王女様とお買いもの
「わぁ……! すごいです、キラキラしてて……とっても可愛いですぅ……!」
王女に連れられて入ったのは、王都でも指折りの品揃えを誇る高級アクセサリー店でした。店内には、宝石を散りばめたブローチや、繊細な細工のネックレスが所狭しと並んでおり、可愛いものが大好きな鈴は、人見知りも忘れて思わず目を輝かせました。
「お姉様、お気に召しましたか? ぜひ、お姉様に似合うものを探しましょう!」
「は、はい……! あの、このリボンのついた髪飾りとか、こっちのフリル付きのピンとか……猫装備の耳のあたりにつけたら、絶対可愛いと思うんです……っ!」
鈴は夢中になって、いくつかお気に入りのリボン付きアクセサリーを選び、カウンターへ持っていこうとしました。しかし、そこでハッと現実に引き戻されます。
(……あ。わ、私、カバンを持ってきてません……。急に連れてこられたから、お財布も、一銭も持ってないですぅぅ!!)
鈴の顔が、期待から一転して真っ青になりました。
「あの、王女さま……すみません。私、お金を持ってくるのを忘れてしまって……。やっぱり、今日は見るだけにします……っ」
恥ずかしさで消え入りそうな声で言う鈴に、王女は事も無げに、そして満面の笑みで答えました。
「お姉様、何を仰いますの? お金のことなら心配いりませんわ。わたくしが全てお出ししますもの!」
「えっ!? そ、そんなの悪いです! 結構なお値段しますし……!」
「いいえ! お姉様はわたくしの命の恩人であり、大切なお友達ですわ。これくらい、当然のお礼です。……店主! お姉様が選んだもの全てと、わたくしが選んだこのブローチも。全部まとめてわたくしの付け届けにしておいてくださいな!」
「ははっ! かしこまりました、王女殿下!」
「ええええっ!? ぜ、全部ですかぁぁ!?」
鈴が止める間もなく、可愛らしいリボンたちが次々と高級な箱に収められていきました。
> 【絶世の人見知り】発動!!
> 対象:王女、店主、店内の客(計5名)。
> 「王女に貢がれる(プレゼントされる)」という恐縮すぎる状況を検知。
> レベルが 4 上がりました!
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現在のステータス(アクセサリー店)
| 項目 | 数値 | 状態 / 備考 |
| 名前| 桜井 鈴 | 【恐縮と歓喜の混濁】|
| レベル | 169/ 999 | (+4 Up) |
| MP| 900/ 999 | |
| 所持品| 大量の可愛いリボン付きアクセサリー| (王女からの贈り物) |
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「ふふ、お姉様、とってもお似合いですわ! さっそく一つ、つけて差し上げますね」
王女は嬉しそうに、鈴の猫耳フードの横に真っ赤なリボンをあしらいました。
「ふにゃぁ……。あ、ありがとうございます……。……なんだか、申し訳ないですけど、すごく嬉しいです……」
鈴は照れくさそうに、でも大切そうにリボンに触れました。レベル169。もはや魔王すら一撃で屠れる力を持ちながら、彼女を一番笑顔にしたのは、友達からもらった小さなリボンでした。
「ニャ! 鈴、良かったニャ! 僕もあそこの魚の形のブローチが欲しいニャ!」
「ミィア、我慢しなさい! ……全く、姫様も太っ腹すぎます……」
ようやく追いついたヒルダとミィアも、リボンをつけて少しだけ幸せそうな鈴を見て、そっと毒気を抜かれるのでした。




