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君も核武装しないか?~核武装おじさん~
「――君も核武装しないか?」
「!?」
空間が停止する。
”志公”。”政治家”は言った。
「――――」
(馬鹿な……)
いったい何を考え何を言っている?
この鉄火場で?
『核武装』?
蒸気を逸しているし狂っている。
だがその狂った一言が死の行軍を停止させ、壊滅を止めたのも事実だった。
「そう異常な目でみないでほしいものだがね。政治家だからね、傷ついてしまう」
”志公”は苦笑した。一欠片も傷ついた様子はない。
「政弱者が強者から殴られないために、武器を用意する。いじめられっ子が、いじめっ子から身を守るために、武術を習うのと、本質は同じさ」
この”志公”の異名の一つ。
「殴られないための抑止力を用意する。政治家として当然の務めだよ」
――核武装おじさん。
絶対に敵に回したくない、危険なおじさんだった。