前世の恩返しと、猫神の託宣
鈴に群がる数十匹の猫たち。それだけでも異常な光景でしたが、その中心にいる鈴が「真っ赤な顔で困惑している美少女」であることに気づいた街の人々が、一人、また一人と足を止め、気づけば周囲は100人を超える野次馬で埋め尽くされていました。
「おい、あの子……猫を操っているのか?」
「さっきの爆炎の聖女様じゃないか!」
(ひ、ひぃぃぃ! 人が増えてる! さっきより増えてるぅぅ! 見ないで、囲まないでぇぇ!!)
鈴のパニックが頂点に達しようとしたその時、人混みがモーゼの十戒のように割れました。
そこから現れたのは、黄金の瞳を持つ純白の猫――**“猫神”**でした。
『――落ち着け、愛しき人の子よ。この者たちは、私の神気で遠ざけよう』
猫神が一声鳴くと、野次馬たちは何かに導かれるように、呆然としたままその場を立ち去っていきました。路地裏に静寂が戻ります。
「え……しゃ、喋った……?」
『……忘れたか? 雪の降る夜、車に撥ねられそうになっていた小さな黒猫を……自らの身を挺して抱きしめてくれた、あの日のことを』
「……っ! あの時の、子猫ちゃん……!?」
それは鈴が転生する直前、不器用で人付き合いが苦手だった彼女が、唯一、自分の命よりも守りたいと思って飛び出した、あの夜の出来事でした。
『あの魂は我が一族の末子。貴殿の徳により、あの子は今、この世界で健やかに育っている。……礼を言わせてくれ。これは、君がこの世界で“真の居場所”を見つけるための導きだ』
猫神が前足で鈴の手に触れると、光の中から一枚の古い羊皮紙が現れました。そこには、町の近くの森にあるダンジョンを示す地図と、鮮やかな「❌印」が刻まれていました。
『その❌印には、君にしか入れないダンジョンがある…………さらばだ。君に、猫たちの祝福があらんことを』
猫神が光と共に消え去ると、鈴の脳内に凄まじいシステムメッセージが鳴り響きました。
> 【絶世の人見知り】極限突破!!
> 対象:野次馬(100名以上)、および神格存在。
> 「前世の因縁」と「神からの直接感謝」という過剰すぎるイベントを検知。
> レベルが 10 上がりました!
> 新たな能力【神の加護】を獲得しました!
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現在のステータス(奇跡の路地裏にて)
| 項目 | 数値 | 状態 / 備考 |
| 名前 | 桜井 鈴 | 【前世を思い出して号泣】|
| レベル | 88/ 999 | (+10 Up / 90目前) |
| HP | 3500| |
| MP | 8000| (神の領域へ到達) |
| スキル能力 | 【絶世の人見知り (Lv.1)】 | 【神の加護】(New!)今までに獲得した能力 |
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「……うぅ、生きてたんだ……あの子、無事だったんだ……」
鈴は地図を抱きしめ、人目を憚らず(といっても人はもういませんが)涙を流しました。自分が死んだことは悲しいけれど、あの子猫が救われていた。その事実だけで、鈴の心は救われた気がしました。
「ニャ……。鈴、神様の子供を助けてたなんて、徳が高すぎるニャ……」
「レベル88……。もはや、この国で鈴殿に敵う者はいないでしょう。ですが、その地図の❌印……これこそが、鈴殿が本当に求めていた答えかもしれません」
ヒルダは静かに地図の先を指差しました。
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【今回の成長】
レベル: 78 → 88
新スキル:【神の加護】:致命的な攻撃を一度だけ「猫のような超反応」で回避する。
重要アイテム:【猫神の古地図】




