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エピローグその一



 説明するのも億劫なほど、色々あり過ぎた日から明けて。

 筋肉痛やら心労などで鉛のように重く感じる体を鞭打って登校してみると、担任である宵町先生から、雛月霧絵の転校を突然聞かされた。

「あー。いきなりで悪いが、雛月が昨日の夕方になって急遽転校することになった。転校するかもしれないという話は前々から聞かされていたが、親御さんの仕事の都合でいつになるかは決まっていなくてなー。それが昨日になって急に転校が決まったって話だ。雛月にもこのことは内密にするよう言われていたせいもあって、みんなには転校するまで黙っておくことにしたんだ。だから私のことを恨んだりすんなよー。恨むならあいつの両親を恨め~」



『えー! 嘘でしょ? 最後になにも言わずに行っちゃうなんて……』

『水臭いよね~。私も雛月さんには色々お世話になったし、せめて今までのお礼くらいは言いたかったのに~。だれか連絡先知っている人いないの?』

『あの子、親の方針で携帯電話を持つのは禁止されていたみたいだったから、だれも連絡先なんて知らないんじゃないかしら?』

『くそう! 密かに狙っていたのに、もう告白もできないのかよ……!』

『音無ハーレムのメンバーが一人いなくなったのは嬉しいけども……!』

『委員長と合体したかった……!』



 と、小賢しく責任逃れをしようとする宵町先生を当然のように総スルーして、純粋に別れを惜しむ者から邪な者まで様々な反応を見せるクラスメート達。それだけ霧絵がみんなから慕われていたということに他ならないのだが、奏翔にしてみれば複雑な心境だった。

 なぜならそれは、すべて奏翔からエリクシアを破壊するための演技に過ぎなかったのだから。

 だが、それをわざわざ口にする必要はない。そもそも信じてもらえるような内容でないという理由もあるが、それ以上に奏翔自身、霧絵の話をしたいとは思わなかった。

 霧絵の正体を知った時はショックだったし、あとで陰鬱な気分にもなったが、それでも彼女といた時間がとても充実していたのは、紛れもない事実なのだ。

 だから、ついでのように真城の退職を宵町先生の口から聞かされた時も、まるで頭に入らなかった。




「……色々と調べてみた結果、雛月霧絵がこの学校に在籍していた時の情報は、すべて虚偽のものだった」

 一時限目が終わり、休憩時間の合間のことだった。

 いつの間にか机の中に入っていた手紙を授業中にこっそり読んだ奏翔は、待ち合わせ場所として記載されていた体育館倉庫に行ってみると、そこには手紙の主である柊が一人ぽつんと立っていた。

 手紙に差出人の名前は入っていなかったが、なんとなく予想は付いていたので、その点ではさして驚きはしなかったものの、普段は施錠されているはずの倉庫の扉をどうやって開いたのか訊ねてみると、

「……ピッキング。これくらい、ボク達の世界では常識」

 なんて柊に言われて、もはやなにからツッコミを入れたらいいか、わからなくなった。

 それはさておき、今の時間帯だと体育館倉庫が使われる予定はないとのことで、顔を合わせた当初は周りの目も気にすることもなくその後の調子などを訊かれていたのだが、話が一段落したあとになって、柊が冒頭のセリフをいつもの無味乾燥な表情で語り始めたのだった。

「そっか。全部嘘だったんだ……」

 そばにあった白線引きの台車の上に腰かけて、柊の報告に吐息多めに相槌を打つ奏翔。

「でもまあ、当然っちゃ当然か。スパイとして潜入していたんだから。もちろん、宵町先生が言ってた転校の話うんぬんも嘘なんだよね?」

「……肯定。家庭訪問などで両親と対面した事実そのものは学校側にあったものの、雛月霧絵との血縁関係までは確認されていない。冷静に考えて、雛月霧絵の仲間だった可能性が高い」

「こうなってくると『雛月霧絵』という名前すら怪しいよね……」

「……むしろ、偽名だったと考えるのが妥当な線」

 こくり、と首肯する柊。なんだかもう、雛月霧絵という存在そのものが幻のように思えてきた。

「──それで、その後の委員長の足取りは掴めているの?」

 未だに『委員長』呼びもどうなんだろうと思いつつも、かねてから気になっていた疑問を投げてみると、柊は小さく首を横に振って、

「……あれから雛月霧絵の行方は掴めていない。ボク達の前から姿を消したあと、おそらく『現人十字教団』のアジトに戻ったと思われる」

「そのアジトの在り処は?」

「……ごめんなさい。そこまで判明できていない」

 申しわけなさそうに低頭する柊に「いやいや。僕も急かすようなことを言ったみたいでごめん」と奏翔も慌てて謝った。彼女はあくまでも善意で助けてくれているのだ。自分の力ではなにもできない以上、文句を言うのは筋違いである。

「……ただ、同時期に真城先生が退職したのは気になっている。なにか関連性があるのではないかと、目下調査中。奏翔はなにか知ってる?」

「い、いや? なにも知らないよ?」

 つい顔を逸らして白を切る奏翔。本当はめちゃくちゃ心当たりがあるのだが、宵町先生に口止めされているし、事情を話すわけにもいかない。

 対する柊の反応は、ともすれば見逃しそうなほど微細に眉根を寄せつつも「……そう」とだけ言って話を流した。どうにか誤魔化せたようで密かに胸を撫で下ろす。

 にしても今の話を聞くに、どうやら真城の正体は《人類審査委員会》以外の組織には知られていないままになっているようだ。とどのつまり、上手く宵町先生が内々に処理したということなのだろう。真城から色々と情報を吐かせるとか言っていたし、きっと今ごろ拷問でも受けているのかもしれない。どうでもいいことではあるが。

 それはともかく、その宵町先生ならば──【観察者】である彼女ならば、霧絵の所在を知っているのではないだろうか。いくつかある組織の中でも《人類審査委員会》がもっとも情報を収集していそうだし。

 だが、すぐに無理そうだなと諦観した。面倒くさがり屋な彼女のことだ、そんな簡単に口を割るとは思えない。

 それに宵町先生のことだから、案外最初から霧絵の正体を知った上で生徒として接していたのではないだろうか。まあ仮に問い質しても、どうせ「さあな」としらばっくれるのが関の山だろうけども。

「でもそうなると、またいつ委員長に狙われるか、わからないってことか……」

「……本当に申しわけない。あの時、雛月霧絵を捕まえてさえいれば……」

「いや、昨日も言ったけど、謝る必要はないから。委員長も見るからに逃げ足が早そうだったし……」

 そうなのだ。

 あのあと霧絵を追いかけようとして、結局捕まえることができなかった柊は、とぼとぼと意気消沈とした雰囲気で屋上に戻り、開口一番、奏翔に謝罪したのであった。

 いわく、絶対に捕まえなければならない相手をみすみす逃してしまった、と。

「けどまさか、委員長があんなに機敏に動けるなんてね。そこまで運動神経が良さそうには見えなかったら、すごく驚いたよ」

「……《現人十字教団》は宗教団体ではあるけれど、カルト的な思想を持ち合わせているだけに日頃から戦闘訓練を受けていると聞く。今まで目立ったテロ行為はないけれど、人類の敵と見なした物は一切の慈悲なく粛正しているらしい」

 だから、ああいった荒事にも慣れていたということか。そう考えると、大したケガもなく無事に済んだだけでも幸いだったのかもしれない。

「なんだか……うん。こうして話してみると改めて実感できたというか、柊さんって本当に【護衛者】だったんだね……」

 夢心地にも似た心境で言った奏翔に、柊は少し気まずそうに視線を逸らしながら無言で頷いた。

「そっか。ということは、一年生の頃からずっと僕を見守っていてくれていたんだね」

「……うん。今まで黙っていてごめんなさい」

「謝るようなことじゃないから。むしろ礼を言わなきゃいけないくらいだよ。いや、それよりも謝るのは僕の方か……」

 言って、奏翔は深々と頭を下げた。

「本当にごめん。柊さんのこと、僕を狙っている【抹殺者】と勘違いして……」

「……問題ない。疑心暗鬼になるのも無理はない状況下だった」

「そう言ってもらえると、少しは楽になるよ」

 顔を上げてほっと安堵の笑みを浮かべる奏翔。怒りを買っていたらどうしようかと思っていただけに、心底安心した。

「じゃあ僕の下駄箱に入っていた手紙も、家に届いた無線機も、全部柊さんが?」

「……肯定。ここのところ【破壊者】や【抹殺者】の動きが活発化していたから、少しでも奏翔に危機意識を持ってほしかった。ボクの力だけでは限界があったから……」

「もっと仲間を増員することはできなかったの?」

「……前に無線でも話した通り、下手に増員して奏翔の周りをうろついていたら、それこそ他の組織に勘付かれかねなかった。だからボクも秘密裏に動いていたのだけど、結果的にエリクシアの所在を【抹殺者】である雛月霧絵に知られてしまった。面目ない……」

「いや、元はと言えば、僕が雨に濡れた状態で胸の傷をさらしてしまったせいだし」

「……けど、その時はまだエリクシアのことなんて知らなかったから……」

「まあ、そうなんだけど。でもどのみち、エリクシアの在り処がバレるのも時間の問題だったんじゃないかな? 今回は雨に濡れてしまったせいでバレちゃったけど、それ以外にも温泉とかに入っていたらすぐに気付かれていたくらいの、ギリギリで綱渡りをしていたようなもんだし」

 それに、と奏翔は一拍間を置くように言葉を止めたあと、恥ずかしげに頬を掻きながら口を再び開いた。

「仮に前々からエリクシアの話を知っていたとしても、僕の下手な演技力じゃすぐにバレていたと思う」

「……奏翔……」

「これから委員長とかその仲間に命を狙われるのかと思うと、正直めちゃくちゃ怖いけどね……」

 言いながら、証明するように小刻みに震える手を見せると、不意に柊がその手を取って優しく包み込んだ。

「……大丈夫。説得力はないかもしれないけれど、奏翔はボクが命に代えても絶対に守るから」

「柊さん……」

 嘘など微塵も感じさせない真摯な表情で見つめてくる柊に、奏翔は感謝の念もよりも疑問の方が先に沸き上がってしまった。

「なんでそこまで僕を? 柊さんが《調律研究所》に属しているからっていう理由もあるんだろうけど、それにしては僕にこだわり過ぎている感じがするのは、ただの気のせいなのかな……?」

「……気のせい、ではない」

 奏翔の手に己の額を触れさせて、柊は情感のこもった声音で言の葉を紡いだ。

「……奏翔はボクにとって恩人だから。とても大切な人だったから、どうしてもボクの手で守りたかった……」

「恩人……? 僕、なんかした? 学校じゃ普通に仲良くしていただけだよね?」

 心の底から首を傾げる奏翔に、柊は少し残念そうに眉尻を下げて、

「……奏翔とボクは、小さい頃に一度会っている。その時奏翔に励まされたおかげで、ボクは絶望せずに済んだ」

「え? 僕と柊さんが? ていうか、励まされた……?」

 一体どこから驚けばいいのやら。

「……本当に小さかった頃だから、憶えてないのも無理はない。それにちょっとしか話をしなかった」

「ごめん。全然記憶にない……。ちなみに、どこで会ったの?」

「……奏翔が定期健診で幼少期から通っていた病院。あそこはボクの祖父が設立した大学病院でもある」

「ウソ!? 冨野とみの病院の!?」

 まさか、小さい頃からずっと通っている病院の親族がこんな身近にいようとは。

「あれ? でも名字は違うよね? それってどうして?」

「……さすがに本名で【護衛者】として活動するわけにもいかないから、母方の名字を使わせてもらっている」

「あ、それもそうか。で、僕が恩人というのは?」

「……小さい頃、ボクの母が重い病で入院していて、一時期危篤状態に陥ったことがあった。生存率はほぼ絶望的と言われていたくらいに」

 突然身内の話になって戸惑いを覚えつつも、奏翔は「そう、なんだ」と相槌を打つ。

「……日に日に死の雰囲気を濃くさせる母に、ボクはただ病院の待合室で悲しみに明け暮れるしかなかった。そんな時、たまたま心臓の検査に来ていた奏翔と偶然会った」

 ここにきて、ようやく奏翔が話に出てきた。

「……当初、ボクはまだエリクシアのことをなにも知らなくて、当然奏翔の顔もよく知らなかった。だから初対面であるボクに奏翔が唐突に『どうかしたの?』と話しかけてきた時はとても驚いた」

「あー。その時のことは全然覚えてないけど、じいちゃんが言うには昔の僕ってあんまり人見知りしないタイプだったらしいんだよね……」

「……確かに、あの時の奏翔は無断にボクの頭を撫でるくらいには馴れ馴れしかった」

「……記憶にないとはいえ、昔の僕がとても失礼な真似をしてしまったようで……」

「……謝る必要はない。むしろあの時は父が仕事で忙しくてなかなか会えないせいもあって不安でいっぱいだったから、とても安心できた」

「………………」

「……それになにより、親身になってボクの話を聞いてくれたばかりか、奏翔に『ぼくも生まれたばかりのころに死にそうになった時があるみたいだけど、その時おじいちゃんがもう死んじゃってたお父さんやお母さんの分までずっとぼくに話しかけてくれていたんだって。だから君もお母さんに早く元気になってねっていっぱい話しかけてみたらいいよ。きっとぼくみたいに元気になるよ』と言ってくれた時は、とても勇気をもらえた……」

「それで、その、お母さんは?」

「……その後、徐々に回復して、今は元気に過ごしている」

「そっか。よかった……」

 これですぐに死んでしまっていたら、かなり気まずいところだった。

「……これも奏翔のおかげ。お母さんに元気になるように毎日ずっと話しかけたら、ちゃんと元気になってくれた。ボクの声が届いてくれていた。あの時ほど、だれかに感謝したことはない。だから──」

 と、柊はそれまで握っていた奏翔の手を胸元まで寄せて、さながら蕾のままだった花がひっそりと咲いたような、そんなたおやかな微笑みを浮かべた。



「……ありがとう、奏翔。ボクとお母さんを救ってくれて……」



 その初めて見る可憐な笑みに、奏翔は「うっ」と仰け反った。

「……? どうかした?」

「ううん。なんでもないです……」

ただ、あまりの可愛さに圧倒されただけです。

「と、ところで、これから僕はどうした方がいいのかな?」

 思わず照れ隠しで話題を変えた奏翔に、柊はいつもの無表情に戻って、

「……以前のように、それとなく周りを警戒しながら過ごした方がいいと思う。あまり不自然にならない程度に」

「それが一番難しいんだけどなあ。演技の心得なんて微塵も知らないし……」

「……それから、これからはボクが奏翔専属の【護衛者】になる。なるべく奏翔のそばから離れないようにするため、近くにいる機会が多くなると思うけど、できるだけ気にしないでほしい」

「それもなかなか難しい注文だね……」

 苦笑しながら応える奏翔。なまじ普段から全然気配がないだけに、突然の出現にびっくりする率が増えそうだ。

「あ。そ、それとさ……」

 とここで奏翔は少し気まずげに頬を掻きながら、今日一番気にかかっていたことを訊ねた。

「ひなたのことはどうしたらいいかな? 結局昨日から、ろくに事情を話せてないんだよね……」

 そう──昨日柊が霧絵の捜索に出てしまったあと、なんとなくなにを話したらいいのかわからなくてお互いに黙っていたままだったのだが、柊が帰ってきたあとも、ひとまず帰宅した方がいいという流れになって、柊に付き添ってもらいながらひなたといっしょに帰路に着いたのだった。

 余談ではあるが、その時近辺に霧絵の仲間達も潜んでいたらしいのだが、柊の仲間が事前に追い払ってくれていたそうだ。霧絵がバイクで奏翔を追いかけていた時に仲間に頼んであちこち道を塞いでもらったと言っていたので、きっとその時の一味だったのだろう。

 ちなみにそいつらのせいで奏翔に割いていた人員もそっちの対処に回され、それで霧絵の動きになかなか気付けなかったのだとか。つまり、もしもあの時柊が迅速に動いてくれていなかったら、今ごろ奏翔の身もどうなっていたかわからなかったわけだ。

「……正直、ボクも迷っている。奏翔が襲われているところを見られた以上、なんらかの釈明は必要だと考えている。けどエリクシアの話をしたら、今度はひなたが狙われるかもしれない。特に相手が【破壊者】だった場合、どんな蛮行に出るか……」

「だから柊さんも、あえてなにも喋らなかったんだね……」

「……肯定」

「そっか。じゃあ、なおさらどうしよう……。ひなたも全然話しかけてくれないし……」

「……全然?」

「うん、全然。というか、昨日からまともに話すらしてないや……」

 一応、昨日別れる際に挨拶くらいはしたが、結局それっきりで、今朝も朝食やお弁当の準備まではしてくれたものの、そこにひなたの姿はなく、すでに登校したあとだった。

「……僕、どうしたらいいのかな。今まで何度もケンカしたことはあるけど──いや、別にケンカしたわけでもないんだけど、正直ひなたと顔を合わせづらくってさ……」

「……難儀。ただ、向こうも急かしているわけではないみたいだから、タイミングを見計らって話しかけてみた方がいいとは思う」

「……エリクシアの件は?」

「……できるだけ誤魔化した方がいい。ただ、ひなたも中途半端な説明だと納得しないだろうから、ある程度整合が取れた話を作っておいた方が無難ではある」

「話を作る……。ひなたに嘘を吐かなきゃいけなくないのか……」

 だが、本当にそれでいいのだろうか? あれだけ拒絶しておきながら、それでも奏翔を心配して必死で探してくれたひなたに、嘘をついてまでエリクシアの件から遠ざけようとするのは、果たして誠実な対応と言えるのだろうか。

 むろん、だからと言って軽々にエリクシアの話をするわけにもいかない。慮るのはいいが、本来無関係なはずのひなたを危険なことに巻き込むなんて、それこそ本末転倒だ。ひなたに恐怖を与えるような真似だけは絶対にしたくない。

「まいったな。マジでどうしたらいいんだろう……」

「……奏翔がよければ、ボクも間に入る。すでにひなたには関係者だと思われているだろうから」

「ありがとう柊さん。でもこれは、きちんと僕から説明しなきゃいけないことだと思うから……」

 きっとひなたも、そうしてくれるのを待っているのではないだろうか。

 だからなにも訊いてこないんじゃないかと、今さらになってそう考えた。

「……わかった。あとは奏翔に任せる」言って、柊はようやく奏翔から手を離した。

「もしボクの協力が必要になったらいつでも言ってほしい。すぐに駆け付ける」

「うん。困った時はそうさせてもらうよ」

 そう首肯して、奏翔はぎこちなく相好を崩した。



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