勘違いの黒幕と、地下の迷い子
王都の地下ダンジョン『シャイ・ラビリンス』。
そこでは、支配を解かれ統率を失ったキラーベアたちが、パニック状態で右往左往していました。その混乱の真っ只中に、街道で助けた王女さまが取り残されていたのです。
「……あ、危ないですっ!」
鈴が駆け寄ると、彼女から漏れ出す「レベル97の拒絶オーラ」を察知したキラーベアたちが、「ヒ、ヒィィン!」と情けない悲鳴を上げて逃げ惑います。もはや魔物の群れというより、パニックを起こした群衆のようです。
「お、お姉様……! また助けてくださるのですね!」
キラキラした目で自分を見つめる王女さま。鈴は猫耳フードの中で真っ赤になりながら、必死に存在感を消そうと努めます。
---
一方その頃、アステリアの街。
黒幕の男は、ギルドの酒場で有力な情報を掴んだと確信していました。
「……ふむ。つまり、その『不確定要素』とやらは、ギルドの面接中にあまりの緊張で手元を狂わせ、受付の机を丸焼きにしたという、とんでもない落ちこぼれの新米魔法使いなんだな?」
「ああ、そうだ。おまけに人前で顔を出すのが恥ずかしいとありゃあ、魔法の使い方も知らねえ素人だよ」
冒険者たちの笑い話を聞き、黒幕の男は鼻で笑いました。
「……くっ、くくく。なるほど、そういうことか。メタリィラビットの群れが消えたのは、その素人が魔力を暴走させて、偶然『事故』を起こしただけというわけか。王都のキラーベアたちが怯えているのも、その異質な暴走魔力に当てられただけに過ぎない……」
男は立ち上がり、漆黒のローブを翻しました。
「恐れるに足らず、だ。緻密な計算に基づいた僕の魔術が、そんなドジな素人に負けるはずがない。……全てを飲み込んでやろう」
---
地下最深部へ向かう鈴たちは、魔物を散らしながら進みます。
> 【絶世の人見知り】発動!!
> 対象:王女の護衛騎士からの「何この子、化け物……?」という視線。
> 「歩くだけで解決」というシュールな状況を検知。
> レベルが 1 上がりました!
---
### 現在のステータス(地下回廊・深部)
| 項目 | 数値 | 状態 / 備考 |
| 名前| 桜井 鈴 | 【精神的疲労が限界】|
| レベル | 98/ 999 | (+1 Up) |
| MP | 999 / 999 | (カンスト済・極大) |
| スキル 【強制静寂】今までに獲得した能力 |
---
「お、お家に、お家に帰らせてください……。そんなに密着しないでくださいぃぃ!!」
「いいえ! お姉様が怖がっていらっしゃるなら、わたくしが盾になりますわ!」
(あなたが一番怖いですぅぅ!!)
鈴の叫びが、新スキル【強制静寂】によって音もなく消し飛びます。
一行はついに、魔物たちを狂暴化させていた「魔力増幅の核」がある大広間へと辿り着きました。
---
【今回の状況整理】
黒幕の誤解:鈴を「魔法を暴走させるだけのドジな素人」だと思い込み、油断している。
鈴の現状:少しでも感情が動くと世界が燃えかねない状態。




