その6
稚拙な文で申し訳ない。
頑張って書いていきます。
俺とオルバさんの2人が到着した場所は、日本の屋久杉なんて目じゃないレベルで大きなその木の根元にある洞のような場所だった。、
火を使っているわけでもなく、白く淡い細かな光に溢れぼんやりとだが、それなりに十分な視界を保てており周囲を見回してみると、くり抜いたわけではなく元々このような形に内部が成長したのだとわかる。
そして、数人の人影も見ることが出来た。
恐らくはあれが神官や巫女と呼ばれる人たちなのだろう。皆、狼の姿ではなく人型になっているようだった。
そしてなにより、目を引いたのは一段高い場所に浮遊しながらくるくるとゆっくりと回転を続ける黒曜石でできたような、黒い石板だった。
大きさは大人の背丈ほどあるだろうか。
黒曜石のような石板には常時、俺には読み取れない言語が白く光りながら走りゆっくりと回転を続ける姿と合わさって非日常の雰囲気を醸し出している。
オルバさんが近くにいた女性に2~3言話しかけると、女性は軽く頷き離れて行った。
こちらを振り返り、
「石板の前に行くのじゃ。」
と、オルバさんに促され、石板へと続く階段を上って行く。
石板の前には、円形の座布団のような物が複数個置かれておりそこに座るのだな、という事が察せられたが、同時に複数の人が座った場合など他人にも自分の情報が流れるのでは?という疑問も沸いてくる。
「楽な姿勢で、座っていれば良い。」
そう言われ、オルバさんの他には周囲に誰も居なかったこともあり、特に躊躇することもなく座布団に座る。
オルバさんは座らないようだ。
そんな事を考えている間に、石板の回転する速度が心なしか速まって行くのにつれ、光りながら流れる文字の軌跡が空中に映し出されて行く。
その光が遠心力で広がって行く様に段々と俺にも読み取れる様になってくる。
あぁ、確かにこんな感じで表示されると、他の人からはわからないな。
名前:スズキ カオル
職業:旅人
筋力:E
体力:E
魔力:E
知力:E
敏捷:E
運 :A
スキル:言語理解(全)
加護:森王の加護 人王の加護 精霊王の加護 魔王の加護
世界神の加護(隠蔽)
称号:異世界の旅人
まず、職業がよくわからない。聞いていた話だと最初は『無し』になってると言う話だったのだが……。
それからステータスの表示が、まるっきりゲームの様なのも気になる。
そしてなにより、数値の判断が出来ない。
A~Eまでの5段階表記なのか、それともそれ以下もあるのか。運だけはなんとなく高いんだろうな、と言うのはわかるが。
それからスキル欄にある、言語理解と言うのもオルバさんから聞いていたので分かる。(全)と言うのは若干気になるところだが、それ以上に気になるものが続いているのでそれどころではない。
森王の加護は分かる。世界神が言っていたように、他の王も色々くっつけてた、とか言ってたし
人王だの精霊王だのってのもまぁ、良しとしよう。
でも、魔王の加護ってやばくね?危険な匂いがプンプンしてきたんだけど!
勇者とか勘弁してくれ、とか思ってたけどこの表示のままだと、どちらかと言えば俺の方が討伐されちゃう側じゃね?
勇者に斬られて自分の首がゴロリと落ちる光景を想像し、一瞬で血の気を失う俺。
ふらりと立ち上がる俺に、オルバさんから声が掛かる
「もう良いのかの?」
掛けられた声に、碌に反応も出来ないまま連れ添ってオルバさんの家まで戻る。
訝しげにしながらも、何も聞かずに居てくれるオルバさんに、加護の事を伝えるのはまずいんじゃないか、と考える一方で、こちらの世界に来て色々教えてくれたりお世話になっている人に対して裏切っているような気もして、何とも言えない申し訳ない気持ちになる。
食卓の椅子に座り、ミヤさんの入れてくれたお茶に口もつけず、何を話す訳でもなく、ただ時間だけが過ぎていく。
昼食の時間となり、皆が揃った時に俺は決心を口にする。
「言っておきたいことがあります。」
俺のその言葉に、食卓の空気が少し引き締まる。
「さっき森王樹の石板で加護を確認した時に、俺に『魔王の加護』がありました…………。」
非難されたり、侮蔑の言葉が飛んできたりするのを想像してしまい、ぎゅっと強く目を瞑った。
何もしていないのに勝手に膝が震える……。
何十秒か……。それとも一瞬だったのか……。
続いて聞こえてきた言葉は…………。
「カオル!すっっごいね!」
「あらあら、良かったわねぇー」
想像と真逆の言葉が掛かり、目を瞬かせきょとんとしてしまう。
「ほおぉー。」
オルバさんやザンジさんからも感心したような声が漏れる。
「恐かったり……、しないんですか?魔王ですよ!?生きとし生ける者の敵でしょ!?」
オルバさんが一瞬呆気にとられるような顔をした後、破顔し
「かっかっかっかっかっか!それであんな暗い顔をしておったのか!何があったのじゃろうかと、心配したわい!何か勘違いをしているようじゃな。」
心底理解できず呆然としている俺に、ゆっくりと言い聞かせるようにオルバさんは説明を始める。
「魔王様と言うのは別に邪悪な存在と言う訳ではない。ただ単に魔力や魔法・魔物を司っている王と言うだけじゃ。」
「もちろん魔物は恐ろしい物じゃ。強大な力を持つ魔物に襲われれば命を落とす危険もあるでのぅ。じゃが、その一方で過酷な環境でも順応し、その肉や皮・骨などと言ったもので我々他の種族の糧にもなったりする。」
「それにお主も昨日見たじゃろう?魔法などを使うことが出来るのも魔王様のおかげ、とも言える。」
「加護があろうがなかろうが、その者の本質は変わらん。どれだけの加護が有ろうと邪な考えを起こす者はおるし、逆に加護なぞ無くとも善良な者もまた沢山おる。どうじゃ?安心できたか?」
にっこりと笑いながら、そう告げるオルバさんに、
心底ほっとして、良い意味で裏切られた俺は脱力しながら
「安心できました……。」
そう答えたのだった。
小説書くのって本当に難しいですね…。
他の皆さんを尊敬します。
誤字・脱字など報告していただけるとありがたいです。
読んでいただきありがとうございます。