リボンベアーさんの名前は…
「……落ち着くのだ。お前が一人で飛び出せば、また護衛の騎士たちが心労で倒れてしまう……」
王宮の謁見の間で、国王は深いため息をつきました。先日、(多くの騎士を失ったばかりの王にとって、王女の暴走は国家的な危機に等しいものでした。)
「ガラム! おるか! ガラムを呼べ!!」
王の呼び出しに応じ、面倒そうに現れたのは、ザルキスを投獄し終えたばかりのガラムでした。
「王様、俺は今しがた大きな仕事を終えたばかりなんだが……」
「ガラムよ、頼む。このワガママ娘をアステリアまで護衛してくれ。お前なら勝手も封じられよう。このままだと、お転婆な娘を止めようとして、また優秀な騎士が再起不能になりかねんのだ……!」
「……チッ、王都にきたから観光したかっただが。……分かったよ、引き受けた」
ガラムは、再び嵐が巻き起こる予感に頭を掻きながら、王女の護衛という厄介な任務を承諾するのでした。
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アステリア:猫神様の隠れ家
一方、そんな騒動が王都で起きているとは露知らず。
鈴は、お腹いっぱいになって玄関先で丸まっているリボンベアーを眺めていました。
「……あの、リボンベアーさん。いつまでも種類のお名前で呼ぶのも、なんだか寂しいですよね」
「クゥ~ン?」
リボンベアーが首を傾げ、つぶらな瞳で鈴を見つめます。鈴はうーんと悩みながら、自分のマジックバッグに入っているリボンや、このクマの愛らしさにぴったりの言葉を探しました。
「……決めました! あなたのお名前は『可憐』です!」
「……カレン、ですか? 響きはとても美しいですが、鈴殿、それはどういった意味なのですか?」
隣で茶を飲んでいたヒルダが、不思議そうに尋ねました。こちらの世界ではあまり聞き慣れない言葉だったようです。
「えへへ……。私の元いた世界では、『可愛い』とか『愛らしい』と似た意味の言葉なんです。リボンが似合う、今のあなたにぴったりだと思って……」
「カレン……。なるほど、『愛らしく、守りたくなるような美しさ』……。今の彼女には、まさに相応しい名ですね」
「ニャー! 良い名前だニャ! これで僕たちのパーティに新しい仲間『カレン』が正式加入ニャ!」
鈴が「カレンさん」と呼ぶと、リボンベアー改めカレンは、嬉しそうに鈴をモフモフの腕で抱きしめました。
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現在のステータス(隠れ家・団欒中)
| キャラクター | レベル | 状態 / 備考 |
| 桜井 鈴 | 319| 命名:カレン。少しずつ新しい世界に馴染み中。 |
| カレン | 測定不能 | [祝・命名]鈴のことが大好き。 |
| ヒルダ | 鈴の言葉選びのセンスに感銘を受けている。 |
| ミィア | おこぼれのお肉で毛並みがツヤツヤ。 |
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「ふにゃぁ……。お名前も決まりましたし、今日はお家でゆっくりしましょう……」
平和な時間が流れる隠れ家。しかし、アステリアの街には今、最強のワガママ王女と、不機嫌なギルドマスターが刻一刻と近づいていました。




