究極の帰巣本能(ホーム・シック)
「……お姉様、お姉様の別荘のカーテンは、やはり王家御用達のベルベット生地が……」
「……あ、あぅ……あ、うぅ……。……おうちに……誰もいない、静かな私のおうちに……帰りたいですぅぅぅ!!」
王女の「お友達攻撃」が限界を超え、鈴のMP 999が彼女の切実な願いに呼応しました。
――ドォォォォォン!!
鈴の足元から眩い光が溢れ出したかと思うと、鈴の左右にいたミィア、そして「鈴殿、落ち着いて!」と肩に手を置いていたヒルダの三人を飲み込み、一瞬にしてその場から姿を消してしまいました。
「……えっ? お、お姉様……?」
「救世主殿も、ヒルダも、猫殿まで……消えた……!?」
静まり返る王宮の謁見の間。王女は空をつかんだまま呆然と立ち尽くし、国王や近衛兵たちは、伝説の転移魔法すら超える「神隠し」のような現象に、ただ口を開けて固まることしかできませんでした。
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## 我が家:猫神様の隠れ家
「……ふぇ? ……あ、あぁ……。……畳。畳の匂いがしますぅ……」
気がつくと、鈴は自分の部屋のど真ん中に座り込んでいました。隣には、一緒に転移に巻き込まれて目を回しているミィアと、呆然と部屋を見渡しているヒルダが。
「……にゃ、ニャにごとだニャ……。鈴の『帰りたさ』が時空を捻じ曲げたニャ……」
「……ここは? 鈴殿、ここは一体……? 先ほどまで王宮にいたはずでは……」
鈴は速攻で窮屈なドレスを脱ぎ捨て、クローゼット(押入れ)から愛用の猫装備を取り出して着替えました。マジックバッグから王宮の焼きたてステーキを取り出し、畳の上でゴロゴロしながら頬張ります。
「ふにゃぁ……。やっぱりお家が一番。ドレスなんて二度と着ませんぅ……」
> 【絶世の人見知り】発動!!
> 対象:仲間内(ヒルダ、ミィア)。
> 「誰にも見られていない、幸福」を検知。
> レベルアップは発生しません。代わりに精神の安定を得ました!
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## 一方その頃、アステリアの街・牢獄
「……おい、立て。出発だ」
冷たい声に顔を上げた黒幕・ザルキスは、やつれ果てた顔でギルドマスター・ガラムを見上げました。
「……ぼ、僕をどこへ……?」
「王都だ。君を魔法騎士団に引き渡す。……だが、困ったことにな。君の仕掛けた魔物暴走のせいで、護衛に回せる腕利きの冒険者が一人も残っていないんだ」
ガラムは不機嫌そうに大剣を背負い直しました。
「仕方がない。俺が自ら、お前を王都まで護送してやる。……逃げようなんて思うなよ? 俺はあの娘ほど甘くはないからな。……何せ、あの子は今、王都で王女と仲良く茶会でもしてやがるだろうからな」
ガラムは鼻で笑いましたが、彼が知らない真実。それは、鈴がすでに王宮を「音速」で脱出し、パジャマ姿で肉を食べているという事でした。
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### 現在の状況
| 登場人物 | 状況 |
| 鈴| Lv.209。自宅でパジャマに着替え、幸せの極致。 |
| ミィア | お土産のお肉を食べて「王宮最高ニャ」と手のひらを返す。 |
| ヒルダ| あまりの居心地の良さに毒気を抜かれる。 |
| 黒幕ザルキス | ガラムに引きずられ、王都へ。 |




