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第24.5話 閑話 読心術

次話は夜に投稿予定です。ブックマークをお願いします。


 ようやく俺は外出を許された。

 ただ、ゆっくりはできなさそうだ。


 さっそく冒険者ギルドでフレッドさんが依頼を放り投げてきた。

 武器防具屋に出向き、話を聞いてきて欲しいとのことだ。


『アクファ同盟の者たちが転売していた武器の件、そして武器防具屋の鍛冶職人が調子を崩してる件の調査をして欲しい。

 恐らくスキルに問題が発生している』


 俺はリリアの武器防具の件で気になることもあり、依頼を受けた。

 それに、指定された店は俺の幼馴染みの女の子の家が経営している。

 困っているなら力になりたい。



 リリアと二人で武器防具屋に行く予定だったのだが、彼女は朝早くアヤメと一緒にどこかに出かけてしまった。

 行き先は教えてくれず、街の中心にある噴水の前で待つように言われたのだ。

 リリアとの用事が終われば、アヤメは魔法学院に行くのだとか。


 そんなワケで、俺はキアラを神殿に送っていき、待ち合わせ時間まで待つ——。


 噴水の前で待っていると、俺を見つけたリリアがぱっと顔を明るくして駆け寄ってくる。



「フィーグさんっ。お待たせしましたか?」


「いや、全然」



 少し早めにリリアとの待ち合わせ場所に着いた俺。

 でも暇を持て余すことはなく、元々この街にいたときの顔見知りに会って話をしていたので、待ったという感覚がない。



「それで、フィーグさん? あの……私……どうですか?」


「どうって……?」



 リリアがもじもじして、何か聞きたそうにしている。

 かと思えば……急に思い出したように付け加える。



「……か、感謝しなさい。あっ、あなたのために準備したんだからっ」



 あ、そのツンデレまだやるんだ……。

 しかもリリアは少し頬を赤く染めている。完璧過ぎるツンデレだ。100点をあげたい。


 俺が感心していると、催促するようにリリアが聞いてきた。



「あの……?」



 リリアが上目づかいに、もじもじしながら俺を見る。


 ん?

 周囲にいる人たちがリリアを見て「めっちゃ可愛い」と言っているのが聞こえる。

 そういえば、リリアの雰囲気が朝と違うな。


 清楚な白いブラウスに、ややシックな色のスカート。

 リリアのスカート姿って初めて見る。

 今日は手足に包帯を巻いていない。


 髪の毛も、編み込んでいてどこぞのお嬢さんという感じだ。アヤメにしてもらったのか?

 相変わらず耳はうまく隠している。


 さて、この状況でリリアは何を求めているのか?


 そういえばさっき、占いをやっているお婆さんのスキルを整備(メンテ)した時、特技スキル【読心術】が俺に保存されている。

 これを使えば、リリアが考えていることが分かるかもしれない。



「スキル——」



 俺は起動しようとして、中断した。

 こういうときに使うのはどうにも、気が引けた。ダメな気がする。

 なぜだろう?


 いったん自分の頭で考えてみる。


 俺はじっと彼女の顔を見つめた。

 瞳がキラキラとしていて、何かを期待している様子だ。


 頭の先からつまさきまで、ひらひらな服を着ている。髪型も違う。靴も違う。

 俺にどうかと聞いているということは、俺に見せるため?

 そして、俺に喜んでもらいたいから?


 俺のために、色々と準備をしてくれた。

 純粋に嬉しいな。


 そうだ……彼女が期待していたのは——。俺の素直な感想なのだろう。

 思っていることを口に出して伝える。ちょっと照れくさいけど。



「うん、似合っているよ。とても可愛いと思う。

 服と、靴も、それに髪型も……全部いいね。何より、リリア自身が一番素敵だと思う」


「えっ——ええっ?」



 リリアは俺に背を向けて座り込んでしまった。

 あれ……? 間違っていたのか? でも、本心でそう思ったんだし仕方ないんだけど。


 ううむ。

 やはりスキルを使った方が良かったのか……?


 耳を澄ますと、小さい声で「——どうしたらいいんでしょう」と聞こえたけど、俺の方を見てくれない。



「あ、あの。リリア()()?」


「う……うう〜〜初めて言われた〜〜」



 少し心配になったけど、しばらくして振り返ったリリアは、顔がにやけるのが止まらない様子だ。

 ご機嫌のリリアに、俺は胸をなで下ろす。



「フィーグさん、ありがとうございますっ!」



 満面の笑顔で、リリアは言った。

 彼女の様子を見て、俺もとても嬉しいと感じた。



「じゃあ、行こうか」


「はいっっ!」



 すっかりツンデレとか忘れているけど、楽しそうでなによりだ。

 並んで歩く俺たちに声をかける街の人がいる。



「フィーグ、デートかい?」


「い、いや、これは冒険者ギルドからの依頼で……」


「いいからいいから。頑張れよっ」



 端から見るとデートに見えるのか?

 仕事なんだけどな。

 その割にはリリアはずっとニコニコしているし、可愛く着飾っているから、勘違いされたのだろうか?


 などと思いつつ、俺たちはギルドの依頼をこなすため幼馴染みがいる武器屋に向かうのであった——。



【作者からのお願い】


この小説を読んで


「かわいいってもっと言え」


「続きが気になる!」


「この先どうなるの!?」


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