湯気それは愛のサイン⁉️
「……南の空にあのような雲が!」
アステリアを出発して数時間。フィオナ王女が指差した先、南の地平線付近に、湯気がもくもくと立ち上っていました。
「……あれは、雲……でしょうか? それとも、誰かが助けを求めて信号を送っているのでしょうか?」
ヒルダは不思議そうに目を細めました。彼女たちはまだ、隠れ家に突如湧き出た「温泉」の存在を知りません。
「ニャ、ニャー……。あんな派手な煙を出す魔物なんて聞いたことないニャ。もしかして、どこかの村が火事とか……?」
ミィアが不安げに耳をぴくぴくと動かします。
「いいえ! あれはお姉様……私を呼んでいるのですわよ、きっと!!」
「……はぁ、また始まった……。ですが、異常事態なのは間違いなさそうです。急ぎましょう、王女殿下!」
ヒルダたちは、まさかその煙が「鈴がのんびりとお風呂を沸かした湯気」だとは夢にも思わず、警戒態勢を強めて南へと急ぐのでした。
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一方その頃:港町ヒトミノジ・別荘
空に「温泉の湯気」を盛大にぶっ放している張本人の鈴は、そんな外界の緊迫した空気など、潮風と一緒にどこかへ吹き飛ばしていました。
「ふにゃぁ……。カレンさん、見てください……。海の青さが、私のいた世界の海よりもずっと、キラキラして透き通ってますぅ……」
鈴はカレンのモフモフした背中に寄りかかり、新築別荘のベランダから広がる大海原にうっとりとしていました。
「……水平線の向こうには、何があるんでしょうね。……でも、今はいいです。こうしてカレンさんと一緒に、波の音を聞いているだけで、心が洗われるようですぅ……」
温泉の湯気が溢れ出し、煙突から出た湯気が空を飾っていることにも気づかず、鈴は穏やかな午後のひとときを満喫していました。
> 現在のステータス:
> 【心のリフレッシュ】完了!
> 鈴の精神状態が安定し、周囲の結界がさらに強固になりました。
「……あ。カレンさん、また職人さんが『リボン付きの貝殻』を置いていってくれましたよ。えへへ、お礼に今度、何かお裾分けできたらいいですね……」




