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7.提案を受ける。

「マヒーユ様……どうしてこちらに?」

「鍛錬」

「……休みの日も鍛錬しているんですね」




 仕事として鍛錬をするのと、休みの日も鍛錬を続けるのはまた違う意味があると思う。

 マヒーユ様はこうやって努力を怠らない人だからこそ、強いんだなと思った。



「母さんと父さんが身体は常に鈍らせないようにした方がいいと言っていたから。ユリアンリもか?」

「……ええっと、恥ずかしい話なのですが私はお金を稼ぎたくて行動していて、マヒーユ様のように鍛錬のためとかではないです」



 そう口にして、恥ずかしくなる。


 だってマヒーユ様は、あのマリアージュ様とグラン様の息子で私にとっても憧れの人だ。酔っぱらった時に助けられた時もそうだけど……なんだか、恥ずかしい姿ばかり見られてしまっている。




「はっ、というか、それより助けてくださりありがとうございます!! お礼を言い忘れてました」

「それはいい。……酔っぱらった時もなんか言っていたが、そんなにお金に困っているのか?」



 マヒーユ様が眉をひそめて問いかける。



 騎士の給与は安くない。普通の仕事よりは給与が高い方だろう。それなのにお金がないと聞いて驚いたのかもしれない。というか私、あの時にそういうことを口走ってしまっていたのね。




「ええっと、これもお恥ずかしい話なのですけれど! 騎士団では一部ではもう知られているのですが、家庭の関係です。ちょっとお金がないと……困ったことになるというか」




 誇り高き王国の騎士。

 それなのに親のお金の問題で、こんな状況になっていることも踏まえて恥ずかしい気持ちになる。なんていうか憧れている人にはもっと素敵な自分を見せたいとそんな風に思ってならないのだ。

 だから、ちょっとこういう部分を話さなければならないのはなんとも恥ずかしい!!




「その魔物の素材、持って行っていいぞ」

「え、でも倒したの。マヒーユ様ですよね。流石にそれをもらうのは……」



 マヒーユ様の提案に私は慌ててそう告げる。

 だって、マヒーユ様は優しいからそう言ってくれるかもしれないけれど無条件に力を貸してもらうのは違うと思う。




「……なら、半分ならいいか。ユリアンリも戦っていたから」

「それなら、受け取ります! 助かります。私だけだと倒せなかったと思うから」



 マヒーユ様の提案に私は頷いてそう言った。



「このまま一度王都に戻るなら、俺の《アイテムボックス》に入れていくが」

「助かります!!」



 正直、マヒーユ様が倒してくれた魔物を運ぶことは難しいからとても助かる話だった。

 それにしてもマヒーユ様は《アイテムボックス》を持っているんだなぁと、流石フロネア伯爵家だなと思う。フロネア伯爵家は、伯爵家の中でも特別な家だから。




「マヒーユ様はよくこうやって魔物討伐にきているんですか?」

「そうだな。よくしている。俺はまだまだだから」

「マヒーユ様は十分お強いと思いますけど」



 王都へと戻りながら、マヒーユ様と会話を交わした。

 マヒーユ様は十分に強い。騎士として活躍していて立派な人で。だというのに、マヒーユ様はまだまだ上を目指そうとしている。




「母さんと父さんに比べたらまだまだだから」



 マヒーユ様の言葉に、ああそうかと納得した。



 私たちにとってはマリアージュ様やグラン様は、雲の上の英雄だ。でもマヒーユ様にとってはそれは目指すべき場所なのだ。上を知っているから――だからこそ、慢心もしない。その場所に至ることを求めて淡々と鍛錬をする。うん、そういう姿がかっこいいなと思う。




「ユリアンリはこれからも魔物討伐をし続けるつもりか? 今回のような危険はありそうだが」

「はい。私にはお金が必要です。私は何もせずにこのままでいたくないので。だから、ちょっとぐらい危険でも頑張ります。今回はその……私が油断したのが悪かったので、今度は油断しないようにします!!」



 私がそういえば、マヒーユ様にじっと見られる。



「俺と一緒にやるか?」

「え?」

「魔物討伐、一人だと危険だろう。どうせ俺も魔物の相手はするから二人の方が効率が良い」

「え、でも……」

「俺も一人よりも二人で魔物の相手をする方が楽だ」



 この申し出は私のためでもあり、マヒーユ様のためでもあるとそう言ってくださっている。

 ……正直、マヒーユ様と一緒に魔物討伐が出来るならそちらの方が私も楽だ。

 一人だとどうしても限界があって、お金を稼ぐのもちょっとずつしか進まないから。



「ではお言葉に甘えて……よろしくお願いします。あ、でもえっとあんまり人に見られないところでやりましょう! マヒーユ様と親しくしているの見られるとややこしいことになりそうなので……」



 私がそう言い切れば、マヒーユ様は頷いてくれた。



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