RP22 勉強会?!・・・勉強・・・かい?
本業とんでもなく多忙で、全然アップできませんでした・・・・。
じりじりと日差しがきつい日曜日、わたしはバス停からタっくんの家へと歩いている。7月にはいると、初夏というよりはもう盛夏だ。涼しい北海道というのは、もう、幻である。バス停から15分ほどで、彼の家、浅野家へとついた。
ピンポーン
「いらしゃーい!待ってたわよ~!まなかちゃん!!さ、さ、入って、入って!」
呼び鈴を鳴らすやいないや、ドアが開く。
タっくんのお母さんが笑顔で出迎えてくれた。
「おじゃまします・・・」
久々の彼氏の家は緊張する。
玄関から、短い廊下を通り、リビングへ。
リビングに通じるドアを開けると・・・・彼が・・・・・・・・いない。
「あの、巧さんは・・・・・お部屋ですか?」
「巧?なんか友達むかえに行くって、でてってわ。そういえば・・・遅いわね・・・・・」
壁掛け時計を見つめて、たくママは答えた。
「えっと、ちなみに、歩いて?」
「いえ、バイクよ、バイク。」
やっぱり。
たくみ、おむかえを口実に・・・・。
これだから、バカイダーどもは・・・・。
「あ、まなちゃん、六〇亭の〇セイバターサンドあるのよ、食べない?食べるでしょ?好きだよねぇ~・・」
私がむすっとしたのが伝わったのだろう。
この場を取りつくろうように、たくママはそう宣った。
「すいません・・いただきます・・」
〇セイバターサンドを頬張りながら、待つこと15分ほど。外からやかましい、いえ、変な、いやいや特徴的な蚊の羽音のような音がかすかに聞こえてきた。
それはだんだんと大きくなり、蚊から大きな昆虫のそれになる。そして、一匹ではないことも。時折、破裂音のような音が羽音の間にはさまる。
プ、プワワワァーン・・・パ、パパン・・・
ほとんどの人が、この音を聞いたら、渋い顔して、彼らを軽くにらみ付けるだろう。
かくいう私も、以前はその一人だった。
あんなものに乗る人たちの気が知れなかった。
でも、乗ってる人たちは、悪人、てわけじゃない。
好きなんだ・・・純粋に・・・でも・・・。
一般的には耳障りな音が、家の前で止んだ。
「あ、帰ってきたわね」
いつものことなのだろう。
たくのお母さんは、この音を気にすることもなく、さっきと変わらぬ笑顔でそう、言った。
間もなく、ドアが開けられる音がする。
何かを脱ぐ音。
ライディングジャケットだろう。
そして、数人の話し声。
廊下を歩く足音。
カチャ。
「ごめん、ちょっと遅くなった。」
と、バカイダーのタっくん。
「おじゃまします。おまたせ、まなちゃん」
笑顔がかわいい、シルバーバカイダー(シルバーのジャケットなので)ひとみちゃん。
続いてきたのはブルーバカイダー(青ジャケットなので)松本くん。
最後に現れたのはレッドバカイダー(赤の以下略)跡部くん。
「いらっしゃ~い。さ、さ、座って座って、お菓子でも食べて」
たく母は妙にはしゃいでいた。
「いや、母さん、すぐ勉強するから・・・」
「あら~・・・そぅ~お~?残念ね~・・・」
と、たく母は口惜しそう。
「あ~あ、せっかく、お友達たくさん来たのに・・・・もう少し、お話したかったわ~」
「・・・おれたちさぁ遊びに集まったわけじゃないんだよ・・・・」
としたり顔のたく。
「へぇ~・・・じゃあ、家で待ってればいいじゃない。バイクなんて乗らないで」
「・・・っう」
と、痛いところをつかれた、って顔するバカイダー4人衆。
「ご、ごめんね、まなちゃん・・・・じゃ、すぐ・・・やろうか・・・」
ひとみちゃんはもうしわけなさそうな顔で、私を見つめてきた。
「あ、いえ、あなたたちのせいじゃ・・・・・・・・いや、皆さんのせいだね・・・」
『ごめん』
バカイダーどもは私に頭を下げた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「勉強会」
学校帰り、まなに唐突に提案された。
「私が入部する条件、忘れたの?もうすぐ期末試験よ。あんたらバカイダー4人衆には、借りを返してもらわなきゃ」
バカイダー4人衆・・・その言葉にちょっと引っかかったが、気にしないでおこう。
「わかった。じゃあ、桑原たちに話しておく」
と、いうわけで、日曜日に期末テスト対策勉強会が、我が家で行われることになったのだ。俺の家に、まなとゆい姉以外のやつが来るのは、いつ以来だろう。小学校以来ではないのか・・・・。しかもゆい姉以外のライダーが来るなんて・・・・。俺は前日からそわそわしてしまった。
(桑原)ね、家の地図、スクショして送って
帰宅してベッドで横になってると、桑原からのラインが入った。
地図アプリを立ち上げ、スクショして送る。
(桑原)ありがと。けっこう入り組んでるね・・・たどり着くかしら・・・
(松本)うーん・・・ちょっと・・・自信ないな・・・
(跡部)いやぁ、なんとか、なるだろ?
(俺)じゃあ、むかえに行くよ!俺!
(桑原)え、いいの?
(俺)いいよ。どうせバイクだろ?
(松本)そうだけど・・・・・。
(跡部)え、バイクなの?日曜?
(桑原)だって、前の日ツーリングして、泊まるんでしょ?あんたら。
(俺)じゃあ、決まりだ。
短い時間かもしれないが、あいつらと走れる。そう思うとそわそわした心地が、うきうきとした気分に変わった。
(松本)いいのかい?
(俺)いいさ!
(跡部)それじゃあ・・・・ちょっと・・・うん、ちょっとだけ・・・遠回りしても・・・
(桑原)え・・・それは・・・いいのかなぁ・・・・・・・・・・・いいかも・・・
(浅野)じゃあ、当別の道の駅で待ち合わせってことで。
というわけで、我が家に9時集合なので・・・よゆうをもって、6:30に待ち合わせとした。そう、よゆうをもって、だ。だって、なにがあるか・・・わからないし・・・。
朝5時30。アラームが鳴るかならないかに起床。
台所で、そこらにあるパンをかじり、洗顔をすませる。
部屋で着替える。ライディングパンツにライディングジャケット。(上下とも黒)クロ-ゼットにしまってある、これまた黒のヘルメットをとりだす。
「あれ、早いねぇ」
階段を降りると母がいた。
「うん。友達を迎えにいくんだ」
「こんな朝早く?」
「えっと、ちょっと遠いんだ・・・」
「ふぅーん・・・」
母は俺のいでたちをさっと見て、最後に手にしていたヘルメットで目を止めた。
「まあ、いいけど・・・大きな通りでエンジンかけてね・・ご近所さんに迷惑だから」
「ああ、わかってる。」
当別の道に駅には、6時20分ごろついた。
が・・・・もう、ずいぶん前についていたのだろう・・・・。
3人とも、駐輪場の地べたに座り、ペットボトルのお茶で一服していた。
彼らのバイクに並べるように、NS400Rを停めた。
ヘルメットを脱ぎ、バックミラーにかけ、バイクを降りる。アスファルトに座り込む彼らのところへ歩み寄る。
(桑原)「おそいよ~。たくみくーん」
「え、だって、約束の時間は半だろう?」
(跡部)「いや、そうだけどさ・・・少しでも長く乗りたいじゃん」
「ああ・・・まあ・・・・そうだね・・・」
(桑原)「まちくたびれたよ・・・・それにしても、きれいに乗ってるね!ピカピカじゃん!!」
「ありがと。大事にしないとゆい姉にどやされるんで・・・」
(松本)「あ、そうか・・ゆいさんにも声かけてもらえばよかった!」
(跡部)「ああ、そうか・・・そうすりゃ良かったなぁ」
(桑原)「やらしいわねぇ・・・あんたたち・・・・・下心が丸見えよ!」
(松本)「いや・・・そんなんじゃ・・・」
(跡部)「なくはないけど・・・・」
「いや、ゆい姉はまた今度がいいよ、きみたちがどれくらいの腕前かわからないし・・」
(桑原)「そうね・・・腕にあんまり差があったら、危ないもんね・・」
「まあ、ゆい姉は、合わせてくれる人だけどさ。ま、今日はおれと顔合わせってことで・・・」
(跡部)「んじゃ、いきますか!」
3人は立ち上がり、それぞれのバイクへと向かった。遅れじと、俺も。
(桑原)「それじゃ、今日は・・・フクロウ湖まわって・・・・いけるとこまで行く感じで!」
『オッケー』
彼ら3人は想像よりずっとうまくバイクを操った。
3人ともコーナーをひらりひらりとバイクをバンクさせていく。
もちろん、ゆい姉の方がペースは速い。
が、十二分の腕前だ。軽い2ストバイクなことを考慮してもだ。
うかうかしてると、しんがりを務める俺の方がおいてかれそうだった。
甲高い、2サイクルのエンジン音が早朝の山の中に響く。
幼馴染らしく、3人の息はぴったりだ。
コーナーへのアプローチ。
バンクするタイミング。
アクセルオンのタイミング。
コピーしたように同じだ。
同じリズムを刻んでワインディングロードを駆けていく。
バラバラな個性が一つにまとまるバンドのようだ。
おっと、見とれてる場合じゃない。
俺も彼らのバンドの1員にならなきゃ。
そうさ・・バカイダー4人衆なんだもんな。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「うん、そう、そこに代入すればいいのよ」
「あ、なるほど!・・・すごいね、ひとみちゃん。」
「いや、ぜんぜんだよ。」
「教えるの上手だねぇ」
俺の部屋で始まった勉強会。
女子二人はとても、とっても和やかに勉強を進めている。
対照的に俺たちは・・・・・・。
(松本)「・・・・・・・・・・」
(跡部)「・・・・・・・・・・」
俺「・・・・・・・・・・」
無言。ただただ問題を解いていく。我々は特に学習に困っていないので、相談することもないのだ。彼らは学年トップ集団だし、俺もなんだかんだ学年30位以内にいるのだから。ただただ、自習をしている。なんだこれ?勉強会じゃなくて自習会だろう・・・・。
そうして、小一時間ほどたったころだ。
家の呼び鈴がなった。
パタパタと応対に出る母の足音がかすかに聞こえる。
「あら~・・そう・・・今ね・・・」
母の声がところどころ聞こえる。妙に声が上ずっている。誰が来たんだ?
すると、何やら数人の声がするのだ。
どうやら客人は複数名らしい。
「あ、来たわね。」
「そうねぇ~・・・・」
桑原とまながニヤッとしながらそう言った。
トントントン・・・・
階段を上る足音が近づいてくる。
あれ?こっちに来る?
俺は思わず机から顔をあげた。
まなが不敵な笑みを浮かべているのが横目に入った。
足音が部屋の前で止む。
カチャ、
ドアが開かれると・・・・。
「よう、たく。楽しいそうなことしてるなぁ」
誠だった。
「そうよ、私たちにも声かけなさいよ!」
不満気な美香。
そして、頷くはじめと麻美。
「え、いや、これは、まなが言い出したことなんで・・・・」
申し開きを俺が始めると・・・。
「うん、だから、私が呼んだの。」
『え・・・』
松本・跡部は思わず声をそろえた・・・。
「あ、ひとみちゃんには許可を取ったし、いいでしょ?」
『・・・・・・』
俺たち3人は無言で顔を見合わせ、諦観を確かめあった。
「わかったよ・・・・でも、この部屋に9人は・・・無理だろう・・・」
その時だ。
「たくみぃー、客間使っていいわよぉ~」
母の声が2階へとこだました。
北海道はようやく雪解けとなってきました。もう少しで、おバイク(最近こういう言い方が流行ってるらしい)できそうです。オイルとZOILを注文しなきゃ。




