RP7 Pit Signは見落とすな!
いろいろあって投稿できませんでした。
連休最終日。札幌駅。朝8時45分。
札幌駅の鍋の取っ手のような、白いオブジェ。
それが待ち合わせ場所。
浮かれた顔の美香と麻美が30分前だというのに、待ちうけていた。
遊園地ということで、ふたりともパンツスタイルで、おしゃれは控えめ。
まあ、私も。
でも二人とも浮かれてるのが顔つきからうかがえた。
・・・・っていうか・・・・、もう、メス顔しないでよ・・・・・。
女子っていうより、「女」って感じ。
もう合流前から疲れるのよ・・・
こっちの気も知らないで・・・・・。
はぁ・・・・・・。
連休初日、ニセコの後も、巧はメッセをくれた。函館の五稜郭。塩ラーメン。二日目は白老のウポポイ。そして、洞爺湖温泉。三日目、昨日は、支笏湖、そして、最後は藻岩山の画像だった。その写真も彼も彼の家族も写ってはいなかった。人といえば彼の左手だけが時折写されていた。
ほんとに家族旅行だったのかな・・・・・。
真偽のカギは、「ゆい姉」。
彼女と会えば、はっきりする。ことの真偽が。
「みんな早いね」
さわやかに誠くんが登場した。
「って俺たちも早いけどな」
肇くんも。
「女をまたすなよ~」
麻美がふざけた調子で2人に絡む。
「まあ、そーゆーなよ。これでも早起き頑張ったんだ」
「うん。15分まえだし、許してくれよ」
「あれ?たくは?」
うっ。
聞かれたくないワード。
「ねぇ~、まな、たくは?」
はぁ~・・・そうなるわよね・・・・。
「えっと、ぎりぎりになるんだんって・・なんか、親戚の家からだから・・・」
「そうなんだ・・・・てっきり、いっしょに・・・・・」
「あさみ・・・」
「あ、え、何でもないわ・・・・ごめん」
うん。そうよね。当然「まなたく」でそろってくるもんだと思うわよね。
「なんかね、昨日は親戚の家だったんだって。I市の。」
「ああ、そうなんだ、じゃあしかたないよなぁ~」
誠のフォローがなんか、癪に障る。
八つ当たりだけど。
これも、みーーーーんなタっくんと、「ゆい姉」とやらのせいよ!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
パワワワワワワァーーーン
閑静な朝の住宅街を切り裂く特徴的な、いやはっきり言うとやかましい排気音。
通りすがる通行人は眉を顰めている。
でも、もうすぐ8時だ。許されるだろう。
(約束8時45分なんでしょう?間に合う?)
と、インカムのゆい姉。
(うん・・・・・たぶん・・・・)
(無理じゃない?私が送ってあげる。)
(いいの?)
(ま、あたしが早朝ツーに誘ったんだし、いいよ。このまま、巧の家に行こ)
(え、でも荷物は?・・・)
(後で届けてあげるって.じゃあ、つぎ、左折ね)
と、いうやいなや、ガンマは左折ウィンカーをだした。
(ああ、うん)
慌てた俺も点灯させた。
I市から10分ほどで札幌市に入る。そこから5・6分程度で自宅だ。住宅街の一角に見慣れた我が家が見えてくる。札幌といっても、この北のはじっこは、町外れというのがまさにお似合いだ。それでもガレージ付きの一戸建てなのは最高だ。おかげでこいつ(NS400R)をしまうことができる。
うちが近づくと、Γはスローダウンしていく。
俺もシフトダウンさせ、あまり効かないエンブレ(2ストは構造上エンジンブレーキがあまり効かない。0ではないが。)させ、軽くブレーキを当て速度を落とす。
ゆい姉のΓは家の門柱の前に留まった。
俺はガンマの左横を通り過ぎ、塀から少し顔を出している、ガレージの前でNS400Rを停めた。
(しまってくるから)
(うん)
シャッターを開けるとそこには青い軽自動車が鎮座している。しかし、間口の広いガレージなので、横には十分スペースがある。400のバイク一台を押して通り抜けることができるくらい。奥行きもかなりあるので、NSをしまうには十二分の広さが軽の後ろに広がっている。
急いでガレージから出ると・・・・。
「ゆいちゃん、ありがとね~うちのたくみ面倒見てもらっちゃって」
「いえいえ、私も楽しませてもらったんで。」
うちの母がゆい姉と話していた。
「あ、母さん、ただいま。」
「あ、たく、ただいまじゃないわよ。出かけるんでしょ?」
「あ、うん。」
「おばさん、私が送ってくから、大丈夫です!」
「あら、そうなの・・・」
「じゃ、行ってくるわ」
そうしてΓのリアシートにまたがろうとすると・・・
「ちょっと、その恰好で行くの?いくら何でもそれは・・・・」
「いや別におかしくないだろう?」
「いや~・・・まなちゃんも、来るんでしょ?」
「うん。」
「じゃあ、着替えなさい。ちょっと・・・すすけてるわよ、あんた。」
「そっかなぁ・・・ゆい姉、どう?」
と、ゆい姉を見ると・・・ヘルメットのシールド越しにもわかるほど、するどい目つきを向けていた。
「えっと~・・・まなかちゃんって?」
「え、彼女だけど・・・」
「はぁ?あんた彼女できたの?!」
「あら、いってなかったの?たく?」
「ああ、そういえば、ゆい姉には教えてなかったかも・・・」
「あのね、久慈まなかさん、っていってね、すごくいいお嬢さんなの。巧にはもったいないってうちの人といつも話してんのよ。」
「へぇ~・・・・しらなかたなぁ~・・・なんで教えてくんないの?」
「え、いや別に言いふらすことじゃないだろ?その彼女できたぁ!って」
「ま、そーだけど・・・・・」
シールド越しに見るゆい姉は明らかに不機嫌だ。年下の俺に先を越されたせいだろう。だから言いたくなかったんだ・・・。
「さ、はやく着替えてきなさい!」
「そうね~、か、の、じょ、と会うんだもんね。いい恰好しなきゃね~・・・」
「やっぱ、そういうもんだよね・・・・」
すると、母とゆい姉は頷いた。
ふぅ~・・・・ここは母のPit Signに従おう。
俺は二人を後にして、玄関へと駆け出した。
ルスツの方が楽しいとは思う。




