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猫の聖域と、人見知りの共鳴

午後の柔らかな日差しが差し込むアステリアの街。昨日の「生ゴミ擬態」のおかげで、鈴は少しだけ精神を回復させていました。


「……今日こそは、普通に……目立たないように、散策したいです……」


鈴は『不可視の前髪』で顔を隠し、新調したローブを羽織って、ヒルダたちの後をコソコソとついて歩きます。賑やかな大通りを避け、人通りの少ない裏路地を選んで進んでいると、一匹の野良猫と目が合いました。


「あ……猫さん……」


その猫は、耳が欠けた強面の黒猫で、街の人には決して懐かないことで有名な「路地の主」でした。しかし、その猫は鈴を見るなり、警戒するどころか尻尾をピンと立てて、喉を鳴らしながら近寄ってきたのです。


「……えっ? あ、あの、こんにちは……?」


鈴が戸惑いながらも指を差し出すと、黒猫はうっとりと頭を擦り付けてきました。すると、どこからともなく、二匹、三匹と猫がワラワラと集まり始めたのです。


---



「ニャ!? 鈴、すごいニャ! あの『片耳の黒』は、僕が挨拶しても威嚇してくるくらい気難しい猫なのに、鈴にはベタベタニャ!」


「……不思議です。鈴殿から、とても穏やかで……他者を拒絶しない、純粋な『静寂の魔力』が漏れ出しています。猫たちには、それが最高の居心地の良さに感じられるのでしょう」


気がつけば、鈴の足元には十匹以上の猫が群がり、さらには屋根の上や窓枠からも、次々と猫たちが降りてきます。


(あ、あわわ……。猫さんはいっぱいいても怖くないですけど……。でも、こんなに集まると、逆に目立っちゃう気が……!)


> 【絶世の人見知り】発動!!

> 対象:街の猫たち(約20匹)

> 「無垢な生物による予期せぬ包囲」を検知。

> レベルが 2 上がりました!

> 新たな能力【獣の信頼アニマル・アンバサダー】を獲得しました!


---


### 現在のステータス(裏路地にて)


| 項目 | 数値 | 状態 / 備考 |


| 名前| 桜井 鈴 | 【困惑・癒やし】 |

| レベル | 78 / 999 | (+2 Up) |

| 魅力(対動物) | 999 | (上限突破) |

| MP| 6000| |

| スキル能力 | 【絶世の人見知り (Lv.1)】 | 【獣の信頼】(New!) 今までに獲得した能力|


---


「ふにゃぁ……。……あったかいです……」


鈴の膝の上にまで一匹の白猫が飛び乗り、肩には茶トラが乗り、足元は猫の絨毯状態に。

人見知りの鈴にとって、言葉を話さず、評価もしてこない猫たちは、この世界で初めて出会った「心の底から安心できる存在」でした。


あまりの幸福感に、鈴の『不可視の前髪』の闇が少し薄れ、前髪の間から年相応の少女らしい、穏やかな微笑みがこぼれます。


しかし、その「猫に埋もれて微笑む美少女」という光景は、人通りの少ない裏路地にあって、あまりにも幻想的で、あまりにも絵になりすぎていました。


「お、おい見ろよ……あの子、聖女様か?」

「猫があんなに集まるなんて、女神の化身じゃないか?」


遠巻きに様子を伺っていた数人の街の人たちが、感銘を受けたようにひそひそと話し始めました。


(……はっ!? また人が集まってきてる……!? せっかく、猫さんたちと静かにしてたのにぃぃ!!)


猫を愛でるという癒やしの時間は、皮肉にも「アステリアの猫を従える聖女」という新たな都市伝説の燃料になっていくのでした。


---


**【今回の獲得能力】**


* **【獣の信頼アニマル・アンバサダー】**:言葉を介さない動物に対して、極めて高い安心感を与える。周囲の動物は鈴を守ろうとする習性を持つようになる。



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