鈴黒幕と対面
ガラムに引きずられるようにして正門までやってきた鈴は、そこで柵に縛り付けられている男――ザルキスと対面しました。
「……ひっ!? だ、誰ですか、このボロボロで怖い人は……!」
鈴がビクッとして後ずさりした瞬間、それ以上に激しい反応を見せたのはザルキスのほうでした。
「あ……あ、あああああッ!! 出た、出たぁぁぁ! 猫耳の悪魔だぁぁぁ!!」
ザルキスは白目を剥き、縛られたままガタガタと歯を鳴らして泡を吹き始めました。前回の戦い(?)で、鈴が無意識に放った「根源的な恐怖」を魂に刻み込まれている彼は、鈴の顔を見ただけで精神が崩壊寸前です。
「……おい、爆炎娘。お前、こいつに一体何をしたんだ? さっきまで死んだ魚のような目をしてた男が、お前の顔を見た途端に発狂しやがったぞ」
ガラムが不審そうに鈴をジロリと見ます。
「わ、私、何もしてません! 初対面です! 誰ですかこの人! 怖い、怖いですぅぅ……!!」
鈴は恐怖と「え、私が何かしたって疑われてる!?」という恥ずかしさで顔がリンゴのように真っ赤になりました。すると、彼女の周囲の温度が急上昇し、ボフッ!と頭から煙が上がり始めます。
「ひ、ひえぇぇ! 見ないでくださいぃぃ!! 【赤面爆炎】!!」
「ニャーー! 鈴、落ち着くニャ! 照れ隠しで街の門を焼き落としちゃダメだニャ!!」
ミィアが慌てて鈴の顔を前足でペシペシ叩いてなだめます。レベル251の鈴が放つ「恥ずかしさの爆発」は、今や一撃で森を更地にするほどの熱量を秘めていました。
一方、その騒ぎの横で、ヒルダは柵に縛られた男を食い入るように見つめていました。
「……? いえ、待ってください。ガラム殿、この男の顔……どこかで見覚えがあります」
「なんだ、ヒルダ。お前の知り合いか?」
「いえ、そうではありません。……先日、私たちが王都の地下のダンジョンで『守護者』と戦った際、あのコアを守っていた魔導師の姿……。……そうです、この男の顔、あの時の男と瓜二つです!」
ヒルダの鋭い指摘に、ガラムがザルキスの顔を掴んで強引に上を向かせました。
「ほう……王都の地下にいたこいつの分身ってわけか。なるほど、道理で爆炎娘を見て腰を抜かすわけだ。地下でお前にコテンパンにされた記憶が魂に染み付いてるんだな」
「……あ、あうぅ……。そ、そういえば、あんな感じの人がいたような、いなかったような……。でも、やっぱり怖いですぅ……っ」
鈴は「自分が倒した相手」だと言われても、怖かった記憶しかないので、特製ソースの瓶を抱きしめたままガタガタと震えています。
> 【絶世の人見知り】発動!!
> 対象:ガラム、ザルキス、門番(計5名)。
> 「自分が倒した相手と再会し、しかも爆炎を撒き散らした気まずさ」を検知。
> レベルが 4上がりました!(Lv.251 → 253)
---
### 現在のステータス(アステリア・正門)
| キャラクター | レベル | 状態 / 備考 |
| 桜井 鈴 | 253/ 999 | (+2 Up / 顔がまだ赤い) |
| ヒルダ | (騎士の洞察力で正体を見破る) |
| 黒幕ザルキス | 測定不能 | (鈴の赤面爆炎の熱気で干からびそう) |
---
「……よし、確定だ。こいつは王都へ連行して、地下の事件との関わりを徹底的に洗う必要がある。おい爆炎娘、お前のその『恥ずかしがり』は護送中のいい牽制になる。後ろからしっかり付いてこい!」
「う、うぅ……。せっかく買ったソース、お家でゆっくり味わいたかったのに……。ひきこもりたい……帰りたいですぅ……」
鈴は半泣きになりながら、ガラムに急かされて王都への道を一歩踏み出すのでした。




