十九話「お買い物」
ここは遠い世界。威勢のいい二人に起こされたもう二人。リルムと星彦丸の作った朝食を皆で食べる。
「「美味しい!」」
「「でしょ!?」」
二人は驚き、二人は安堵した。
リリアは感動していた。あんなに料理が下手糞だったリルムがこんなに美味しい朝食を用意してくれるなんて。竜輝は先の噂により警戒していたが肩透かしをくらったようだ。
「りるむちゃん上手になったわね!お姉ちゃん感激!」
リリアは感動のあまり涙を流していた。
「何だよ、下手糞って言ってた割には普通に美味いじゃん。」
竜輝は旨そうにそれを食べる。実際、美味い。
「それじゃあ自分でも食べてみよっと。ぱくっ・・・美味しー!」
「モグモグ、百点満点だね!りるむ。」
「うん!」
「今日は街に買い物に行きましょう。」
「そうだね。先ず竜輝の服を買わないと。そのボロボロの布切れだけじゃ可哀想だもんね。」
「あんたにはそれがお似合いよ?」
すかさずリルムがバカにする。
「なっ!失礼な。俺だって布一枚は困る!後、剣が欲しいぞ剣!」
「なんで?素手でいいでしょあんた。」
「いや、素手は無理だ。来たる次の冒険と怪物との戦いに備えるのだよ。」
「竜輝は筋力が有るから両手剣を片手で振り回してみて!」
星彦丸はちょっとむちゃぶりを言う。
「お姉ちゃんも賛成!大剣!ハンマー!」
それに反論する竜輝。
「嫌だ!重い武器は嫌!実用的で楽な奴が良い!」
「「「えーロマン無いじゃん!」」」
三人は口をそろえて言った。
さぁ、身支度をして出発だ。やってきた始発の列車に乗り込み再び街に向かった。
再びドーントレスの街。
昼時の街は多くの人が流れていた。
「それじゃあ先ず衣類ね!」
「「「おーっ!」」」
紳士向け衣類店に入る一行。
あれはどうだ、これはどうだと言いつつ素敵な服を竜輝に着させる。
「これいいな。動きやすいしかっこいいし。」
「他にもスーツとかどう?カッコいいよ!」
「一着位持ってても悪くないな・・・採用。」
次に向かったのは鍛冶屋であった。その鍛冶屋は近代的な炉を持っていて高精度の武器が売りの様だ。
「いらっしゃい!どんな武器が欲しいんだ?」
「大剣!ハンマー!」
「やめろやめろ!軽くて切れ味の良い実用的な奴を・・・。」
「あんちゃんにはそういう武器は似合わないぜ?やっぱり大剣とまでいかなくても両手剣なら大小ある。見ていきな!」
「うーんやっぱり小さいのが良いな。これがいい!」
選んだのはギリギリ片手で振れそうで先端が鋭い両手剣だ。
「よく切れそうだね!おじさんこの剣いくら?」
「そいつは希少な鉱石をふんだんに使ってるから高いぞ?金貨一万か紙幣十万でどうだ。」
「高すぎる・・・お姉ちゃんちょっと払えないわ。」
「やっぱ無理だよなぁ・・・。一番安い奴は?」
「これが一番安いぞ。簡単に打ち出した長方形の大剣だ。これを「パラディンクロス」と呼んでいる。どうだい?」
「それじゃあこれで・・・。」
「よっしありがとさん!最近は銃ばっかり売れて剣は売れないからな。嬉しいぜ。」
満足な買い物が出来た?一行は店の外に出る。その時だった。