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旅は道連れ

連絡が・・・来ない!


召喚されてから、もう一週間


向こうから接触すると言ってた神様とやらはどうしたんだ?


いまだに城生活はできてるが、歩いているとメイドにクスクス笑われるんだが


ーーさん・・・聞こえますか吉田さんーー


いつになっても神様から与えられるサポートが無くて


国王も宰相も教皇も貴族も、会うたびになんか怪訝な顔をしやがる


大体この前だってーー



「それでヨシダ殿・・・もう三日立ったが、なにか変化はあっただろうか?」


国王が俺をみる目がちょっとだけ胡乱げになってる気がする


「い、いえ・・・神様から接触があるはず、なんですけど、ははは」


もう乾いた笑いしか出てこない、助けて神様!


「では、ひとまず魔法でも使ってみるのはどうだろうか?」


そう発言するのは、近衛騎士団団長らしいアルターさん


やけに男前な話し方だが女性、しかも凄い美人だ


「それとも私と剣術を比べてみるか?」


ニヤリと笑いながら、腰の剣に手を当てる


女性が騎士なのは珍しいらしいが、王国随一の剣の使い手なのが理由とのこと


まぁ理由はそれだけでなくーー


「アルター、勇者様に無礼はいけませんよ?」


今俺を庇ってくれたエミリア様ーーこの国のお姫様が理由らしい


王位継承権二位にして、賢く行動力もある


そんなお姫様の護衛が必要だが、未婚の女性、それも王女のため


基本的には女性騎士しか付けられないとのこと


「申し訳ありません、勇者様。この娘も悪気があるわけではないのです」


そう言って申し訳なさそうな顔を見ると、思わずなんでも許しちゃいそうなんだがーー胡散臭い


俺が返事をした時に見せた笑顔も計算された裏のあるものにしか見えないのだ


これは前世の死因になった美人局のお姉さんにそっくりだからだろうか


「では、中級魔法からではどうでしょうか?」


そして今の声が近衛騎士と対になる宮廷魔術師のトップのダースさん


こっちは渋い感じのナイスミドル・・・なんだが


「それではヨシダさん! 私に合わせて!」


ダースさんがバサッとマントを翻し、片手を額に当てると


「黒き漆黒を照らすは我が光ーー」


厨二真っ盛りの小っ恥ずかしいセリフを言い始める


「ほら! どうしました、さぁ早く!」



それから小一時間、同じポーズ、同じ詠唱をやらされるとか、どんな罰ゲームだ!


結局魔法なんて使えないうえに、国王は俺をダースさんの同類みたいに見やがる


エミリア様とアルターさんなんて蔑むように笑ってたし!


「俺は決して厨二病ではない! そもそもーーというかさっき呼ばれなかったか?」


少し耳を澄ませてみる


ーー吉田さん? 聞こえませんか?ーー


「聞こえた! この声は、もしかして女神様?」


ーーあ、繋がった! そうです女神のセーラですーー


良し! なんとかなりそうな予感。というか女神様、セーラっていうのか


「女神様! こっちに来てから一切音沙汰無しで、もう一週間立っちゃったんですが?」


ーーあ〜その件ですが、少しトラブルがあってですねーー


女神セーラ様はそれから語った


セーラ様の先輩のような感じの人のミスで俺の情報が取り違えられたこと


それをウース神に連絡したら、そんな奴は要らんと言われたこと


結果、神のサポートであるチート能力の一切を受けられない事


それでも転生は規約により取り消せないため、この世界で頑張らないといけない事


ーーというわけなので吉田さん、後のことは頑張ってくださいーー


「はい、セーラ様、なんとかして見せますーーって言うわけないだろ!?」


ーーですよね〜、私も精一杯頑張ったんですが、いや〜先輩のミスさえなければな〜ーー


なんだろう、転生の時とはだいぶ印象が違うような


なんとなくーー女神っぽくない


ーー今凄く失礼なことを考えていた気配がしましたーー


「してません。それで俺はどうすれば」


ーーそれなんですがーーえっーーいやだな先輩、そんなことーー


どうしたんだろう、なぜだか向こうが騒がしい


ーーいやいや人のせいになんてーーえっ、そんな嘘ですよね? ちょっと!?ーー


本当にどうしたんだろう? というか先輩とはミスした人ーーいや女神様だろうか


少しの間、向こうからの応答が無くなると、次は落ち着いた声が聞こえてくる


ーーすみません、吉田様。私はセリス、先程の女神の先輩にあたりますーー


つまりこのセリス様がミスしたということだろうか、とてもそうは思えないほどしっかりしてる、むしろ


ーーはい、ご想像の通り、ミスしたのはセーラのほうですーー


心を読んだ? というかやっぱりセーラ様の方がダメらしい


ーー読んでませんよ? それでセーラなのですが、今までにも問題があったので再研修という事になりましてーー


やっぱり読んでいる、というか女神の再研修って・・・


ーーそちらで世界を救うお手伝いをするように辞令くだりましたーー


「え!? ちょっとそれってーー」


ーーそれでは後のことはお願いしますね、吉田さんーー


「ちょっと待てーーっ!」




向こうからの声が聞こえなくなって少ししたら、部屋の中が突然光り輝く


光の中心には魔法陣ようなものが浮かび上がり


光が消えると、そこにはいつしか会った女神様がいてーー


「・・・・不束者ですが、末長くお願いします、なーんて」


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