一話「赫奕たる異端」
ここは君たちの生きる世界とは異なる世界。そこには人が生き、獣が生き、魔が生きていた。そんな遠い世界の何処かに赫奕たる異端有り。
現在の地点・・・「西方砂漠」
ここは西方砂漠、世界の西側を覆う大規模な砂漠。そこに桃毛の女二人と黒髪の男子がいた。その三人は道なき砂漠に途方も暮れながらただ、歩き続ける。暫くして男子は桃毛で短髪の方に話しかける。
男子「ねぇ、リルム。本当に砂漠に国なんて有るの?」
リルムは答える。
「前来た時は有ったんだけどな~。こっちじゃなかったかなぁ・・・?」
それに呼応して桃毛で長髪の方も話し出す。
「方位はこれで合っているわ。国が滅んで居なければ後・・・三日で着く筈よ。星彦丸くん。」
星彦丸は辛そうな声で言う。
「そんなぁ・・・もう足が棒になりそうだよリリアさん。畜生、国に帰りたいよ・・・。」
それを聞いてリルムは彼を叱る。
「今帰っても立派な王様に成れないよ!?後、お姉ちゃんに甘えたって駄目なんだからね!?」
星彦丸はそれに対して熱い砂地に座り込んで答える。
「別に立派じゃなくたって良いもん!別に・・・。」
リリアはそんな二人をなだめる。
「二人共、ケンカしたって仕方ないじゃない。疲れているとイライラしちゃうから少し休みましょうか。」
暫く休んでいると星彦丸の様子が変だ。
「声・・・?呼んでいる・・・?誰・・・行かなきゃ!」
さっきまで足が棒になりそうと言っていたとは思えない走りで砂原を駆ける。それにびっくりした二人だったがその後を追う。
「ちょっと!休みたいんじゃなかったの!?あのバカ!」
「何だか楽しい事が起こる予感ね?リルムちゃん!」
「お姉ちゃんがそういう事言うとロクなことにならないからヤメて!!!」
星彦丸は砂地に立ち尽くしていた。
「さっきのは確かに声、誰なの・・・。」
そうこうしていると二人が合流する。
「ちょっと!何が有ったのよ!」
「うーん、確かに呼び声が聞こえたんだけどなぁ・・・。」
「砂漠の行商の声かしら・・・?」
その直後であった。天をもつんざく轟音と共に眩く巨大な白光球が空に現れた。
「耳が千切れる!何でこんなにうるさいの!?」
リルムがそう叫んだころには辺りは無音とも呼べる静寂に包まれた。
「・・・っ!二人共、気を付けて!殺気を感じる!あの光の中に何かいる!」星彦丸は真っ先にその存在に気が付いた。
「あらあら、楽しくなってきたわね?今回はどんな怪物が現れるのかしら!?」