夕立ち
雨の匂いがして
風はゆるくあたたかく
乾いた木々を眺めながら
さらには暗い風が
すべての夏をおおいかくす
あるひそれに気づいて
挑もうとして
挑めなかった
確認もできなかった
異常な憎しみ
まぶたをこする手の甲が
やさしい水分で濡れる
まだ熱帯夜にははやい積乱雲
ほんとうを言えば
本音は
笑顔の演技では負けないということ
ほら、きょうはまだ負けてない
急な悲しみを夕立ちと呼ぶんだよ?
そんな切りとられたひととき
雷鳴
と
大きな雨粒が
痛い
夏の黄昏は長く昏い
そのうち星空の夜よ訪れろと
無心で祈る
夕立ちを
雨やどり