9 さんにんの愛馬車。
この時代の馬車の割りに意外と揺れないんだけど。
本を読むには揺れ過ぎるし、話し始めたら口説かれるし、それこそ眠くなるしで。
《イーライ、もう直ぐ付くよ》
「ぅうん」
《激しい運動をするからだよ、大丈夫?》
「だって暇になるの分かってるんだもの」
馬車移動が確定した段階で、めっちゃ筋トレしたよね。
凄い酔うってワケでも無いんだけど、そこまで本を長くは読めないし、それこそ本は貴重だから持ち歩きたくない。
じゃあ休息に使うのが1番だろ、と。
だって移動だけで1日が潰れるんだもの。
《じゃあ今夜は構って貰おうかな》
《どうぞ、但しご自分達で洗濯なさって下さいよ》
『じゃあ次はパトリックの番か』
「まだ承諾して無いよ?」
《嫌なの?》
「キャサリンの前では自重してくんないかな?」
《私は構いませんよ、脳内では全員女性として聞き流してますから》
「でもダメ、居ない時にして」
《しょうがないなぁ》
コレが逆にダメだった。
1日目の夜、宿屋に泊まった時から、後悔が始まった。
『キャサリンからマッサージをすべきでは、と』
《成程》
「いや成程じゃなくて、それこそ君らに」
『なら、それは明日で』
《だね》
それからはもう、この、加減が分からない人達に仕返しをして凌いでいたけど。
2日目には、器用で学習能力の高い彼らに倍返しをされる様になり。
3日目、果てはキャサリンの入れ知恵で本格的に籠絡され始め。
馬車の旅は自堕落になる。
その意味がコレって。
『拗ねているのも可愛いね』
もう寝たフリ。
そんで、夜に散々疲れてるから、馬車で寝て。
起きて。
《何処か痛い所は?》
無いけど、それこそ尻は無事だけど。
それ以外がもう、無事じゃない。
「無いけど、もう、今日は本当に何も無し」
『分かった』
《流石にね、クタクタの君を見せるワケにはいかないし》
コレ、まだ馬車でイチャイチャしてた方が良かったんだろうか。
いや、でも、キャサリンが居るんだし。
そしてその日だけは、何事も無く4日目の朝を迎え、馬車へ。
爺さんに謝る言葉を考えないとなぁ。




