その5
gdgdですが、お付き合いください。
世界神との邂逅を終えた俺は、現実世界のベッドの上で目を覚ます。
現実世界と言ってもルータリアなのだが……。
これは………、例のお約束のチャンスなんじゃないか………?
ベッドに横になったまま天井を見つめ、満を持してこの言葉を言う。
「知らない天じょ「おっはよおおおおう。」ぐっふぅどぅ。」
勢いよく俺の体の上に飛び乗って、いや飛び込んできた白銀色の弾丸は朝の挨拶をしっかりとできる良い砲弾だった。
「もうすぐ朝ごはんだよ!」
言うや否や、駆け出して行く元気娘の後姿を見送り状況の把握に努めることにする。
どうやら、溺れた後に意識を失った俺は、誰かに運ばれこの場所へと寝かされたようだ。
外から入ってきている光やルナちゃんの言動を考えるに、翌朝という事だろう。
ギシリと音を立ててきしむベッドから降り、立ち上がろうとして自分の姿が目に入る。
ぽっちゃりとしていたお腹は引き締まり、腹筋が分かれて陰影がついている。
体格の割には肥大し発達した太ももが目立つ。
そういえばそうだったな……。
学生の頃は服を買うのに苦労したんだった。なにせジーンズなどウエストサイズで買うと太もも部分が入らず、かといって太もものサイズに合わせて買うとウエスト部分が拳2つ分以上が余ると言う、買い物の度に何とも難しい問題に直面していたものだ。
しかし、今は新しい問題に直面していた。
そう、今の俺を一言で言い表すとしたら『裸族』
これが一番しっくりくるはずだ。
マジかぁぁぁぁ!温泉からここまで裸で運ばれたのか!?
頭を抱え、叫び出したい気持ちをギリギリと噛み締め、ベッドの上をのたうち回る。
しばらくの後ようやく再起動を果たし、ベッドの端の部分に自分の服が置いてあることが分かった俺は、手に取ろうとして立ち上がる。その時になって初めて出入り口付近からの視線に気付いた。
オーザ君が怯えたような表情でミヤさんにしがみついた状態でこちらを見ている事に。
そう、ミヤさんも居るのだ……。
あまりの事に目を丸くし、身動きを取れなくなった俺を下から上までじっくりと眺めた後に、
「おはよう。よかった、大丈夫そうね。朝ごはんにしましょう。服を着たらおいでなさいな。」
そう優しく微笑みながら告げ、オーザ君を伴い立ち去って行く。
再度転げまわる羽目になった事は言うまでもないだろう。
「おはようございます。」
俺が挨拶をすると、皆からも朝の挨拶が返ってくる。
メニューは昨日とは少し違ったスープに黒パンだ。
ミヤさん料理上手いな……。
「昨日は、慌てたわぃ。居なくなったと思ったら、浮かんで来たからのぅ。」
そうオルバさんが言うと、ザンジさんもウンウンと頷いている。
「ちょっと温泉に興奮しすぎてしまって……、心配かけてすいませんでした。」
俺がそう謝ると、
「ミヤからは聞いたがもう大丈夫なのか?」
ザンジさんも厳つい顔からは想像出来ないほど優しい目をして、俺を心配してくれている。
「もう問題ありません。それに色々と発見もありましたし。」
俺が昨日の世界神との出会いについて話そうとすると、
ミヤさんから、
「みんな先に食事を済ませてしまいましょう。お話はあとからでもいいでしょう?」
と、注意を受ける。
確かにその通りなので、皆頷き食事に集中していく。
食後のお茶を頂きながら、改めて世界神との邂逅を説明していく。
「ふ~む……。王の加護はわかってはおったが、予想通りやはり世界神様からの加護も受けとったようじゃのぅ。」
オルバさんが納得するように、首を上下し唸るようにして言葉にする。
「だからと言って特別何かをしろって事でもないようだし、その辺は正直助かりましたね。」
俺がそう言うと、
「そうじゃのぅ。何をするにせよ、お主の今後にとって悪いようにはならんじゃろう。じゃが、今後はそう軽々に地球?じゃったかな?お主の故郷の事は言わんほうがえぇじゃろうのぅ。何が原因でややこしい事に煩わされんとも限らん。」
確かにな……。王とやらの加護もあるようだし、問題に巻き込まれるのは御免だ。
「今日は予定通り、森王樹へ行くとするかのぅ。そこでも色々とわかる事があるじゃろう。今後の事を考えるのはそれからでも遅くはあるまい。」
そういえばそうだったな。
「ところで、森王樹に行くと何があるんですか?一応、神様に会って疑問は解決したんですけど……。」
「言っておらんかったかの?」
苦笑しながらオルバさんは俺に説明してくれた。
森王樹のように各王が管理する場所には、巫女や神官のような立場の人が居て石板を管理しているらしい。その石板と言うのが、ゲームで言うようなステータスの確認や職業の確認・変更することが出来るようだ。
別に、森王様本人が居る訳じゃないらしい。
その石板は神様からの『ギフト』のような物で、決して壊れず不変の物としてずっと昔から様々な場所にあるらしい。
だが、悪い事をする人も居て人族や魔族の王なんかが、独占するために軍を送り込んだこともあるらしい。自分達だけで独占できるなら、確かに便利だし
同時に恐ろしい事だとも思う。考えてみれば、誰がどんな能力を持っているのか欲深な者が管理するって事だしな。
そんな事があったお陰で、そういった場所は神域として、他の場所からは明確に区別され、立ち入り等も王が認める人しか入ることが出来ないようにされているらしい。
そういった経緯から、軍事力などを持って独占するような行為は物理的にも出来ないようにされているのだが、それ以外は案外簡単に入ることが出来るらしい。
例えば、犯罪を犯した者も普通に出入りできる。入り込んで巫女や神官を害することは出来ないようだが(戦闘訓練を受けていたり、王からの強力な守りの加護を持っている人も居るらしい)、
それぞれの国や種族で法律なんて千差万別なので、そういった判断はしてくれないらしい。
そんな事を話しながら森王樹の真下へ到着した。
読んでくださってありがとうございます。
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