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黒幕の安堵と帰りたい鈴

「……あ、あうぅ。やっと……やっと着きましたぁ……」


人だかりをかき分け、ようやく王都の冒険者ギルド本部の重厚な扉の前に辿り着きました。鈴はリボンベアーのモフモフに顔を埋めたまま、精根尽き果てた様子でフラフラしています。


ガラムがザルキスを縛り付けていた縄を掴み、ギルドの地下にある「対魔導師用特別拘留牢」の前に彼を立たせました。


「さて、ザルキス。ここがお前の終着駅だ。これからは王国の魔法騎士団とギルドの厳しい尋問が待っているからな。覚悟しろよ」


ガラムが威圧感たっぷりに告げましたが、ザルキスは怯えるどころか、むしろ救い主を見るような目で牢獄を見つめていました。


「……あ、あぁ……鉄格子……。冷たい石壁……。なんて安心するんだ……!」


ザルキスは鈴の方をチラリと見ました。そこには、恥ずかしさのあまり顔から蒸気を噴き出し、ミィアに頬をペシペシ叩かれながら、背後でSランク魔獣を侍らせている「歩く天災」の姿があります。


「……あんな恐ろしい少女と同じ空気を吸い続けるくらいなら、一生暗い牢獄にいた方がマシだ! 悪さなんて、もう二度と考えない! 計画も、裏の繋がりも、全部、全部洗いざらい吐くから……だからお願いだ! 早く僕をこの檻の中に閉じ込めてくれぇぇぇ!!」


ザルキスはガラムが鍵を開けるのも待たず、自分から開いた檻の隙間に猛ダッシュで飛び込みました。


「おい、待て、自分で入る奴があるか!」


「閉めろ! 早く閉めるんだ! 鍵を二重にかけてくれ! 彼女が……彼女がこっちを見ないうちに!!」


ガチャン!! と牢の扉が閉まった瞬間、ザルキスは床に膝をつき、人生で一番の安堵の表情を浮かべて十字を切りました。


---


護送任務:完了


| 項目 | 結果 |


| 任務ステータス| 大成功(犯人が進んで自供・投獄を希望)。 |

| 黒幕ザルキスの状態| 【更生(物理的恐怖による)】 二度と悪事は働かないと魂に誓う。 |

| 鈴の状態| 【極限疲労】 あとは帰るだけ、という一心で立っている。 |


---


「……なんだか、拍子抜けしちまったな。あいつ、あんなにやる気満々で自白を始めるとは」

ガラムが呆れたように頭を掻きます。


「……よ、よかったです。これで、私の役目はおしまいですね……? ギルマスさん、私……もう帰ってもいいですか……?」


鈴が消え入りそうな声で尋ねると、ヒルダが優しく微笑んで肩を叩きました。


「ええ、本当にお疲れ様でした、鈴殿。……ですが、外にはまだあなたの姿を一目見ようという群衆が溢れています。正面から帰るのは難しそうですね」


「ふぇっ!? ……そ、そうだ! 私、新しく『お水』が出せるようになったんです! これを使って……」



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