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ヒルダとミィアの安堵

「ふふふ……! ついに完成いたしましたわ! お姉様をお迎えする準備は万端ですわよ!」


アステリアの街外れにそびえ立つ『黄金パジャマ宮殿』の落成式(自称)を終えた王女は、満足げにそのキンキラキンの光景を眺めていました。しかし、肝心のお姉様――鈴の姿がありません。


そこへ、街の住人から耳寄りな情報が寄せられました。


「王女殿下! 先ほど、鈴様らしき方が巨大な……それは立派なリボンをつけたクマさんに乗って、街を出ていくのを見たという者がおります!」

「なんですって!? それは間違いなくお姉様とカレンですわ! どちらへ向かわれましたの!?」

「それが……南の方角だとは思うのですが、あまりに速くて、しかも魔物のリボンベアーと一緒だったので、見間違いではないかと皆、確信が持てずにいたようで……」


それを聞いた王女は、ガタッと立ち上がりました。


「お姉様が南へ!? 理由などどうでもよろしい! 今すぐ追いかけますわよ!!」

「おいおい、待て。南っつったって、この先には広大な森もあれば港町だっていくつもあるんだぞ。どこに向かったかも分からねぇのに、闇雲に飛び出してどうするんだ」


ガラムは呆れ果てて、耳をほじりながら鼻で笑いました。


「そんなの、お姉様への愛を辿れば自ずと道は見えますわ!」

「……チッ、勝手にしろ。俺はもう御免だ。王都からの任務は『アステリアまでの護衛』だったはずだ。宮殿建設にまで付き合わされて、俺の体力はもう限界なんだよ。俺は行かねぇぞ」


ガラムは「めんどくせぇ」と吐き捨てると、隣にいたヒルダとミィアを指差しました。


「おい、お前ら。元々は鈴の連れだろ? この暴走王女についていってやれ。俺はギルドの椅子で泥のように眠らせてもらうぜ」


「……は、はい。承知いたしました(……ひとまず、隠れ家の場所がバレずに済んで本当に良かったですニャ……)」

「(ええ……王女殿下の関心が『南の方角』に逸れてくれたのは幸運でした。鈴殿を連れ戻すふりをして、時間を稼ぎましょう)」


ヒルダとミィアは顔を見合わせ、心底ホッと胸をなでおろしました。こうして、王女を先頭に、不本意ながらも「鈴捜索隊」が南へと出発することになったのです。


---


一方その頃:港町ヒトミノジ・別荘


そんな王都やアステリアの大騒動など、今の鈴には遠い世界の出来事でした。


「ふにゃぁ……。カレンさん、見てください。窓から見える海が、とってもキラキラして綺麗ですぅ……」


完成したばかりの別荘は、防音完璧、日当たり良好、そして何より「他人の気配が一切しない」という、鈴にとってのパラダイス。職人さんたちが気を利かせて作ってくれた、海を一望できる隠しベランダで、鈴はカレンのモフモフの腹を枕にしてゴロゴロしていました。


「カレンさんのお部屋の温泉、もう一度入りましょうか? それとも、職人さんが置いていってくれた『海の幸リボン弁当』を食べましょうか……。あぁ、幸せすぎて溶けちゃいそうですぅ……」


「クゥ~~ン♪」


鈴は、数日後に「愛の重い妹」が南下してくることなど露知らず、人生で最高の休日を満喫するのでした。


---


現在の状況


| 陣営 | 状態 | 備考 |


| 鈴&カレン | 【極上のひきこもり】| 第2の隠れ家で、外界の悩みをすべて忘れてリラックス中。 |

| 王女捜索隊 | 王女(猛進)、ヒルダ&ミィア(隠れ家を守るため同行)。 |

| ガラム | 【ストライキ中】 | ギルドの自室に鍵をかけ、爆睡モードへ。 |



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