三話 ステータスってやっぱりワクワクするよね
「すっげーー!! リアル〇め〇め波じゃん!」
ーー前回のあらすじ、異世界に全裸で転生した後、モンスターに襲われる。
直後神さんの〇め〇め波に救われる。以上。
うん、まとめてみてもわけわかめ。
「やれば出来るじゃないっスか! やれば!
そんなのあるなら最初から言ってくださいよ〜神様っ」
興奮冷めやらぬとはまさにこの事。
男の子なら誰もがやった憧れの技の再現が実際に出来る異世界へ感動を覚える。
同時に小学生時代、隠れて練習をしていた時の記憶が蘇り、過去の自分からのダイレクトアタックが精神に直撃した。
イタタタタタタタタタタ。
「まぁな〜! どんなもんよ!
あっ! でもそういえばさっき呪うとか言った?
言ったよな? な?」
「まぁまぁ。細かいことは気にしない気にしない。流石神様! よっ全知全能! 完全無欠! 神的存在!」
よし。ここはひとまず煽てて誤魔化すとしよう。
怒らせると怖いのはわかったし。
最後のはめちゃくちゃ皮肉入っちゃったけど、馬鹿だしわからんだろ。
それにしても、まさかコイツがチートアイテムだったとは。
二回目の人生最速RTAをぶちかますかと思ったが
コイツがいたら無双が出来そうだ。
だって神だし。
全くもうっ心配させやがって。
これで、俺にチートスキルとかあったら完璧だったんだけどなぁ。
これはこれで、神の使いみたいな感じでいいな。
使ってやってるのはこっちだけど。
「なんか今失礼なこと思ってなかった?」
「イヤイヤナンデモナイデスヨ。あっ、てことは心を読むの辞めてくれたのか。サンキュー」
「てことはって言っちゃってんじゃん。てことはって。不敬働いたの確定じゃねぇか。やばーー」
何やら言っているが、細かい事は気にしないで欲しい。
しかし、先程から気になるのは神さんの背中にに浮かぶ時計。
大きさは神さんの背丈程で、形や長針と短針が動いている様子から時計と判断できるが、見た事のない記号がついており、それも十二個ではなく五個しかない。
一体何を表しているのだろう。
時計だから何かの時間について表しているんだろうけど。
「あのさー、神さんの後ろにくっついてる時計みたいなのってなに? ちょっとずつ動いてるみたいだけど」
「あぁ、これのことか。これは俺が顕現出来る時間を表す時計だな。これが一周したら俺は顕現出来なくなるって訳よ」
ケンゲン。けんげん。顕現。
顕現って、現れることが出来る時間ってことか。
確かにさっきは半透明だったのが、今はハッキリとした輪郭がある。
顕現出来なくなるってことは、つまりはさっきみたいなことが出来なくなるってことか。
「はぁ!? そういう大事な事は最初に言えよ! 大事なことを後々言わないと死んじゃう病気でもこの世界にはあるのか!?」
ふざけんな、やっぱり成り上がり系じゃねぇかと心の中で突っ込む。
ていうか、こいつ五分って言った?
ちょっといいカップラーメンぐらいしか出てこれないのかよ。
ポンコツもいいとこだ。
「どうにか出来ねぇの!? あと四分ちょいくらいしかないじゃん!」
「あぁ〜それなら…よっ!っと」
そうすると、実際の所はポーズをとるでもなんでもなく文字どおり声を出しただけだが
神様の身体が少し前と同じく半透明になり、時計も消えた。
「俺の任意でこうして現れ(で)たり、消えたりは自由だ」
「出し入れ出来るなら、言われる前にしてくれませんかねぇ!?」
「いやーこうして下界の空気を吸うの初めてだったからさぁ、ちょっと興奮しちゃって」
ここがコンプライアンスの無い世界だったら本気で殴りたいという気持ちをぐっと抑え、とりあえず気持ちを落ち着かせる。
スーハースーハー。
怒ってばかりだとめちゃくちゃ疲れるし、こういう時は曖昧な指示を出すんじゃなく、明確にして指示した方がいいんだったな。
と、どこで見たのか分からない情報を頼りに話す。
「まず、大事なこととか、知ってる事は最初に話してくれない!? それと、顕現していいのは俺がOKサイン出した時か、ホントにやばい時だけ、ドゥーユーアンダースタン?」
あー、だめだ。
冷静になろうとしてもちょこちょこって出る怒りに近い煽り。
でもしょうがない。
全てこいつが悪いのだから。
「へいへーい。でも安心しろよ、あと四分四十秒も残ってるぜ」
もじゃなくて、しかやろ! と大阪出身だったら関西弁でツッコんでるところだ。
くっそー、次からはコイツを慎重に使っていかないと。
とりあえず、今は別の話題に移ろう。
「この世界についての説明とか何にも聞いてないけどさ、色々教えてくんない? この一発ギャグスベった三秒後ぐらいのテンションを、一気にぶち上げるくらいのさ」
「確かにそうだな。よしっ! じゃあ少し真面目に話してやるか」
やっと説明パートの始まりか。
まだ俺はこの世界の事なんて今のスモークポイズンタイパン位しかしらないし。
彼を知り己を知れば百戦危うからず。
情弱が生き抜けぬことは紀元前から決まっているのだ。
ーーーー数時間後。
神さんの言う通りにスモークポイズンタイパンの皮を、引き抜いた牙で少しずつ加工して服っぽいものを作りながら説明を聞いた。
こいつの百を一くらいに噛み砕いた説明によると、この星はクコロという名前の星で、人界、魔界、天界、精霊界の四つで構成されているらしい。
今いる場所はその四つの世界の中でいう人界の何処かということはわかるがそれ以上は神さんでもわからず、転生先のこの身体は、恐らく死体だったのだろうという推測は出来るものの、どんな経緯でこの洞窟で息絶えたのかは分からないとのこと。
そして、中には感動すべき情報もあった。
「ステータスオープン!」
なんと、この世界にはステータスというものがあるということだ。
まだまだ転生したてだから、もちろん自分のステータスが高いか低いかすらわからない。
それでもやはり、アニメや漫画、サブカルチャー好きからしたら感動ものの部分だろう。
実際やったことはないけど。
「うぉぉぉ! 高いか低いかすらわからんけど、見るだけで興奮するなぁ! これ」
「神様に会えて喜ばねぇのにこれには驚くのかよ、ったく。で、開いたら二つのレーダーチャートがあるだろ?」
「えっと、物攻、魔攻とか書いてるな」
「それが、主に戦闘において重視される数値だな。魔力の攻撃力とか物理の攻撃力とかの基本数値だ。レベルアップすることで基本の数値は上がるし、強化魔法を使うことでも一時的に上昇させられる」
物理と魔法の攻撃と防御。
あとは素早さか。
基本性能はこれでわかるってわけね、なるほどなるほど。
「そして、もう一つのレーダーチャートがあるだろ」
「HPとかMPとか書いてあるやつでしょ?
あと、SP?」
「Spiritual(精神)Point(点)の略だな。前の世界でゲームとかやったことねぇの? コミュ障陰キャのくせに?」
パソコンが家に無かったからな。やったことねぇよチクショウ。
まさか神とはいえ異世界の者に自分の世界の言葉について教えられるとは。
ぐうの音も出ないとはこのことか。
ぐーの手は出したい。
「で、その三つはどういう意味があるんだ?」
「その中の内のどれか一つでも零になったらお前死ぬから。せいぜい気をつけろよ」
はいはい、そうですかそうですか。
………ん?
「はァア!? 言うことが毎度毎度物騒すぎやしやせんかねぇ!?
どれか一つでもダメ!?
HPとかならわかるけど、MPもSPも!?」
「そうそう。だから最初の内は魔法とか無理に使うと死ぬぜー。まぁ限界近くまでいくと全身に激痛が走るから、使いたくても使えないだろーけどさ」
「マジでか? 魔法なのにぜんっぜん夢がねぇじゃん」
いやね、現実がそんな甘くないのはわかるよ。
わかるけどさ、なんか切ねー。
「じゃあSPってのは一体なんなんだ?
精神ポイントって言われてもよく分かんねーんだけど」
「SPってのは例えばだなー」
そう言うと神さんは顔の近くで握りこぶしを作り。
「そりゃっ」
思いっきり俺にぶつけてきた。
そりゃあもう隕石の如く。
「………痛っったぁぁぁあ!! なんでぇぇぇ!!??」
急すぎて、痛みを感じるのが遅れたほどだ。
当然、マジで痛い。
硬球を投げつけられたような痛みだ。
当てられたことないけど。
「ほら、ステータス見てみな」
「全くもう! 何なんだ一体!」
言われた通りステータスを見てみる。
当然HPが減っている。だが、同時にSPも減っていた。
二つの減り具合は微妙に違う。
「HPもSPも減ってるけど、なんなんだよぉ。
結局俺が理不尽な暴力受けただけじゃんかぁ」
「ちげーよ。今SPが減ったのはな、お前が痛みを感じたからだ」
「痛み?」
「要するにSPは痛みや疲労みたいな精神的苦痛によって減ってくってことだ」
そうかそうか。
俺を殴った理由には全くなってないけどオッケー理解した。
「つまり、死ぬほど痛てぇってなったらホントに死ぬってことか」
「それだけじゃ減らないけどな。まぁSPに関しては一先ずそういう認識でいいか。
逆にSPが最大の時は、所謂スポーツ選手におけるゾーンって呼ばれる状態。
SPが高ければ高いほど良い動きが出来るってことだな」
つまり、SPによってその時のパフォーマンスも変わってくるって事か。
「まぁ説明会は一先ずこんな所でいいだろう。そしてここから、本格的なサバイバルといこうかぁ」
おぉ!遂に剣と魔法の世界でサバイバル開始ですか。
正直聞くのも飽きてたんだよね。
とりあえず、目指せ洞窟大脱出!
現在のステータス
半魔人間Lv.1
物攻:42
物防:53
魔攻:21
魔防:49
敏捷:68
HP:111
MP:30
SP:205




