爆炎のギルド登録
「……あ、あぅ……。ひ、人が……人がゴミのようですぅ……(悪い意味で)……っ!」
アステリアの冒険者ギルド。その重厚な扉を開けた瞬間、鈴の視界に飛び込んできたのは、酒と汗の臭い、そして総勢100人を超える屈強な冒険者たちの喧騒でした。
「おっ、見ろよ。聖騎士様と猫人の嬢ちゃん……それと、なんだあの『顔が真っ黒な女』は?」
「新顔か? 随分と不気味なオーラを放ってやがるな……」
ガヤガヤと騒がしいギルド内。100人分の視線が、好奇心、警戒、あるいは単なる暇つぶしとして、一斉に鈴へと注がれました。
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ヒルダに半分引きずられるようにして、鈴は受付カウンターへとたどり着きました。受付嬢の女性は、プロフェッショナルな微笑みを浮かべつつも、鈴の「真っ暗な前髪」に少し引いています。
「冒険者登録ですね。では、こちらの魔晶板に手をかざして……。あ、最後に本人確認と身分証の魔法写真を撮りますので、その……前髪を上げてお顔を見せていただけますか?」
その一言が、鈴にとっての「処刑ボタン」でした。
(む、無理……! 100人以上の人が見てるのに、顔を出すなんて……! しかも魔法写真!? 一生残るなんて、恥ずかしすぎて死んじゃうぅぅぅ!!)
「鈴殿、頑張ってください。一瞬です。一瞬だけですから!」
「……ひ、ひぃぃ……っ!!」
鈴が震える手で、顔を隠していた【不可視の前髪】をわずかにかき上げた、その瞬間。
彼女の全神経を「ありえないほどの羞恥心」が駆け巡りました。
> 【絶世の人見知り】限界突破・第二段階!!
> 対象:ギルド内の冒険者、職員(約100名)
> 「衆人環視での素顔露出」という最大級の精神ダメージを検知。
> レベルが 10 上がりました!
> 能力【赤面爆炎】が暴走します!
「見ないでぇぇぇぇぇぇ!!!」
ドォォォォォォォンッ!!!!!
鈴の顔面が超新星爆発のように真っ赤に光ったかと思うと、次の瞬間、彼女を中心に巨大な熱波と爆炎が吹き荒れました。ギルドの木製の机が焦げ、冒険者たちが「うわあああ!」と椅子ごとひっくり返ります。
しかし、その爆炎の最中。
受付嬢が持っていた魔晶板だけは、奇跡的に鈴の「真っ赤になって絶叫している顔」を、最強の火魔法の閃光をバックに完璧に記録してしまいました。
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現在のステータス(ギルドにて)
| 項目 | 数値 | 状態 / 備考 |
| 名前| 桜井 鈴 | 【精神崩壊:真っ白】|
| レベル | 61 / | (+10 Up / 異次元の成長) |
| HP | 1500| |
| MP | 2800 | (特級魔導師級) |
| 回避率 | 40% | (全方位回避) |
| スキル能力| 【絶世の人見知り (Lv.1)】 【群衆の石化】(New!)今までに獲得した能力 |
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「……はぁ、はぁ……。あ、あの……身分証……」
煙が立ち込める中、真っ白な灰のようになった鈴に、受付嬢が震える手で銀色に輝くプレートを差し出しました。
「……は、はい。身分証、発行できました……。……鈴様、ですね。ええと、登録ランクは特例で『C』からスタートです。……あんな威力の火魔法をギルド内でぶっ放した人は、開闢以来初めてですよ……」
鈴が受け取ったプレートには、『爆炎の少女』という不名誉な認識票と、背景が爆発で真っ白になった彼女の証明写真が刻まれていました。
「ニャ……。鈴、一瞬で有名人だニャ。みんな、怖がってこっちを見てるニャ……」
「……うぅ。注目されてる……さっきより、もっと、見られてるぅぅ……。……石になれ……みんな、石になってくださいぃ……っ!」
鈴が涙目で周囲を睨んだ(というか、顔を伏せて願った)瞬間、新スキルが発動。
彼女を凝視していた100人の冒険者たちが、あまりの「拒絶の重圧」に、物理的に数秒間、身体が動かなくなるという異常事態が発生しました。
こうして鈴は、望まぬ形で「アステリアで最も恐ろしいルーキー」として、その名を轟かせることになったのでした。
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【今回の獲得能力】
【群衆の石化】:鈴が「見ないで!」と強く願うことで、自分を注視している対象を物理的に硬直(麻痺)させる。人数が多いほど威力が増す広域制圧スキル。




