執念の脱出
ふうが我が家の専用工房にこもり、職人魂を大爆発させている頃――。
王都セントシャイアの王宮では、厳重な警備によって部屋に閉じ込められていたフィオナ王女が、キャスケット帽を目深にかぶり直しながら、鋭い眼光を輝かせていました。
「ふふふ……隠し通路を塞がれたにくらいで、このわたくしが諦めると思いましたの? 甘いですわ、王宮の警備隊!」
フィオナ王女は、優雅に紅茶を嗜みながら『第二次・鈴様に会いに行こう作戦』の計画書をサラサラと書き上げていました。
強行突破が無理ならば、権力と正当な理由を使って堂々と正面から出て行けば良いのです。
「作戦名は……【もの作りの街カサート・緊急視察作戦】ですわ!」
王宮・執務室
バァァァン!!!
「お父様! いえ、国王陛下! 今すぐわたくしに、カサートへの視察の許可と護衛を出していただきたく存じますの!」
執務室の扉を豪快に開け放ち、フィオナ王女は王に書類を叩きつけました。
「な、なんじゃフィオナ、急に……。カサートの視察だと?」
「ええ! 近頃、カサートの商人ギルドにて『見たこともない神話級の可愛いアクセサリーを売る天才技師(※ふうのこと)』が現れたと噂になっておりますでしょう?
王国の産業発展と技術調査のため、このわたくし自らが現地へ赴き、視察を行う必要性を強く感じておりますの!」
実に筋の通った、完璧な「公務」の提案。
国王も「む、むう……確かにカサートのその噂は耳にしているが……まさかフィオナ、お前の目的はまたあの聖女様(鈴)では……」と怪しみますが、フィオナ王女は完璧な淑女の微笑みを浮かべました。
「何を仰いますの、お父様。わたくしは王国の姫として、純粋に産業の発展を心配しておりますのよ?
(※100%鈴様に会うためですわ! カサートに行けば、カレン様を目撃した鈴様に追いつけるはず!)」
そのあまりにも堂々とした態度と完璧な正論に、国王も「……うむ、そこまで言うなら許可しよう。
ただし厳重な護衛を伴うこと!」と、ついに許可を出してしまったのです。
「感謝いたしますわ、お父様!(勝った……! これで堂々と王都を出て、鈴様と運命の合流を果たせますわーーーっ!)」
その頃:カサートの街
フィオナ王女が「あははは! 待っていてくださいませ、鈴様〜!」と豪華な王家専用馬車に乗り込み、ウキウキで王都を出発していたその頃。
当の鈴とふうたちは、すでにカサートでの用事をすべて終え、我が家(隠しダンジョン)のサウナで「ととのい」を完了させ、ふうの工房で平和にお部屋の模様替えを楽しんでいたのでした。
フィオナ王女がカサートに到着した時、そこに鈴たちの姿はなく、ただ「風のように現れて去っていった可愛い馬車と聖女様」の伝説だけが残されていることを、王女はまだ知る由もなかったのでした……。
現在の状況
| 登場人物 | 状態 | 現在の様子 |
| フィオナ王女 | 【カサートへ視察(出撃)】| 「公務」という完璧な名目で王宮脱出に成功! 鈴に会えると信じてノリノリで移動中。 |
| 国王&警備隊 | 【すっかり騙される】| 「姫様も成長されたな…」と感心して送り出してしまう。 |
| 桜井 鈴&ふう | 【我が家で平和】 | ふうの工房で、仲間たちの装備を「超可愛く」カスタム中。「王女様、静かですねぇ」 |
王女フィオナ、執念の「視察作戦」で堂々と王宮脱出!
しかし、目指すカサートに鈴はもうおらず……完全に行き違いになってしまうフィオナ王女の運命やいかに!?




