RP19 期待値は大きいのかも
初代も2代目も3代目も隼は好きですね。
お風呂をあがり、2階の寝所へと向かう。ふすまを開けると窓に向かって川の字に布団が敷かれていた。松本と跡部はまだ風呂だ。
川の字に並んだ布団の一番端、「川」の一画目の布団に体を横たえた。いかにも、昭和らしい、板の天井を見つめる。
昼間の疲れからか、うとうととしたころだった・・・・。
「たくみくん、たくみくん」
不意に声をかけられ、隣の布団を見た。松本と跡部が正座して並んでいた。
ごろりと横をむく。
「あらたまって、どうした?」
すると2人とも何かもじもじとしだした。
「おい、おい、呼んどいて、話さないのはどーゆーことだ?」
「じゃ、俺が聞くよ。うん」
「ああ、頼む・・・」
どうやら跡部が代表して話すらしい。
「たくみ・・・いやたくみさん・・・その・・・」
「うん。なに?」
「・・・どうすれば・・・か、か、か、彼女ってできるのかな?」
顔を真っ赤にして跡部は言った。
「はぁ?・・・・いや・・・その・・・いい感じの子に、告白とかすればいいんじゃない?」
「じゃ、き、きみは、久慈さんに、こ、こ、告白したのかい!」
こらえきれないように、声をあげた。
「え、いや、そうじゃない・・・・けど・・・・」
2人は一瞬絶句していたが、
「・・・・じゃ、じゃ、告られた方なのか!?・・・」
「あんな可愛い子に!」
と血走った目を向けてきた。
「ああ、まあ、そうなんだけど・・・まあ、ほら、俺たちグループ交際が長かったし・・・」
「やっぱ、それかぁ~・・・・」
「とりあえず・・俺たち、そこからだなぁ・・・・」
松本も跡部も口惜しそうな顔をつくる。
「え、いや君らには桑原がいるじゃん。どっちかつき合っちゃえば?」
『それはない!』
「え、あ、三角関係だった?ごめん・・・」
「そうじゃない!」
跡部は全く論外といった口調だった。
「ああ、まったくだ・・・まあ、君はまだ、付き合い浅いし、わからないのはしかたないが・・・・」
「え、桑原も可愛いと思うぞ。」
「・・・・・・・まあ、ルックスは・・・・」
「そうなんだけど・・・・・」
「え?」
松本も跡部も困惑した表情でうつ向く。
「俺たち、小学校入学前から、今日までずっっっっっ・・・・・・と一緒だったんだ」
「うん、知ってる。」
「だから、その、ひとみは女子として見れないっていうか・・・」
「そうなんだ・・・」
「いや幼馴染でも、高校生にもなれば、流石に異性を意識するだろう?」
『・・・・・・・・』
彼らは顔を見合わせ、困惑していた。
「うんと・・・・上手く伝えられないかもしれないけど・・・」
「そうだな・・・その、異性を感じる瞬間がないというか・・・」
「逆に、異性であることをかくさなすぎて・・・・」
「えっと、よくわからん」
すると、跡部がキッとこちらを見つめてきた。
「じゃあ、きみは『今日、生理だから一緒にお風呂入れない』とか!」
「『ムダ毛処理するから、後始末用のガムテ買ってきて』とか・・・」
「『ねえ、うちに来るついでに、サラ○ーティー買ってきて』とか・・・・」
「プールに遊びに行ったら『タンポン入れてくるの忘れたから、待ってて』とか・・・・」
「そういうやつに、異性を感じるか?」
「ひとみも俺たちを男と思ってないんだ・・・」
「俺たちも女とみていないが・・・」
「えっと・・・・お前らいつまで一緒に風呂はいってたんだ・・・」
『小5』
それっていいのか・・・・・・・。いや良くない。
「俺たち、初潮のお祝いにも呼ばれたよな・・・・ここに」
「ああ・・・死ぬほどやだった・・・・」
がっくりとうなだれる、2人。
「・・・まあ、あけすけなところはわかったけど・・・でも、もう高校生だし、それなりに女らしくなってんじゃない?今日だって、パンツ見られて恥ずかしそうにしてたし・・・」
「ああ、それは君に対してはね」
跡部の答えに松本は何度も頷く。
「いつもは、俺たちの目の前でTシャツ一枚とパンツ姿で歩いてくからね」
「そう・・・なんだ・・・」
羨まし・・・・くないな・・・なんか・・・
「あいつは、外では優等生で上品ぶった女を演じてるが・・・」
「俺たちの前ではまるでだらしないんだ・・・」
「・・・・・」
「おかげで、俺たち、女子への期待が・・・」
「全くなくなってしまって・・・・」
「期待?」
「ほら、かわいらしさとか、庇護欲とか、いろいろあるだろう?」
「ああ、そうだな」
「どの女もみんな、ひとみと同じなんじゃないかって・・・」
「そう。どんな可愛い子も、一皮むけば・・・・って」
そうなのか?いや、そうかもな・・・。まなも、俺の知らないところでは、違うのかもしれない・・・・。
「だから、彼女持ちの君の意見を聞いて、」
「がんばろうかと・・・・」
どうする。
どう答えるのがいいんだ?
こじらせ男子二人に男女交際のすばらしさはどうしたら伝わるんだ?
「えっと、そうだな・・・あ、桑原さんに女の子紹介してもらえば?もしくはこの部活に女子を勧誘するとか・・・」
「桑原はダメだよ・・・・」
「ああ・・・そうだな・・・」
「どうして、女子の友だちいないのか?」
『いない!』
「え、そうな・・・・あ・・・」
(「いや~、宗くん(跡部)とさとくん(松本)以外が来るのは初めてだぁ。しかも女の子も。ひとみちゃん、よかったねぇ・・・」)
そういえば、さっき、夕飯のときおばあちゃんがそう言ってたな・・・・
「ひとみに女友達はいない!」
「ついでにこの部活に、女子は入らない!」
「な、なんでだ!」
「それは・・・」
「ひとみはバイクバカ、バカイダ―だからだ!」
「あーーー・・・」
「ここまでバカなバイク女子なんて、ひとみくらいだろ?」
「そうだな・・・・」
「普通の女子が友だちになれるわけないだろう?新型の隼どう思う、とかそんな話題しかしないんだぞ!」
「それにピストンとかコンロッド磨いたり・・・・」
「パーツクリーナーとかキャブクリーナーをまき散らして・・・」
「ガソリンとオイルのにおいしかしない部活に・・・・」
「女子は・・・・入らないかぁ・・・・」
「そこで、登場したのが、君たちだ・・・」
「え、俺たち?」
「うん、まなたくの人脈で、何とか女子と繋がり持ちたいんだ!」
「・・・・・・・・えっと・・・・・うん・・・・・・善処するよ・・・・・」
『ありがとう!』
「じゃあ、とりあえず寝よう」
「うん、そうしよう」
「あ、たくみくん、がんばって早起きして」
「え、なんで?」
「ひとみが起こし来るとはずかしいんだ・・・」
「え、いいじゃないか別に・・・」
「じゃあ、布団ひっぺがされて、『きょうのワンポールテントは小さいね。ソロキャンね』って言われたいかい」
「・・・・・・・・わかった・・・・早起きするよ・・・起こしてくれ必ず!」
「うん。互いに起こしあおう。」
『うん』
俺たちは力強くうなづいた。
えっと、俺はソロキャンじゃないよ・・・たぶん。




