 登場人物 | 状態 | 備考 |


| 桜井 鈴| 【観察中】 | 王女の変貌ぶりに驚きつつ、少しだけ心の壁が緩む。 |

| 王女| 【超・静音モード】| 嫌われるのを恐れて、存在感を消す修行中。 |

| カレン | 【見守り】 | 鈴の影から王女をじーっと見つめている。 |


---


「……あ、あの、王女様。そんなに……無理しなくても、大丈夫ですよ……?」


鈴が少しだけ結界に近づくと、王女様の瞳にパァァッと希望の光が宿りました。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ