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追憶のダンジョン、そして奇妙な既視感

「……何にも、ないですね」


地図が示す『❌印』の地点――そこは、『静止の森』の最奥にある、なんの変哲もない行き止まりでした。そびえ立つ断崖絶壁と、その下に転がっている巨大な岩。ダンジョンはおろか、建物のひとかけらも見当たりません。


「ニャ……。僕の探知スキルでも、この先はただの岩盤だニャ。猫神様、まさか鈴をからかったわけじゃないよニャ?」

「……おかしいですね。神格存在が嘘をつくとは思えませんが……」


ヒルダが岩壁を叩いて調査しますが、返ってくるのは固い石の音だけ。

期待が大きかった分、鈴はがっくりと肩を落としました。


「……うぅ、もう疲れちゃいました……」


鈴は力なくよろめき、バランスを崩して目の前の大きな岩に「ぺたっ」と手をつきました。


**――その瞬間でした。**


ズズズ……ッ! ゴゴゴゴゴ……!!


「ひぇっ!? い、石が……石が鳴ってるぅぅ!!」


鈴が触れた場所から青白い魔力のラインが走り、巨大な岩が霧のように透け始めました。そして、岩盤そのものが左右に割れ、地下へと続く美しく幻想的な階段が姿を現したのです。


「これだ! 鈴殿、猫神様の言葉を思い出しました。『君にしか入れない、君のための場所』……! つまり、鈴殿の魔力にしか反応しない特殊な結界で隠されていたのですね!」


「ニャー! さすが鈴、生きた鍵だニャ! 行こう、鈴突撃ニャ!」


---



階段を下り、広大な地下空間へと足を踏み入れた一行。しかし、そこは「安らぎの聖域」というには、少し騒がしい場所でした。


「ニャ!? モンスターだニャ! 鈴、下がって……って、あれ?」


通路の先から現れたのは、一匹のウサギ型の魔物。


「……あ、メタリィラビット。しかも、あっちには……」


暗がりから姿を現したのは、何故か鈴が出会ったことのあるモンスターばかり


「……? おかしいです。ここに出てくるモンスター、全部……私がこの世界に来てから出会ったことのあるものばかりなんですけど……」


鈴は首を傾げました。初めて見るはずのダンジョンなのに、出てくる敵が自分の「記憶」をなぞっているような、不思議な感覚。


「出会ったものばかり……?出会ったというのは、どういう意味で?」


「え、あ……いえ、その……」


ヒルダやミィアは、鈴がこの短期間にどんな「羞恥の戦い」を繰り広げてきたか、その全貌(黒歴史の数々)を詳しくは知りません。彼女たちにとっては「少し珍しい魔物の配置」にしか見えていなかったのです。


(……これ、まさか。私の『記憶』から作られてるダンジョンなんじゃ……。だとすると、この先にいるのは……私のトラウマそのもの……!?)


鈴の背筋に嫌な汗が流れます。


> 【絶世の人見知り】発動!!

> 対象:自分の記憶から具現化した魔物たち。

> 「自らの過去(黒歴史)との対面」による深すぎる困惑を検知。

> レベルが 2 上がりました!


---


### 現在のステータス(追憶のダンジョン)


| 項目 | 数値 | 状態 / 備考 |


| 名前| 桜井 鈴 | 【既視感に震える】 |

| レベル | 90 / | (+2 Up / ついに90到達) |

| MP| 9500| |

| スキル能力| 【絶世の人見知り (Lv.1)】 【回想の具現メモリー・トレース】(New!) 今までに獲得した能力|


---


「……ミィアさん、ヒルダさん。……このダンジョン、嫌な予感がします。……奥に行くのが、すごく……すごく恥ずかしい気がしてきましたぁぁぁ!!」


「何を言ってるニャ、鈴! ここを抜ければ最高に落ち着く部屋があるはずニャ! 突破するニャ!」


自分の「恥ずかしい記憶」が敵として立ち塞がる、鈴にとって史上最悪の精神攻撃ダンジョン。

レベル90という神域の強さを持ちながら、鈴は半泣きで自らの過去を「爆炎」で焼き払う旅を始めるのでした。


---


**【今回の状況】**


* **ダンジョンの正体:** 鈴の記憶に基づいた「試練の道」。

* **レベル:** 90突破。ステータスは既に魔王級。



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