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任務完了と爆速のリボンベアー

「ふ、ふぇ……。正面から帰るのは無理そうです……。なら、新しく覚えた『お水』の魔法で、霧を作って隠れて……えいっ!」


鈴がプルプル震える手で魔法を発動しようとしたその時でした。


「クゥ~ン♪」


鈴の意図を察したのか、あるいは単に「鈴を連れて帰りたい」と思ったのか、リボンベアーが鈴の襟首を優しく甘噛みして、ひょいっと自分の広い背中に乗せました。


「ふぇっ!? リ、リボンベアーさん!? 何を……ひゃわわわわわっ!?」


鈴が悲鳴を上げる間もなく、リボンベアーは強靭な後ろ脚で地面を蹴りました。


――ドォォォォン!!


「なっ、飛んだ……!?」

ガラムが目を見開きます。リボンベアーは、集まった群衆の頭上を遥か高く飛び越え、王都の巨大な城壁すらもひとっ飛びで越えてしまいました。


「ちょっ、鈴! 置いてかないでニャーー!!」

「鈴殿ー! そちらはアステリアの方向ですよーー!!」


地上では、ミィアが短い足で必死に追いかけようとし、ヒルダが呆然と空を見上げて叫んでいます。しかし、Sランク魔獣の脚力は凄まじく、二人の姿は一瞬で豆粒のように小さくなっていきました。


「……ミ、ミィアさぁぁぁん!! ヒルダさぁぁぁん!! お、置いていかないでぇぇぇ!!」


鈴はリボンベアーのモフモフの毛にしがみつきながら、空中で涙を流します。しかし、リボンベアーは鈴が「おうちに帰りたい」と言っていたのを覚えているのか、一直線にアステリアの方向へ、風を切って爆走を始めました。


---


現在の状況:アステリアへの強行軍(空中)


| 項目 | 内容 |


| 鈴の移動速度| マッハ級(リボンベアー特急)。 |

| 同乗者| なし(ミィアとヒルダは王都に置き去り)。 |

| 所要時間 | 馬車で数日の距離を、数時間で踏破しそうな勢い。 |


---


「は、速いですぅぅ! 目が開けられませんぅぅ!! ……でも、あのおじさんもいないし、人もいないし……なんだか、とっても静かですぅ……」


風の音しか聞こえない上空で、鈴は次第に恐怖よりも、リボンベアーの背中の安心感に包まれていきました。


数時間後。

アステリアの街を華麗にスルーし、リボンベアーは鈴の「隠れ家」がある森の奥深くへと着地しました。


「ふにゃぁ……。つ、着きました……。わ、私のお家です……」


鈴がフラフラと背中から降りると、リボンベアーは「やりきった!」と言わんばかりに胸を張り、鈴の隠れ家の玄関横にドカッと座り込みました。どうやらここを、自分の新しい定位置(お昼寝場所)に決めたようです。


「……えっと。とりあえず、お家の中に入って……あ。お肉。お肉と特製ソース、早く食べなきゃ……」


鈴は置き去りにした二人を心配しつつも、目の前の「静かな我が家」と「特製ソース」の誘惑に勝てず、ふらふらと玄関のドアを開けるのでした。



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