目覚め
「ゆっ夢か・・・。って痛」
お約束であるほっぺたをつねったが痛さが返ってきた。
驚くのも無理は無い。寝る前は11月中旬だったのでモコモコのスエットを着てベッドの上で寝ていたのに、草原の上で寝ていて周りに住宅がなく気温は春くらいで暖かく、中世のヨーロッパで着ていたような皮製のズボンに茶色いTシャツみたいなのを着た服装だった。
「ベッドで寝て起きたら草原のステージとか。ゲームやアニメの世界かよ。でもほっぺたをつねったら痛さが返ってきたしなぁ。それよりここどこよ?」
周囲を見渡したが住宅地はなく誰かが近くにいる気配がなく、誰かに道を聞くこともできず困っていた。
「てかドッキリだろ?カメラどこだ?あそこの林にあるのか?もしあるならズームして撮影しないと無理だろ?そしていつパジャマからいかにも異世界で着ていそうな服になっているんだよ。枕元に置いておいたスマホどこよ?」
スマホや持ち物がなく、このままでは空腹や水分補給ができず力尽きるのは目に見えていた。そんな時にふと視界の右下の端にアイコンみたいのが点滅しているのが確認できた。
「新着お知らせがあります?・・・これどうやって触るんだ?」
右手で触れようにも、空振りしてしまう。頭をゆっくり左右に振っても点滅しているアイコンみたいのがくっついてくる。
「うーん、どうやってアイコンを触ることができる?ゲームみたいに念じてみるのか?お知らせオープン!変化がない・・・。メニューオープン!おっ開いた。」
地面に視点を移し念じてみたらゲームで馴染みのあるメニューが開いた。真ん中から左には文字が複数書いてあり真ん中から右はマップだった。右のマップは透けていて緑色の草が見えマップの真ん中には点滅している青いアイコンがあった。点滅している青いアイコンの他にマップの右上には方位マークがあったが他は何も表示されていない。左側の文字の方は透けないのでなんとも見えにくい。左の文字は上から順に
ステータス
スキル
アイテムBOX
ボーナス
お知らせ ←NEW と点滅
設定
閉じる
左下の端に現在時間の4月21日9:18
となっていた。しかしスキルのみ灰色となっていいて、どうやら選ぶことができない。メニュー表にログアウトがないのでログアウトがありそうな『設定』を無意識の内に右手でクリックしようとしたら空振りしてしまう。『設定』を念じてみるとこちらも文字が複数あり、上から
アイコンを表示
マップの表示
カーソルの表示
時計の表示
戻る
となっていたが、ゲームとかで馴染みのログアウトボタンやセーブ・ロードの記載はなかった。『戻る』を念じメニュー表示に戻り今度はNEWが点滅していた『お知らせ』を選んでみた
【異世界転移ボーナス(100)を獲得しました。メニューでステータスを選んでみてください】と表示されていた。メニューに戻り『ステータス』を選んだら
名前:レイ 年齢:15歳 性別:男
LV:1 種族:人間 ポイント残:100 割り振る
HP:50 MP:20 体力:30 防御:10 力:10 敏捷:10 魔力:20
と表示され『ポイント残:100』が一瞬だけ点滅していた。『割り振る』を念じ選んでみるとHP等の欄が点滅し決定ボタンが灰色で現れ、割り振らず戻るのボタンが黒色で現れマニュアルが表示された。
『点滅している数値はポイントを使い上下させる事ができます。しかし初期値から数値を下げることはできません。更に、一回決定ボタンを押すと変更できないし次回は今回上げた数値を下げる事ができません。閉じる』
ふむ、ゲームのマニュアルのまんまじゃないかと思った。とりあえず数値を上げる事を辞めメニューへ戻ったら、メニュー欄の設定の上に『マニュアル』が追加されていた。『マニュアル』を念じるとさっきのポイントの説明のみ記載されていた。
次にアイテムBOXを念じてみた。するとまたマニュアルが開いた。
『アイテムBOXに収納する量はLVによって増えます。ただし生物を入れるのは無理です。閉じる』
非常用食料 30個 着替え一式 3日分
非常用飲料水 30個 ポーション 10本
短剣 2本 MPポーション 10本
盾 1個 傷薬(簡易) 10個
杖 1本 10万ギラー
がアイテムBOXに入っていた。なんという親切なんだろうか。ひとまず、飢えを凌げるのは大きい。しかし、念じていろいろ弄れるってことはここは日本では無いってことだろう。
少し疲れたので、ご飯や水を飲んで状況を整理しようとした。
「どうしたら食料出てくるんだ?いでよ食料!!おっ出てきた。ってカ○ーリーメ○トチョコ味」
アイテムBOX内を見ると、水と食料がそれぞれ1個ずつ減っていた。
「メニュー表はどうやって消えるんだ?閉じる。おっ消えた。名前は、『春宮零』なのに名前の欄はなぜカタカナで『レイ』だけなんだ?いくらゲームの世界や、異世界物が好きで自分が異世界に行きたいことを願っても、実際に行くとか思うか?普通はさ・・・。」