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23 無関心。

 地図を見ながら今後の相談。

 真っ直ぐにフィンランドに向かう、と思ってたんだけど。


《デンマークの先っちょで乗り換えね》

「何で?」

『途中までは貨物と人が同じ船で移動、ただ検品や検査の為に人は1度下ろされ別の船に乗り、別の航路で其々の海峡を超える。荷降ろし時の事故防止、長期間の係留を防ぐ為だ』


《それと経済的にもね、お金を落として貰う為に人は早く陸に着けたいし。そうして船員と分断する事で、疫病の早期発見にも繋がるから》

『不衛生だった、船員に体調不良者が居た、そうした愚痴を聞くにも引き離した方が聞き出し易い』


「進んでるんだよなぁ、やっぱりキャラバンって存在のお陰だと思うんだよね」

《それにウチの国の造船技術も、木鉄交造船を出し始めたからね》


「そこ大丈夫なの?何か、進み過ぎてる気もするんだけど」

《やっぱりそう思うんだ》


「やっぱり?」

《叡智の結晶用の勉強をしてた時、転移転生者が気にする事柄について教えられた中で、造船や製鉄に関する事を心配する者は信用度が高いって》

『成程、武器製造に繋がってしまうからか』


「え、僕は何も判らないよ?」

《そこは信じてるけど、危ない事に繋がるモノは本当に無い?》


 一応、改めて考えてみても。


「何も無いんだよねぇ、ハーブやスパイスは調味料まで、鉄製品の事は知ってるけど表面だけで構造とか詳しく知らない。知ってると言えば人間関係、人の事が少し、専門家と言えるのは」


 今思うと、専門家のハードルが高かったのかなとも思うけど。

 でも、ココで専門家と言えるのは、その時代の事だけかな。


《のは?》

「僕が生きた時代の事、かな」


《それでも十分だからこそ、重用される危険性が有るからね、何も表に出さなかったのは正しいよ》

「何でそんなに信用しちゃう?」

『敢えて言わないでくれている事も有ると思う、それだけで私達には十分なんだよ』


《だね》

「でもさ、もう王族はある程度の事は知ってるんだよね?」


《具体的な事は最高位以外に知る事は殆ど無いんだ、イーライみたいな存在に既に気付くか知る者以外、本来なら知る事すら許されない。全ては悪用を防ぐ為、守る為。だけど別の集団も関わってるみたい》

『そこは全く聞いていなんだが』


《秘密結社フリーメーソン、各国の貴族の中に紛れてるのと。セーフリームニル騎士団の一部の者、それとキャラバンも、モロッコ所属だけど、ある意味では別集団なんだって》


「え?フリーメーソン?」

《あ、やっぱり知ってる?》


「実態は知らないけど、有名で、そっか、成程」

『イーライ、聞かせてくれないだろうか?』


「頭が良い人が加入してる組織、ってしか知らないからね?」

《キャラバンもフリーメーソンも、実は転移転生者が組織したんじゃないかって》


「あー、衛生観念の導入もだけど、抗生物質がね、分かる、ぽい。けどセーフリームニル騎士団は知らない」

《金羊毛騎士団は分かる?》


「聞いた事は有る気がするけど、殆ど分からない」

《十字軍へのカウンターで作ったとか、単に称号を与える為だとか言われてるらしいんだけど。ココだとフリーメーソンの集まりを公式で行う為、だとか色々と言われてる》

『セーフリームニルとは神話上の生き物、若しくは食べ物とされ、食べても減らないか復活する。煤けた海の生き物、の意が有るが、イノシシとされている』


 イノシシみたいな海の生き物?


 クジラ?アザラシ?

 ぁあ、食わないもんな、ココら辺。


「クジラとかアザラシの事じゃない?」


《イーライ、前って、海沿いか東洋だよね?》


「そうなるよねぇ」

《いや、食べ物にクジラとかアザラシって出た場合、そう思った方が良いって言われてるんだ》


「あー、うん、海沿いで東洋の島国。東洋の地図有る?」

『いや、実は無いんだ、東洋を守る為に無いとされている』


「あー、なら危険な知識持ちかも、ふんわりだけど地図書けるもの」

『なら心に秘めておいてくれて構わない。そして念の為に敢えて言わせて欲しい、国や誰がに頼まれて一緒に居るワケでは無いと』

《それはそう、好きで一緒に居るだけだからね》


 コレが嘘じゃないのがまたね、何でこんなに恵まれてるんだろ。


「えへへ」


《あ、アザラシって本当に食べるの?》

「そこは流石に食べた事は無いな、生息地は北の方だし」

『そこなんだが、どうしてそう思ったんだろうか』


「イノシシと同じで、肉が脂と赤身が綺麗に分かれてるんだよね、それで食べても減らないとなったら、クジラかなと。凄く大きいから」

《毛皮とかも使うの?》


「クジラは皮も食べるし骨も使う、捨てる部分が無い、と言うか本当に海からの贈り物として全て活用してた」


 油だけ取って捨てる国とか有ったけど、本当、勿体無い。


《それ多分、答え、かもね?》

『あぁ、そうだな』

「いや納得しないで詳しく教えてよ、セーフリームニル騎士団の事」


《金羊毛は神話上の生き物、黄金か黄金色の毛皮を持つ動物、とされてるんだけど》

『そのままでは無く、敢えてセーフリームニル騎士団とした、らしいとされている』


《騎士団の成立は向こうと同じく、有力者と繋がる為だとは言われてるんだけど、真意は考えろって言われてるんだ》

『ココでは虚では無く実を取る、黄金や毛皮で腹は膨れない、騎士団が求めるべきは食糧。食べられるモノを探す、そして無駄にせず加工する、そうした意味が有るのだと、今理解した』


《だね、そして黄金を得ようとする者、利用しようとする者の排除。採掘は川を汚し地を枯らすからね》

「あぁ、金より食べ物を大事にしないとね。けど毛皮も重要だと思うよ?寒さを凌ぐには毛皮だと思うし」

『転移転生者に考慮しての事らしい。どうやら、一部の者にしてみたら、毛皮は野蛮で残虐だそうだ』


「それ北国で言えるのかな、凍傷で手足が無くなっちゃうんだよ?」

《けど砂漠の民にしたら分からない、なら食べ物を探す団体、って事にしたんだと思う》

『イノシシの様な生き物は砂漠地帯にも居るらしい』


「あ、アレ、動物の本って何アレ?何であんな出鱈目な本が有るの?」


《アレ、向こうで出てる本を、そのまま保存してるらしい》

「えー、あー?えー?」

『まぁ、知識が詳しく正しく広まらなっかた場合の見本、だろうな』


「あー、ね、うんうん」

《クジラの絵を書いてよ、それとアザラシ》


「嫌だよ、壊滅的に絵の才能が無いんだもん」


《ワザとじゃ?》

「ない、元からダメだしヤる気も無い、絶対に嫌だ」

『その方が良いのかも知れないな、叡智を悪用されて困るのは、イーライも同じなのだから』


「まぁ、だね」


 才能が無い事に初めて感謝したかも。


『イーライ、ならセーフリームニルの単語が出る神話、エッダは未修か』

「ラグナロクだけだね、後はカリグラフィーが好きでそればっかりやってたし」

《字は綺麗なのにね》


「アレは見たままだし見本が有るし、貴族なら出来てないとじゃない?」

《普通の筆記体で十分だよ?》


「いや、出来てるべきだね」


 だってカッコイイし。


《そこは凝り性だよね、本当にそこだけ》

「生きてられるだけで良いんだもん」

『生きる為にも食事は重要だが、ココでの好物は有るのか?』


「ウチのオムレツは世界一」




 揉め事に巻き込まれ続けたのにも関わらず、息子のイーライは確かに食欲が増した。

 しかも時間が経っても、吐く気配も無く。


『イーライは図太くなったのか、やはり婚約が重荷だったのか、それら全てか』

「又は別の要因だったにせよ、コレで安心してご遊学に送り出せるかと」


『パトリックは兎も角、あの御者のウォルターなる者も同行する理由は、何なのだろうか』

「最初は好奇心と同情心だったそうですが、今は人柄に惚れ込んだ、と。兄弟や家族、そういった親しみも有るそうで」


『彼の顔を、何処かで見た事が有ると思わないか?』

「ヴィリアーズ男爵家の方だそうですが、ご面識が?」


『いや、無いんだが』


「どちらでお見掛けした方に近いのでしょう?」

『んー、大きな、大勢居た場所、だとは思うんだが』


「王都にお住まいが有るそうで、王都でお会いしたのでは?」

『王都ではある気がするんだ、が』


「ヴィリアーズ男爵とは」

『面識が無いんだが、何処かで見たような……』




 全ての言葉は私の為、イーライの為。

 今ならお兄様の優しさだったと分かる、しかも私が生意気だったからこそ、心配して言ってくれた事を。


 私は、嫉妬心に使ってしまった。


 《実は凄く優秀だって気付いてる筈だよね、ならローズも頑張らなくちゃ》


 今まで、全て、手加減されているだけだった。

 そう認めたく無かった、王族だからと認めるワケにはいかなかった。


 そして、私を好きでは無いと認めたく無くて、無理を言って振り回した。


 なのに嫌がる顔すらもしないから、私はまた不機嫌になって無理を言う、そうした不毛な行いを繰り返した。

 分かってる、分かっていたのに。


 好きになってくれる気配も無い事に苛立ち、酷い事を言ってしまった。

 してしまった。


 まるで好かれているようで、嫉妬されていると勘違い出来そうで、そう思えた事で心が落ち着いた。

 そうやって何とか自分を納得させようとして、でも結局は納得がいかず、再び苛立ってしまい。


 つい他の人に惹かれそうになった時も、全て良く思い出せば、イーライからの嫉妬は全く無かった。

 寧ろイーライに滲んでいたのは、呆れ。


『凄い、良く通えるわね』

『流石、単なる貴族とは度胸が違いますわね』

『あまり関わらない方が良いですわよ、飛び火は困りますし』


 私の事かと詰め寄れもしない、批判とは言い難い内容が囁かれる。


『あれ、イーライと一緒じゃ?』

《あの、どちら様で》

『えー、コレでアレって、何か残念だなぁ』

『はいはい、もう行こうぜ、失礼しましたローズ嬢』


 イーライが上級生を追い掛けた件も既に出回り、直ぐに軽口の内容が当たり障りのないモノへと変化した。


 私の日課は彼らの名前と言われた事、態度を記録として残す事。

 恨みと言うより、少なくとも王族に関わらせるべきでは無い人間のリストとして、そう作っている。


 そして諫めた者も記録。


 今までで1番、何も無い時間を過ごしている。

 末席と言えど王族、けれども既に廃嫡が決定されている筈なのに、一切連絡は来ない。


 多分、今までに無理にも名誉を挽回しようとした者や自暴自棄になる者だ出たからこそ、ここぞと言う時に伝えるのだろう。

 全ては大人しく過ごさせる為、王家の為。


《あぁ、あの方が》

《らしいですわね》

『はしたない事は止めましょうよ、さ、行きましょう』




 ローズ嬢も学園も落ち着いたからと、キャサリンが合流してくれた、そして先ず渡されたのは旅行用のカバン。

 そのカバンの中から、旅行用カバンが出てきた。


 王族用の魔道具のカバン、凄い入るの、セパレートされてて隠し底的な場所から出せる。

 なのに普通の重さ、見た目も普通。


 魔道具、凄い。


「行ってきます、父上、母上」

『あぁ、気を付けて』


 こうした時に母上はちゃんと母親をしてくれるから、嫌いになれないんだよね。

 体に気を付けろとか、今までごめんなさいと謝ってくれたり、ちゃんと素直になれる時も有るから好き。


 いや、好きって言うか、マシ。

 ごめんね母上、合わなかった息子の事はどうか忘れて下さい。


「まだ母上は若いんですから、僕が帰って来るまでに妹か弟をお願いします、楽しみにしてますよ。じゃあ、さようなら」


 一応、遺言は残した、何かしら事故は有るだろうから。

 母上は妊娠してる時と子育ての時が1番幸せそうだから、僕が万が一にも死んだら妹か弟を作ってくれと、親不幸な子供の事は忘れて欲しいと残した。


 何も無いと母上が大荒れして皆が困るだろうし、今まで世話になった恩は、コレで返すって事で。

 執着が無いからこそ、もう関わらないし、関われないし。


《分かってくれると良いね》

「周りは比較的優秀だから大丈夫、それに兄達は素直だから遺言通りにすべきだと後押ししてくれる、筈」

『未練は、無いんだな』


「やっぱり、ある意味で他人だからね、この外見すらも借り物だと思ってたから」


 容姿の違いから自己とか自分とか凄い考えて、考えれば考える程、家族が他人になった。

 養子感覚だったんだよね、着ぐるみを着て養子をしていた、だけ。


『家族になろう、イーライ』

《だね》


「うん」


 家族が持てるだなんて、こんなイケメンズと一緒に居られるなんて、何て恵まれてるんだろ。

 コレも不幸ストックのお陰かな。

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