エピローグ
それからの話をするとしよう。
保護されたバーリクとチーチェはすっかりマヒーユ様に憧れの目を向けていて、私がマヒーユ様の恋人になったことを知るととても喜んでいた。
あとマリアージュ様が突撃してきて、「可愛い義理の娘が出来るの嬉しい!! ユリアンリの両親はフロネア家で責任をもって教育するから安心して。もう借金なんてさせないから」なんて言われた。
なんていうかマヒーユ様の言っていた“力づくで止めるのが一番”というのを本当に実行しているのだ。そういうすさまじさというか、行動力とかに本当に憧れる。
私は両親や領地の問題があるからとしばらく仕事を休むことになった。その辺の手続きはマヒーユ様がしてくれた。というか、マヒーユ様もマリアージュ様も凄く甘やかしてくるというか、なんでもやってくれようとする。
そういう風に誰かからこれだけ甘やかされるのってあまりなかったから慣れてない。でもそういう扱いをされることが私は嬉しいともそう思う。
私は騎士として生きていて、女の子らしい扱いあんまりされてなかったけれど……こういう扱いもなんだか幸せだなって思う。
そして――、
「ユリアンリ、マヒーユ様と付き合いだしたんだって?」
「マリアージュ様にも気に入られていると聞いたよ」
「マヒーユ様と恋人になるなんてすごい」
私が騎士団に戻った時にはすっかり、私がマヒーユ様と恋仲になったことが広まっていた。
なんていうか、こんな風に広まっていることに驚いた。
しかもなんていうか、マヒーユ様は本当に要領が良いというか、全部、手回しをしていた。
私がマヒーユ様と付き合うなんて周りからの反対が沢山あるかと思っていたのに、そんなことは全くなかった。……なんていうか、私が休んでいる間にそのあたりのことを全部そつなく整えてくれたらしく、私にゆっくりするように言ったのもそれが理由だったようだ。
「マヒーユ様って……本当に有能というか、頭も回りますよね。ありがとうございます」
私なんて結構考えなしで動いてしまうことが多いので、マヒーユ様のそういう部分が凄いなと思ってしまう。
「こういうのは先回りして準備している方がいいから」
そしてなんというか私は外堀をすっかり埋められてしまっている。
私がマヒーユ様と恋人同士なのが当たり前な空気がすっかり出来上がっていて、策士というか、このまま私はマヒーユ様の外堀に囲われて結婚するんだろうなとそんな予感がしている。
マヒーユ様を好きだと思っているから、全然いいけれど……!
ただ結婚するなら支払ってもらった金額を全部返し終えてからがいいなんて思う。
……ただかなりの額だから、返し終えるまでは時間がかかるだろうけれど。
そのお金のための魔物討伐もマヒーユ様とずっと一緒だ。返す相手と一緒にお金を稼ぐなんて変な感じ。
私とマヒーユ様の魔物討伐は、一般的な恋人でいうデートにあたるのかもしれない。なんていったらシガルトに「なんか違う」と言われた。でも恋仲の男女で出かけるのがデートならば、恋人同士での魔物討伐もデートのでは? と思っていたりする。
「マヒーユ様! 私はお金を全部返して、それでいてマヒーユ様の強さに追いつけるように頑張ります!」
「ああ」
「それが終わってからですからね、結婚は」
「……いや、俺は早めに結婚したい」
私の意思を伝えたらそんな風に言われるのであった。
それからまぁ、借金を返済してから結婚したい私とそんなの関係なしに結婚したいマヒーユ様の攻防が始まった。
――恋仲になって一年後には結婚することになったのだけど、どちらが勝ったのかは想像にお任せする。
どちらにしても、私はマヒーユ様とずっと一緒に居ることは変わりがない。
少し駆け足気味ですが、こちらで完結になります。
フロネア伯爵家の三男、マヒーユの出てくるお話でした。
時系列的に『女騎士が~』、『冤罪をかけられ~』、『伯爵令嬢は~』、『出戻り令嬢は~』、『私の小さな~』で、今作になります。
マヒーユは二十歳なので、この時、双子の長女であるマリッサ&メリッサが二十六歳、冤罪を~のソルが二十三歳ですね。
『女騎士が~』が両親の話で、5人分書いたのですがあと二人分もそのうち書きます。
今回は騎士職についているマヒーユの後輩、ユリアンリが主人公の話でした。
両親が借金癖があり、そのことで中々大変な目にあってますが前向きな女の子です。
誰かに助けられるのを享受するというより、自分で行動する子なので払ってもらった分も返す気満々で、守られるだけの気もなくマヒーユに追いつこうとしています。
書いている分には楽しかったので、楽しんでいただけたら嬉しいです。
2024年3月7日 池中織奈




