別々の場所で始まる建設
「ここに、第2の隠れ家があったらいいなぁ……なんて」
カレンの秘密基地(洞窟)の中で、鈴がポツリと独り言を漏らした、その時でした。
「……そ、その願い……。我々が……引き受け……ましょう……」
岩陰や茂みから、港町「ヒトミノジ」の住人たちが、カサカサ……と音を立てて現れました。彼らは相変わらず鈴と目を合わせようとはしませんが、その手にはノコギリやカンナ、そして最高級の建築資材が握られていたのです。
「えっ!? あ、あの、皆さん……!?」
「……あ、あまり……喋らなくて……いいです……。我々も……人付き合いは……苦手ですが……。可愛いものを……愛でる同志と……その主のためなら……最高の『ひきこもり空間』を……作ってみせます……」
鈴には特別な技術も知識もありませんでしたが、その「ボソッ」とした呟きは、同じ気質を持つ職人たちの魂に火をつけたようです。
「……ま、窓は……極力……小さく……。壁は……厚く……。入り口は……カモフラージュ……。……分かります……。我々も……そうしたいですから……」
職人たちは鈴に一切のプレッシャーを与えないよう、無言で、かつ驚異的な手際の良さで建築を開始しました。鈴が「あの……」と声をかけようとすると、彼らは「……っ!(喋らなくていい、分かっている)」という風に親指を立て、黙々と作業に没頭します。
「ふにゃぁ……。なんだか、言葉がなくても通じ合っている気がしますぅ……。カレンさん、皆さんにとっても親切にしてもらえて、嬉しいですね……」
「クゥ〜〜ン♪」
カレンもお礼のつもりか、住人たちが運んできた材木を巨大な腕で軽々と支えたりして、建設をサポートし始めました。
---
一方その頃:アステリアの街外れ(王女側)
「ふふふ……! 素晴らしいわ! この金箔の柱、お姉様にぴったりですわ!」
フィオナ王女の指揮のもと、空き家はもはや「爆速魔改造」によって、街のどの建物よりも高く、派手に、キラキラと輝き始めていました。
「……おい、ヒルダ。これ、どう見てもあの娘の好みじゃねぇよな?」
「……ええ。鈴殿なら、このキンキラキンを見た瞬間に顔を真っ赤にして、吹き飛ばす(シャイニング・フレア)かもしれません……」
ガラムとヒルダは、完成に近づく「豪華すぎる偽装ハウス」を見上げながら、戦々恐々としていました。
「休憩は終わりですわ、皆さん! 仕上げに、屋根の上に私の特注の純金像を立てるのですわ! お姉様への愛の結晶ですわよ!」
---
現在の状況
| 場所 | 状況 | 備考 |
| 港町ヒトミノジ近郊 | 【究極のひきこもり別荘】| 恥ずかしがり屋職人たちによる、無言の超速建設。 |
| アステリアの街外れ| 【超・豪華キンキラ宮殿】 | 王女の愛が暴走中。もはや街のランドマークに。 |
| 鈴の様子| 【平和そのもの】 | 職人さんたちとお辞儀(無言)でコミュニケーション中。 |
---
「……あ、あの、職人さん。ここに……カレンさんが温泉に入れるくらいの……大きなお風呂も、作れますか……?」
鈴が控えめにリクエストすると、職人たちはガタッと立ち上がり、深く頷きました。
どうやら、ヒトミノジの技術の粋を集めた「第2の隠れ家」は、快適さを備えようとしています。




