RP21 それも青春、これも青春
まあ、一応、水着回です・・・。
昼食を済ませ、俺たちは、駅ビルやデパートを散策する。地下から地下へと移動し、なるべく外は歩かない。夏を迎えようとしている今、外を歩くのはかなりハードルが高いから。その点、地下は空調が効いていて、快適だ。
「なあ、結局、何、買うんだ?」
小一時間うろうろしたとき、とうとう、誠が女子に聞いた。
(麻美)「え、夏服とか・・・・」
(美香)「コスメとか・・・・」
(まなか)「あと・・・・かわいい雑貨とか?」
「じゃ、僕たち、いなくてもいいんじゃない・・・・」
と、肇が言ってしまった・・・・。
『はぁ?』
ほら・・・・・。
怒らした・・・・。
「あのさ、JKの買い物に付き合うなんて、ご褒美だよ!ごうほうび!!」
「こんなかわいい女子と一緒なんだよ!」
「肇くんさぁ、もてないよ・・・」
3人から交互に詰められるジェットストーリームアタックを食らう肇。
「あ・・・そうだね・・ごめんごめん・・・」
肇は自分の失言が虎の尾を踏んだことに気付いた。
(麻美)「よし、じゃあ、男子のために、次の店に行きましょう!!」
不敵な笑みを麻美は見せた。
女子3人の後を、俺たちはとぼとぼとついて行った。
地下歩行空間をずんずんと進み、とあるデパートに入る。
エスカレーターに乗り、ついた先は・・・・。
「さあ、ここです!」
麻美のテンション高めの声が響いた。
『えっ』
男子3人の声がきれいにそろう。
「ここ、水着コーナーじゃ・・・・」
「いいでしょ~。さ、ご褒美よ!」
俺のつぶやきに、麻美はいたずらっぽく笑う。
いや、もちろん、見たいは見たいけど・・・・・。ねぇ・・・。男子3人でいるのは場違いっていうか・・・。周りの目線が痛いっていうか・・。
「それじゃ、私たち、選ぶからさぁ、意見頂戴ね!」
麻美の積極的な姿勢に、俺たちはたじたじだ・・・・。
「あ、もちろん、たくは・・・・まなの選んであげてね」
「あ、ああ・・・」
「じゃ、タッくん、行こう!」
まなは俺の手を引いて、売り場にずんずん入っていった。
「えーと・・・さっきの方が、いい、かな?」
「え、そうなの?うーん・・・じゃあ、これは?」
まなは、カラフルな水着をつぎつぎ体にあてがいながら聞いてくる。
ま、正直、どれでもいいのだが・・・・。そういう受け答えをしては絶対にダメだ。キチンとみてますよ、っていう、姿勢こそが大事なんだ。たぶん。きっと。知らんけど。
すると、
「よし、じゃあ、試着するね!肇くん来て!」
「え、ぼ、ぼく?いやついてくのは・・・」
「だって、肇が選んだのだよ。見てよ!」
「え、ぼ、ぼく・・・ちょっと・・・」
麻美は半ば強引に肇の手を引き、試着室へと向かった。
唖然とする俺と誠。
「じゃ、じゃぁ・・・誠くん・・・・わ、わたしも試着するからさ・・ついてきて?」
「え、お、おれも?・・・いや、それは・・・」
「だって・・・・・誠くんが・・」
美香は一着の水着を手に、上目遣いで誠に懇願していた。
「そ、それ、俺が選んだんわけじゃ・・・」
「あ、で、でも、感想、ほ、ほしいなぁ・・」
頬を赤らめながらお願いする美香。
これを断れる男子がいるだろうか?いや、いない。
誠も美香と一緒に試着室へと向かった。
「・・・・・・・なんかさ・・・・」
何とも言えない気持ちで彼らを見送った俺は、思わず、まなに声をかけた。
「うん・・・・」
「すごいね・・・・」
「そうね・・・・・「まなたく」なんて、大したことない気がしてきたね・・・」
「・・・・・・・はやく、付き合っちまえばいいのに・・・・」
なぜか、冷めてしまった俺たちは、試着イベントをする気にもならず、さっさと会計を済ませて出てきた。
エスカレーターのわきにある、ベンチに二人で腰掛ける。
「ねえ、タっくん」
「なに?」
「ひとみちゃんのバイク、大丈夫だったかな?」
「え、どうして」
「だって、素人が組み立てたんだよ?故障とか・・・ばらばらになったりしないのかな?」
「うん・・・確かに・・・・・でも、大丈夫だよ。」
「え、どうして?」
「おじいさんがいるからさ」
「え、おじいちゃん?」
「うん、おじいちゃん多分、最後に点検してるよ。」
「うん。間違いない。だって、俺が締めたボルト、違うボルトになってたから」
「あ、そーなんだ・・・」
「さすがに、俺たちだけじゃぁね・・・・おじいちゃん、夜中にこっそり、確認してたんだよ。それじゃなきゃ、大事な孫を乗せないよ」
「そりゃ、そうかぁ~」
まんは、安堵の声を発したその時、
「あ、こ・・・・ここにいた・・・」
誠が俺たちを見つけて駆け寄ってきた。
「おつかれ・・・」
「ずるいぞ!おまえら!!」
「なにが?」
「なんで先に出てくんだよ・・・」
「え、用事がすだから?かしらね?」
「うん。買い物も済ませたし」
「くそ、なんなんだおまえら!この間まで、イチャコラしてたくせに!!お前らが率先してやるくらいしてくれよ!!」
「・・・・・何を言ってるか・・・わからないわね、タッくん・・」
「そうだな・・ま、いいご褒美もらえただろう?」
「周りに・・・・・人がいなけりゃな・・・」
羞恥とうれしさがこみあげている複雑な顔をする誠。
まあ、こういうのも青春の一ページだ。
オイルにまみれて、悪戦苦闘するのも
付き合いが長いとさ・・・・落ち着いてくるわけよ。
いつまでも、いつまでも、ドンパチドンパチできないっていうかさ。




