仲間を殺しても俺は生き延びる。
どうも、遥斗です。
バトルシーンて難しいですね..。
別にバトルものではないのですが、少しだけ頑張りました、頑張ってこれです、ハイ。
少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。
次辺り人物紹介はさみますね、では..ノノ。
「さて、奴らを始末するぞ」
魔王が眼を光らせて元俺の仲間、此処まで一緒に戦ってきた者達を見つめる。魔王の言葉に俺は少し動揺するものの決心を固めていた俺は彼らの元に向き直る。己の拳に魔力を集中させれば【英雄之軌跡】を行使する。
其の手には嘗て英雄と呼ばれたアーサー・ペンドラゴンの【光放つ導く剣】(エクスカリバー)が握られている。それの剣先を仲間に向ければ俺は驚くほど低いトーンで「..嗚呼」と返事をしていた。
「勇者さん、どうしちゃったんですか!。」
僧侶が声を荒げた。僧侶は俺や仲間が少しでも怪我をして。たいしたことないといっても心配する御節介な奴だ、そして僧侶がいなかったら絶対に此処までは来れなかった其れは分かってるが俺は僧侶を、殺す。俺の目的私利私欲の為に殺すのだ。
「勇者、貴様..。」
僧侶に続いて声を上げたのは舞踏家だった。
ある日は俺の修行に付き合ってくれ、ある日は下らない話で盛り上がって。
そんな他愛もない日々を過ごした大切な仲間だった彼も俺はこの手であやめてしまうのだ。
「...殺す」
小さく低い声で呟いたそいつは剣士。
剣の筋がよく俺が仲間に誘った実力者だ、最初は何度も断られたが粘ってやっと仲間になったのが彼。普段は無口で愛想はないがこのパーティ内で一番仲間思いで情に熱い奴だ。そんな剣士も俺がこの手で殺す。
本当にいいのだろうか、こいつらを皆を裏切ってでも俺は生きたいのか。
そんな疑問は奴の声に吹き消された。
「行くぞ。」
声をかけられれば一瞬出遅れるも俺はその輝く剣を僧侶に向ける。
まずは回復役である彼女を潰せば二人供回復は出来なくなる。だから真っ先に彼女を殺しに掛かる。
彼女との距離を一瞬でつめればそれを彼女へと振り下ろす。殺した―――と思ったがその一撃はキインッ!と音を立て剣士の剣に阻まれる。
「流石だな、俺の一撃を止めるとは。」
俺のこの一撃を剣士が受け止めるのは大体予想がついていた。剣士も俺が僧侶を真っ先に狙うのはわかっていたのだろう。僧侶は恐怖か未だに現実を受け入れられないのか剣士の背後で涙を浮べている。
「...。」
剣士は無口の侭俺を見つめる、交わった剣が音を立てて擦れる。
「うぉりゃぁ...ッ!!」
舞踏家が俺に跳び蹴りを放つも俺は其れを予想していた、腐っても俺はこいつらの仲間であった男。それくらいの連携は分かっていた、俺が動こうとしたのだが其れは遮られる。
「勇者、こいつは私がやろう。貴様は其方に集中するが良い。」
一足先にその攻撃を阻んだのは魔王だった。先ほどまで傍観していた奴が俺が見た事もない障壁を眼前に出現させて舞踏家の攻撃を防いでいた舞踏家は其れは破壊できないと判断したのか一旦離れ軽く舌打ちをし魔王を睨んだ。
横目で其れを見ていた俺は剣士との間合いを取るため剣に力を込め一気に押す。
「...ッ」
急に力を入れた事に対応できなかったのか剣士は俺に押される形で距離をとる。
再び目に見えない速さで剣士に追撃を加えるもそれを読んでいたのか剣士は受け止める。再度離れては俺はまた【英雄之軌跡】を行使し其の手に長く輝く槍を召喚した。其れは【全て貫く必中の槍】(ゲイボルグ)彼らには見せたことのない俺の秘密の武器。其れを剣士に向け投擲する。
其れは凄い速さで剣士へと迫りその体を貫こうとするも剣士は見事な剣捌きで其れを弾く、が其れは命をもっているかのように再び剣士に迫る。
「 っ..何!? 」
流石に驚いたのか剣士は声を上げるもまた再度退ける。俺はそれに合わせるように剣による斬撃を繰り出す流石に対応できなかったのか剣士の服は真っ赤に染まった。剣士は其の侭前に倒れようとするが心臓に再び動いた槍が刺さる鈍い音がして剣士は地面に伏せた。目的を果たした槍は光りの粒子となり消えていった。
「いやぁぁああっ..!」
僧侶が声を荒げて真っ赤になった剣士を抱き起こすも剣士は既に死んでいた。
俺の衣服は剣士の血によって真っ赤に染まってしまった。
「勇者さん..何で剣士さんを,,。」
「俺が、生きるためだ。」
「何で、どうして..?。人類の希望だった貴方が..!」
「俺は..生きる。」
「なんd..ッ..あ、ああ..!。」
涙を流した彼女が俺を睨み剣士の亡骸を強く抱き締めた彼女を俺は見つめる。
無駄と分かったのか亡骸をはなし立ち上がれば声を発したが一瞬で間合いをつめ彼女の腹部に剣を突き刺す、鈍い音をさせ、其れは彼女の体を突き抜けた。彼女は声にならない悲鳴を上げた。剣を彼女の体から引き抜けば彼女は前に剣士の死骸と重なるように倒れた。
これで残るは舞踏家だけ。そう思い魔王のほうへと視線をやれば既に舞踏家は地面に倒れ動かなくなっていた。
「終わったぞ。」
「そのようだな。どうだ、仲間を自ら手にかけた気分は?。」
「何とも思わん。」
真っ赤に染まった剣、血なまぐさい場所、仲間の死骸。
思い出すのは過去の彼らとの思い出、色々なことがあった、だが全部全てを殺してでも裏切ってでも俺は不死に、この世で生きたい。
――― 俺は全てを犠牲にしでも生きる、其れが俺の決意..今更後戻りなどしない。




