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黒幕の陥落と、白日の下の正体

アステリアの活気ある中央広場。

人々が忙しく行き交うそのど真ん中で、突如として一人の男が「ガハッ!」と大量の血を吐いて崩れ落ちました。


「な、なんだ!? 急に倒れたぞ!」

「おい、大丈夫か!?」


駆け寄ろうとした親切な市民たちでしたが、男の懐から転がり落ちた「禍々しく光る水晶玉」と、その周囲に立ち込める不気味な闇の魔力に、誰もが凍りつきました。この男――は、王都の地下で鈴が放った「絶望的な恐怖」のフィードバックに耐えきれず、自慢の隠密魔法すら解けて街中に晒されたのです。


数時間後。

男が目を覚ますと、そこは湿った石造りの牢獄でした。両手には、魔法とスキルを完全に封じる重い鉄枷『沈黙のサイレント・バインド』が嵌められています。


「……ようやくお目覚めかな」


鉄格子の向こうで椅子に座り、冷めた紅茶を飲んでいたのは、アステリアのギルドマスター・ガラムでした。


「お前の持ち物と、その水晶玉の履歴は全て調べさせてもらった。……ザルキス。それが本名だな? 魔物を操り、国家を転覆させようとした大罪人さんよ」


「……あ……あ、あ……(ガタガタ)」


「今回の件、お前の全てを問い詰めさせてもらう。……まあ、その前に、詳しく聞きたいもんだがな。街のど真ん中で腰を抜かして気絶するなんて、相当なモンだったんだろ?」


ガラムの嘲笑に、ザルキスは答えられませんでした。ただ、あの「猫耳の少女」の怯えた瞳を思い出し、再び恐怖で失禁しそうになるだけでした。


---



一方、王都の地下ダンジョン。

暴走が収まり、魂が抜けたようになっている鈴の前に、助け出した少女がしずしずと歩み寄りました。


「お姉様……本当に、ありがとうございました。あなた様がいなければ、わたくしは今頃……」


「い、いえ、あの……私はただ、怖くて……」


鈴がもじもじと俯いていると、少女は懐から、一目で最高級品だとわかる金縁の地図を取り出し、鈴の手にそっと重ねました。


「これを持って、ここへ来てください。お姉様を、わたくしの『家』でおもてなししたいのですわ」


鈴が震える手でその地図を開くと、そこに記されていたのは――。


『王立セント・シャイア王宮・白亜の間』


そして、地図の隅には王家の象徴である黄金の獅子の紋章が。


「……えっ。王宮……? ヒルダさん、これ、あのお城ですよね……?」

「……はい。地図が示すのは、この国の最高権力が居る場所です」


「ニャ……。鈴、この子、ただの迷子じゃなくて……この国の王女さまだったんだニャ!?」


「ええええええええっ!?!? お、王女さまぁぁぁぁ!?」


鈴の叫びが地下空洞にこだましました。レベル108。ついに三桁の領域に達し、世界を救う力を持った少女の「人見知り」が、今度は国家最高レベルの接待という試練に直面したのです。


---


### 現在のステータス(王都地下・愕然)


| 項目 | 数値 | 状態 / 備考 |


| 名前 | 桜井 鈴 | 【全力で逃げたい】 |

| レベル| 108 / 999 | (+10 Up) |

| MP| 0 / 999 | (ガス欠中) |

| 称号 | 【王女の恩人】| |


---


「お姉様、お待ちしておりますわね!」

王女は満面の笑みで、迎えに来た騎士たちと共に去っていきました。


「……ヒルダさん、ミィアさん。……今から、お家に、猫神様のお家に帰りませんか……?」


「逃げちゃダメだニャ、鈴! 王宮にはきっと美味しいケーキがいっぱいあるニャ!」


「そうですよ、鈴殿。これは国民の義務……いえ、名誉なことですから!」


仲間に両脇を抱えられ、鈴は真っ白な顔で王宮へと引きずられていくのでした。



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