鈴夢の中何故か能力進化
「うぅ……ふにゃ……。だ、誰ですか……? そんなに大勢で、こっちを見ないでくださいぃ……。恥ずかしいですぅ……っ」
心地よい潮騒の中、カレンのモフモフに埋もれてお昼寝をしていた鈴は、少しうなされていました。夢の中で、彼女は王都の何百人もの群衆に囲まれ、キラキラした瞳で見つめられ、逃げ場を失っていたのです。
「こ、来ないで……。一人の時間が、欲しいんですぅぅ……っ!!」
鈴の強い「拒絶」の意志が、レベル319の膨大な魔力と共鳴しました。その瞬間、彼女が元々持っていたひきこもり専用スキルが、凄まじい光を放って変異を遂げます。
> 【絶世の人見知り】固有スキル進化!
> 【拒絶の小領域】 ⇒ 【絶対不可侵の聖域】
> 鈴が「安心できる」と認めた存在以外、物理的・魔法的・精神的、いかなる干渉も受け付けない結界を展開します。
> レベルが 20 上がりました!(Lv.319 → 339)
「ふにゃぁ……っ!」
鈴が飛び起きると、別荘の周りには淡いパステルトーンの、しかし鉄壁の強度を誇る結界がドーム状に広がっていました。この中に入れるのは、鈴の心が許したカレン、そして無言で尽くしてくれたヒトミノジの住人たち、そして大切な仲間のヒルダとミィアのみ。
「……はぁ。ゆ、夢でしたか……。でも、なんだか体がすごく軽いですぅ。レベル、また上がっちゃいました……?」
鈴はレベル339という、もはや神話の登場人物のような数値に気づきもせず、結界のおかげでさらに深まった「安心感」に包まれて、再びカレンの腕の中に顔を埋めました。
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一方その頃:港町ヒトミノジ近郊
「あともう少しですわ! あの湯気の根源へ、全速力で突撃いたしますわよ!!」
王女率いる騎士団一行は、ついにヒトミノジの町が目視できる距離まで到達していました。夕闇に包まれ始めた街道を、黄金の馬車が凄まじい速度で駆け抜けていきます。
「(……待っていてください、お姉様。もうすぐ、私が抱きしめて差し上げますわ!)」
王女の鼻息は荒く、その「愛(執念)」はもはや物理的な熱気を帯びていました。しかし、彼女はまだ知りません。鈴が進化させた結界によって、自分が「絶対に入れない対象」として真っ先にリストアップされていることに。
「……ニャ? なんだか、前方の空気が妙にピリピリしてるニャ……」
「……ええ。ただの港町とは思えない、神聖な魔力の波動を感じます。……」
ヒルダとミィアは、遠くに見える町を覆う「拒絶の気配」に、嫌な予感(と鈴への同情)を隠せないのでした。
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現在のステータス(ヒトミノジ別荘)
| キャラクター | レベル | 状態 / 備考 |
| 桜井 鈴 | 339| [能力進化] 絶対不可侵の聖域を展開中。 |
| カレン | 測定不能 | 鈴と一緒に結界内でまったり。 |
| 王女 | 鼻歌交じりに進撃中(※結界により門前払いの予定)。 |
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「……ふふ、カレンさん。なんだか、とっても静かで……誰も入ってこれないような、素敵な予感がしますぅ……」
鈴は再びウトウトし始めました。最強の「拒絶」を盾に、彼女の静かな休日は守られるのでしょうか。




