異世界年賀状
なろうラジオ大賞参加作品第一弾。
戦後、この国は変わった。
良いか悪いか分からんが。
とにかくこの国は変わった。
そしてそれに伴い、多くの仕事が生まれた。
それだけ聞くと良い事かもしれない。
人が増えれば、そのぶん仕事も必要なのだから。
だけど、その増えた仕事が安全かというとそうでもない。
なぜならその仕事とは、ダンジョンなどに潜り一攫千金を夢見る……冒険者関連の仕事なのだから。
そして俺もそんな冒険者の一人だが……俺を始めとする俺の仲間の場合はただの冒険者じゃない。
「くそ! 深く潜りすぎだろ今回の相手!」
俺は人を捜してる。
ダンジョンに潜ったまま行方不明となった相手を。
下手すると死んでる相手だ。
けど捜さないワケにはいかない。
依頼人は相手の生死を知りたいんだから。
知らないと、いろんな手続きができないんだから。
「こなくそ!」
だから俺は、より深く潜る。
俺のレヴェルでギリギリ潜れる階層まで。
それでも見つからないなら……諦めるしかない。
依頼人によれば、相手は俺とほぼ同レヴェルらしいし。
「ひ、ひぇぇ!」
そして周囲の気配を探りつつ、俺がギリギリ潜れる階層に着いた時。
遠くから悲鳴が聞こえてきて……声がする方を見ると、格好からして間違いなく俺が捜してる人物がいた!
ていうか魔獣に襲われてるし!
魔獣の体は硬そうな鱗に覆われてる。
そして鋭い爪と牙を持ち……ってそんなこと思ってる暇はない。
俺はすぐに、腰が抜けて動けなくなってる相手へと近づき、抱え、走り…………なんとか逃げきる!
「どうもすみません。助かりました探偵ギルドの探偵さん」
「いや礼はいいよ、仕事だし。というかなんで年末年始の休暇期間中のダンジョンに潜るかな郵便ギルドの配達員さん!?」
おかげで縄張り意識が強く、一人じゃ倒せん魔獣が出てくるし!
もしあんたが死んだら郵便ギルドがいろいろ大変なんだからな!?
俺に逃げ足スキルがなきゃ俺たち死んでたからな!?
「私が捜している方……年賀状の届け先の方がどうも根なし草の冒険者みたいで。それでこのダンジョンに、無断で入ったという情報がありましてね。許可をとって入らせてもらいました。ちなみに、まだ見つけていません」
「いや、許可あるなし関係なく入るなよ!? マジメか!?」
俺も自分の仕事――冒険者の見本たる国営のギルドの仕事には誇りを持ってる。
だからこそ、仕事面に関しては配達員さんと思いは同じだが……さすがにこれはマジメすぎじゃね!?
俺も人の事は言えないけどさ!




