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離れられない

初めて前書きを書いてみました…!

わくわく……?

診療所の午前は、いつもささやかな慌ただしさに満ちていた。年配の患者が薬を受け取りに来たり、子どもが風邪で母親に連れられてきたり。楓は片隅で記録を手伝い、レイは待合室の椅子に腰掛けて静かに眺めていた。

「はい、今日は熱も下がってますね。無理しないで安静に」誠司の穏やかな声が響く。患者が帰ると、楓はちらりとレイを見やった。

――最初の頃と違う。彼女は以前のように怯えた顔をしていなかった。ただ静かに、時折瞬きしながら人のやり取りを見つめている。

楓は勇気を出して近づいた。「ね、レイ。人が笑ってるの、どう思う?」

レイは少し考えてから、ほんのかすかに唇を動かした。「……あたたかい」

その言葉に楓は胸がいっぱいになった。短い一言。それでも、今までで一番「人間らしい」響きを持っていた。

午後、二人は商店街を歩いた。楓が雑貨屋で鈴のついた髪留めを見つけ、無邪気にレイの髪にあてがう。「ほら、似合うよ!」レイは少し目を瞬かせて――外そうとはしなかった。

喫茶店ではクリームソーダを注文し、楓がストローで泡をつついてはしゃぐ。レイは恐る恐る口をつけ、氷の冷たさに眉をひそめる。その仕草があまりに自然で、楓は思わず笑ってしまった。

「ね、だんだん普通の女の子になってきたね」そう言うと、レイは黙ったまま視線を伏せた。けれど、頬がほんのわずかに紅潮していた。

帰り道。海沿いに差しかかったときだった。風がぴたりと止み、空がきしむような音を立てた。

「……え?」

楓が見上げた空に、黒い裂け目が走った。深い傷のようにひび割れ、そこから影が覗いていた。それは人の形をしているようで、していない。氷のような気配が、遠くから二人を射抜いていた。

楓は息をのんだ。思わずレイの手を握る。レイは一歩、前へ出た。その横顔は鋭く、これまで見せたことのない光を宿していた。

――知ってる。その表情がそう語っていた。

だが、次の瞬間、裂け目は音もなく閉じた。ただ海風だけが、何事もなかったかのように吹き抜ける。

楓は震える声で尋ねた。「いまの……なに?」

レイは答えなかった。ただ握られた手を、少し強く握り返した。

楓の胸は混乱していた。“人間らしくなってきた”と確かに思ったのに。それでも――やっぱり、レイは普通の少女なんかじゃない。

けれどその温もりを、楓はもう手放せなかった。



どうでしたでしょうか!

問いかけ、と言いますか

新たな形ですね。

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