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旅をするケモノ  作者: つくるんです
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その3

誤字・脱字など報告していただけるとありがたいです。

オルバさんの魔法の効果により、俺の見た目が10歳以上若返ってることが発覚した。

今、振り返って考えてみるとオルバさんと出会った場所から、この集落まで結構な距離・時間を歩いてきたがさほど疲れていなかったのは事実だ。

初めて見る景色や、現実感を伴わない出来事に興奮状態に陥ってて疲れを感じていないのかと思ったが、実際に肉体のピーク時の体力だったのなら納得できてしまった。


自分の外見を認識してからリアルに

OTZ ってなったけどな…………。


「ま、まぁ、その事も含めて食事の後にでもまた話すとしよう」

オルバさんにそう説得(誤魔化)された俺は、

なんとか立ち直りオルバさん一家と食卓を囲んでいる。


腹が減っていたのもあるが、食事は普通に美味かった。

黒パンなんて初めて食べたよ。

硬かったので顎が疲れてしまったがそれ以外は本当に気にならなかった。

見た事のない野菜とベーコンっぽい物を煮込んだスープ。

味付けは塩くらいなのだが、具沢山で野菜の甘みと肉の甘みが溶けだしてておかわりまでしてしまった。


ルナちゃんはザンジさんを呼びに行った時に持っていたお肉(ザンジさんが狩りで手に入れたらしい)が食べたかったようで、ちょっとだけゴネていたけど食事が始まると夢中で食べていた。

身長はオーザ君よりは大きいが、ルナちゃんもまだまだ小さい。

オーザ君が110Cm程、ルナちゃんが120Cm程かな?

まぁ、自分基準の比較でしかわからないから正確ではないが………。

小さい子が一生懸命ご飯を食べる姿ってかわいいよね。


食事が終わり、ミヤさんがお茶を入れてくれている間にも話は続いていく。

まず、一番気になっていることを聞いた。

やはりこの容姿についてだ。

「姿が若返ったりする事ってこの世界では当たり前の事なんですか?」

オルバさんはその質問に対して、何とも言い難い歯切れの悪い言い方で、

「ない………ことも無い……。が、とても稀なことじゃ。そもそも時間や空間に関する事は王がおらん。つまりは神である世界神様が管理をしとる、とされておる。」

「されている、って…。」

「世界神に選ばれた巫女などが、肉体の時間を止めるとされておるな。じゃが、そういった者はそもそも滅多なことでは表に出て来やせん。」

「それに、巫女となった者の意識は神と混ざり合い一般の者とは意思の疎通が困難だと言われておる。それこそ使っている言語が違っているように聞こえるのじゃ。例外と言えば神託やお告げと呼ばれる言葉くらいかのぅ。」


俺はオルバさんの言っている言葉を必死に理解しようとして、新たな問題が生まれていることに気付く。

「あれ………?そういえばなんで………言葉……わかるんだ?」

その質問にはオルバさんが何でもないように答えてくれた。

「それはお主が『落ち人』だからじゃ。国・場所によっては『稀人』とも呼ばれておるな。その者らは話し言葉だけでなく読み書きに関しても問題ないと言われておる。」


言われてみてじっくりと話している言葉を聞きながら口の動きを見ていると、聞こえてくる『日本語』と口の動きが違うことに気が付く。

驚いたが、これが無ければ『詰んでいた』と言っても過言ではないため正直な所ありがたい。

「その、『落ち人?』『稀人?』でしたっけ?そういった人は何の目的に呼ばれるのでしょうか?」

眉間に皺を寄せながら、オルバさんは

「わしにもわからん。その昔、世界を救ったとされる勇者も『稀人』であったと伝えられておるし、人族の国にも数十年前に『稀人』が現れたとも聞く。」

勇者いたのかよ………。

「数十年前の『稀人』の方も勇者だったのでしょうか?」

魔王倒して来い、って言われて50ゴールド渡されて放り出される勇者の画が脳裏に浮かぶ。

「いや、そうではないようじゃな。頻繁に現れるものでもないが、世界の危機になれば現れると言ったものでもないようじゃ。実際の所はわからんがのぅ。」


助かった…………。魔王とバトって来いとかどんな無理ゲーだよ、って話だ。

「まぁ、今日の所はこれ位にしておくとしよう。お主も疲れたじゃろ。明日は森王樹に連れて行ってやろう。もしも、神託などが出ているならそこで分かるじゃろうて。」


正直まだまだ聞きたいことは沢山あったが、ただ1つだけ祈るとしたら勇者だのなんだのじゃなければいいなぁ……ってことくらいかな。

「ありがとうございます。」


「ねぇねぇ!おはなしおわったの?」

ルナちゃんは元気いっぱいだね……。

「あぁ、終わったよ。」

ルナちゃんはニッコーっと笑顔になると、

「カオルもお風呂に行こう!」

それを聞くと、オルバさんも「それがいい。」と賛成してくれる。


なんでも、森王樹の裏側(オルバさんの家から森王樹を挟んで反対側に温泉があるらしい。

風呂無しを覚悟していた身としては、天の助けのようなものだ。

しかも温泉!

着ている服はこちらへ来た時に着ていた、ジーンズにシャツ・トレーナー(なぜか靴は履いていた)しか持っていなかったが、街に行った時に狩りで手に入れた動物の毛皮などと交換したり、行商人から手に入れた服などが数点あった為、貸してもらうことが出来た。


オルバさん一家全員と温泉に向かいながら聞いた話によると、男湯・女湯の区別はなくいわゆる混浴だ、との事だ。

みんな気にならないのか?と聞くと、そもそもが暑い時期などになると女性であっても村の中にある井戸で水を汲み、沐浴などをして済ませることもあると言うような大らかな一族なのだそうだ。

えぇ、なんと素晴らしい一族なのでしょう。

ミヤさんもそうなのだが、すれ違う女性皆が南国風の美女なのだ。

バインバインだ!素晴らけしからん!

これはもうアレですな。郷に入っては郷に従え、ってヤツだ。不可抗力ですな。

誰に言い訳しているのか分からんが、ワクのムネムネが止まらない!


簡単な脱衣所があり、そこで俺がマゴマゴしていると皆はさっさと温泉に向かって行く。

そういえば、実体を持った服を着てるのは俺だけなんだよな。

逸る気持ちを抑え、平常心を言い聞かせながら温泉を一望できる場所に辿り着いた、俺が見たものは!

南国美女のバインバインや、ボインボイン…………。



ではなく、虎の姿に戻ったオルバ一家の皆と村の人たちの姿でした。

えぇ……知ってましたよ………チクショー!


本日2回目の

OTZを経験するのでした。




読んでくださってありがとうございます。

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