盗賊団と恐怖の光景
「ふにゃぁ……リボンベアーさん、今日は一段とモフモフですね……」
最強のモフモフ枕でぐっすり眠り、心身ともにリフレッシュした鈴。
一行が「迷いの森」を抜け、王都の城壁が遠くに見え始めた頃でした。
不穏な気配が周囲を包みます。
「……おい、止まれ。前方と左右に殺気だ。……数が多いな。100は下らねぇぞ。どうやらこの辺りを根城にしてる大規模な盗賊団のお出ましだ」
ガラムが大剣の柄に手をかけた、その時です。
「――っ!? 鈴殿、リボンベアーが!」
ヒルダの叫び声と同時に、今まで鈴の隣で甘えていたリボンベアーが、凄まじい速度で茂みへと飛び込みました。その動きは、巨大な体からは想像もできないほど俊敏でした。
「ふぇっ!? リ、リボンベアーさーーん! どこ行くんですかぁぁ!? 置いてかないでくださいぃぃ!!」
大好きなシェルター(モフモフ)がいなくなり、鈴はパニック状態でリボンベアーを追いかけます。ガラムとヒルダ、そしてザルキスを引きずりながら、一行が森の開けた場所へ辿り着くと……。
そこには、世にも奇妙な光景が広がっていました。
「……な、なんだこりゃあ……」
ガラムが絶句します。
そこには、武装した盗賊団100名あまりが、文字通り「全員のされている」地獄絵図……いえ、ぬいぐるみによる制裁現場がありました。
リボンベアーは、自分の収集癖を邪魔しようとした(あるいは鈴を狙おうとした)不届き者たちを、一瞬で叩き伏せたようです。しかし、激しい戦闘のせいか、自慢の真っ白な毛並みには泥や汚れがベッタリとついていました。
「……あうぅ……。こ、この人たち、みんな倒れてますぅ……。こんなにたくさんの人が転がってるなんて……ひっ!」
鈴は転がっている100人もの「他人の姿」と、それらを一掃したリボンベアーの強さに改めて戦慄しました。
> 【絶世の人見知り】発動!!
> 対象:のされている盗賊団(約100名)。
> 「100人もの人間に囲まれている(倒れているけど)」という圧迫感を検知。
> レベルが 20 上がりました!(Lv.259 → 279)
さらに、急激なレベルアップに伴い、鈴の脳内に直接スキルがインストールされます。
> 新能力【清らかなる水】を習得しました。
> ※使用者の魔力に応じた純度の高い水を生成・操作できます。
「あ……。お水……。お水が出せます……」
鈴は、泥だらけになったリボンベアーを見て、胸を痛めました。
「リボンベアーさん、私を助けてくれたんですね……。それなのに、こんなに汚れちゃって……。……よし。えいっ!」
鈴が手をかざすと、新能力によって生み出された清らかな水が、温かいシャワーとなってリボンベアーを包み込みました。
「クゥ〜〜ン♪」
鈴が丁寧に水を操って洗ってあげると、リボンベアーの毛並みは以前よりもさらに真っ白に、フワフワに輝き始めました。
「……おいおい。大規模な盗賊団を全滅させた直後に、洗濯かよ。……お前さんの常識のなさは、王都に着く頃には伝説になってるぜ」
ガラムは乾いた笑いを漏らし、再びザルキスを引きずって歩き出しました。
---
### 現在のステータス(王都近郊)
| キャラクター | レベル | 状態 / 備考 |
| 桜井 鈴 | 279 / 999 | (+20 Up / 水魔法使いデビュー) |
| リボンベアー | 測定不能 | (洗ってもらってピカピカ) |
| ヒルダ| (盗賊の惨状を見て引き気味) |
---
「さあ、鈴殿。王都の正門はもうすぐそこです。……その巨大なクマさんをどう説明するか、今から考えておいたほうが良さそうですね」
「……うぅ。お水で洗うので精一杯で、そんなこと考えてませんでしたぁ……」




