王都への道と、忍び寄る影
「――いいか、鈴。これはもはや一都市の問題じゃねえ。国全体の危機だ」
ギルドの奥座敷、ギルドマスター・ガラムは険しい表情で地図を広げました。
「王都周辺ではキラーベアの群れが騎士団を退け、さらには北の山脈にいたはずのグリフォンまでが市街地を強襲してる。……共通しているのは、どいつもこいつも理性を失い、赤い目で『何か』に操られているような動きをしてることだ」
ガラムは深く椅子に沈み込み、鈴をまっすぐに見つめました。
「本来ならレベル200オーバーのヒルダがいるアステリア騎士団を派遣する予定だったが……あのメタリィラビットの異常増殖を一人で片付けたお前の力が必要だ。鈴、王都へ向かってくれねえか」
「わ、私が……王都に……」
鈴は一瞬、人混みの多い王都という言葉に震えましたが、猫耳フードを深く被り、リラックス効果を感じながら小さく頷きました。
「……はい。あの猫さんたちがくれた場所を……守りたいですから」
「助かる! ヒルダ、ミィア! 鈴を頼んだぞ!」
こうして、レベル94の「隠密聖女」一行は、異変の核心である王都へと旅立つことになりました。
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一方その頃。
メタリィラビットが全滅した、あの平原を見下ろす崖の上に、一人の男が立っていました。
男は漆黒のローブを纏い、手にした水晶玉を覗き込みながら、不気味に首を傾げています。
「おかしいなぁ……。僕が仕込んだメタリィラビットの群れ、反応が完全に消えているよ。全滅……? いや、そんな馬鹿な」
男は水晶玉を指で叩き、周囲の魔力残滓を解析します。
「アステリアのギルドには、この数千の群れを一掃できるような高レベルの魔法職はいないはずなんだけど……。ヒルダという聖騎士は物理特化だし、あとの雑魚どもにこんな芸当ができるはずがない」
男の目は、地面に残された、およそ魔法学では説明のつかない「凄まじい熱量の痕跡」に留まりました。
「……ふむ。計算外の『不確定要素』が紛れ込んでいるみたいだね。面白い……。王都での『儀式』の余興にはちょうどいいかな」
男は不敵な笑みを浮かべると、影に溶けるようにその場から姿を消しました。
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馬車に揺られながら、鈴は猫耳フードの中で丸くなっていました。
レベルが上がり、最強の装備を手に入れても、やはり知らない場所へ行くのは不安です。
「鈴殿、大丈夫ですか? 顔色が少し青いようですが」
「あ、はい……。ただ、さっきから【危険察知】が、チリチリと嫌な感触を伝えてくるんです……。誰かに、見られているような……」
> 【絶世の人見知り】発動!!
> 対象:正体不明の視線(悪意)。
> 「ストーカーじみた監視」による生理的嫌悪を検知。
>レベルが 1 上がりました!
> 新たな能力【魔力隠蔽】を獲得しました!
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### 現在のステータス(王都行きの馬車内)
| 項目 | 数値 | 状態 / 備考 |
| 名前| 桜井 鈴 | 【警戒・最大出力】|
| レベル| 95 / 999 | (+1 Up) |
| MP | MAX| |
| スキル | 【危険察知】 | 【魔力隠蔽】(New!) 今までに獲得した能力|
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「ニャ! 鈴、魔力が完全に消えたニャ! 隣に座ってるのに、目を閉じると鈴がいないみたいだニャ!」
「……これで、あの変な視線から逃げられるといいんですけど……」
鈴は膝を抱えて、まだ見ぬ王都の空を見上げました。レベル95。彼女の存在はもはや、この世界のパワーバランスを根底から覆す「魔王以上のイレギュラー」になろうとしていました。
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【今回の獲得能力】
【魔力隠蔽】:自分の膨大な魔力を完全に遮断し、外部の探知魔法から身を隠す。レベル差がある相手でも、鈴を「ただの一般人」と誤認させる。




