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日々の日記  作者: リンダ
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ウラノメシヤ~(笑)

 今回は私の完全オリジナルな笑い小ネタを一つ。

 寒さも厳しくなってきた年の暮れ。お婆さんが夜道を歩いて帰っていた時のこと。ふと前を見ると、寒さが厳しい季節であるにもかかわらず、髪の毛が長くて、色白で、見ただけで薄着とわかるような女性がぽつんと佇んでおりました。お婆さんは

「寒くなりましたねぇ」

 と、声をかけると、その女性は

「うらめしや~」

 と、言ったんですが、お婆さんは少し耳の聞こえが悪くて

「ウラノメシヤ?あぁ、裏通りにあるご飯が食べられる店のことかね?それなら、そこの角を右に曲がって…」

「あぁ、いやぁ、私、今うらめしや~って言ったんですけど…?」

 そう、その髪の毛が長くて、色白で、薄着の女性、実は幽霊だったんです。

「だからねぇ、裏の通りにあるめしやさんは、そこの角を右に曲がって、少し進んだところに、もう一つ交差点があるから、そこをもう一回右に曲がったらあるよ。それにしてもあんた、こんなに寒いのに、そんな薄着で寒くないんかね?」

「あぁ、だから、私は幽霊なんです。ここの近くで交通事故に遭って、運悪く死んでしまって、それでも成仏できなくて、それで幽霊になって出てきたんです」

「ほう、あんた、ゆう・れいっていう名前なんかね。なんかちょっと変わった名前じゃねぇ」

「いや、だから、私はゆう・れいっていう名前とかじゃなくて、幽霊なんです。この近くで交通事故に遭って、成仏できなくて、それで幽霊になったんです」

「おぉ、そうなんかね?寒いから風邪ひかんようにねぇ。それであんた、ご飯が食べられるところを探してるんよね?私が案内するからついてきんさい」

「あのぉ、私はおなか空いてるんじゃないんです。もう、なんて言ったらわかってもらえるのやらぁ…。なんか説明するのも疲れてきたわ」

 と言って、疲れた表情を見せるその女性の幽霊。そんなのお構いなしにお婆さんはどんどん先に行くので、仕方なしについて行って、歩きつつも、その女性の幽霊は

「あのぉ、私お金持ってないんですけど…。それに私はご飯が食べたいわけじゃなくて、成仏したいんですけど…」

 お婆さんは、

「お金ないんかね?すまんねぇ、私も家にお金おいてきたから、今もってないねぇ。ほんの少し、用事があって、近くの知り合いところに行ってたもんで」

 そうこうしていると、赤信号がともっていたので、立ち止まると、赤信号なのに突っ切っていく車が

「ありゃ、あんなことしちゃいけんね。赤信号はきちんと守らんと。あれねぇ、絶対にもれそうで焦ってたんよ。もう漏れる~ってね。じゃから、あんな奴は「モレモレマンって言ってやったらいい」

「モレモレマン?」

「そう、もれそうで焦って、赤信号でも、止まる余裕がないから。ところであんた、うらのめしやさんはどうするかね?私の家はすぐそこじゃから、簡単なご飯なら作れるよ」

「モレモレマンかぁ。なんかもう、うらめしや~って言うのも、バカらしくなってきたわ」

 そんなこんなでお婆さんが一人で暮らしている家に着いて、振り返ると、

「なんか、おばあちゃんのお話聞いてると、成仏できそう。あんまり話できんかったけど、おばあちゃん、ありがとうね」

「おぉ、そうかねぇ。じゃあ、また遊びに来んさいね。うらのめしやさんでごちそうするよ」

 彼女はスーッと消えそうになりながらも、

「だから、私はウラノメシヤさんに用事があったんじゃないって…。それに私はゆう・れいっていう名前じゃなくて、幸子って言うんです」

「ほう、そうかね、また来んさいよ。ゆう・れいさん」

「だから違うんじゃけどなぁ、まぁ、もういいわ。なんか吹っ切れたから。じゃあねおばあちゃん」


 そう言って、彼女はスーッと姿を消していったのでした。

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