あの日の真実から未来の巻
引き続き2005年…
俺がちょっと用を足してる間に…
「南野!?どこいきやがった!」
トランシーバーで連絡を取り合うも混戦して繋がらない。混戦の理由はおそらくこの時代にもう一組の俺たちがいるからだろう。
とりあえず立ち止まったってしょうがない。
私は自分の家の前にいた。
「今度こそジョニー様に…」
家の2階を覗くと二つの影が見える。
「ちょっと昔の私!積極的なのはいいけどカーテンくらい閉めなさいよ!」
しばらくすると影が重なり始める。
あの時だ。キスしたあの時。
二つの影は引き離され部屋には私の姿しかない。
「たしか、ジョニー様急に走り出しちゃったのよね…」
部屋の玄関が開く。
暗くてよく見えないがジョニー様が出てきたのには間違いない。
その姿は門の表札の前で立ち止まったまま。
(みなみの…俺がジョニーだったのか…)
ジョニー様の声…聞き覚えがある。
すぐジョニー様は振り返り走り出す。
そして家に一番近い街灯の下をその姿がとらえた。
「え…北河くん」
私の中の全てが繋がった。
(俺の事ハンサムだと思うか?)
(会うことはお薦めしない)
前に京介と話したことが脳の中でフラッシュバックする。
そうか。ジョニー様は北河くんだったのか。
ふいにあの時に重なった自分の唇を触れる。
2015年10月4日午前6時。
益川は時計で時刻を確認するとタイムマシンを降りた。
「またどこだかわからない場所へ着いちゃったなぁ」
「その心配はありませんよ。益川教授。」
「マジでどこいってたんだ!」
京介はミヤコに一喝した。ミヤコは言い返すと思ったが何も言わない。何かおかしい。
「…勝手にいなくなるなよ。すげー心配したんだぞ。」
ふとミヤコが顔を上げた。
「心配してくれたんだ。」
京介の顔がひきつる。ミヤコの顔がやっとこちらを向いて無性に嬉しかった。
「…ここは俺たちの時代じゃないんだ…早く益川教授を追うぞ。」
「うん。」
京介はミヤコに時刻の確認をさせた。
「2015年10月4日午前6時?私たちが移動した時間は9時10分よね」
「南野のマシンはどこに落ちるかわからないから早めに設定したんだろう。」
「その心配はありませんよ益川教授。」
「京介さん、ミヤコさん。なぜ僕がこの時間にここにいるとわかったんですか?」
京介は時計を指差しマシンと時計が連動していることを伝えた。
「場所は勘です。だいたいそのマシンは400mごとに動いてたんで2005年に降りた福知山の麓から400mを探したんです。」
益川は頭を下げた。
そしてミヤコが口を開いた。
「益川教授…2005年に言ったこと…」
益川は京介とミヤコを見つめ口をは開いた。
「お二人が時空をさ迷うようになった理由ですよね。」
首を縦に振った。
「全ての出来事に意味があるかといわれればそうじゃない。今日のお二人の行動が全てをあきらかにしてくれますよ。」
俺は益川の行った言葉を何度も繰り返していた。
「俺たちの行動があきらかにするってなんだ?」
考えながら歩いていると本屋"影原〝の前にいた。
中に入ると時刻は午前7時前というのに千代さんは店頭にいた。
「千代さん、例の届いてますか?」
千代さんは本を京介に渡す。
俺は何も思いつかないので数式リラックスを読みながらそのことを考えた。
「私たちの行動があきらかにするですって?」
頭を捻るがまるでわからない。
知能的なことは小学校5年生の時点で置いてきた。
そんなことを考えると、ふと京介の顔が浮かぶ。
妙に高鳴る胸を強く叩いた。
「ミヤコじゃないか。どうした胸なんか叩いて?」
その声は高山師範代だった。
気がつけば道場の前を歩いていた。
高山から道場内へ促されウーロン茶を出され座り込んだ。
「ミヤコ。ワールドゲームス頑張れよ。」
私は一礼したが、おそらくこの心情では勝てない。
「師範代…1つお聞きしたいことが」
高山は優しく耳を傾けた。
「恋ってしたことありますか?」
高山の口から勢いよくウーロン茶が飛び出す。
なんだ急にと言わんばかりの目を向ける。
「…そりゃあるよ。昔もあるし、妻にはいつだって恋してる。」
高山は慣れない台詞に顔を赤らめた。
たがそのあと長くなるけどと口を開いた。
「昔、親の離婚やなんやで荒れてた時期があったんだ。大会で結果残してたもんだから、練習せずに遊びまくってた。そんときに…一人の女にあった。」
「奥さんですか?」
「いや…誰かわからんが俺は空手で秒殺された。そいつに会おうとしてもどの大会にもその姿はなかった。」
でも…
「結果的によかった。神様が俺の性根を叩き直してくれたんだと感謝した。そのときの俺は女は断つとか言っておきながら今の妻に会いすぐ恋に落ちた。」
それでも俺は…
「後悔はしてない。謎の女にやられたことも、妻に出逢えたことも全て運命だ。そのことが糧になりミ
ヤコみたいな弟子を育てられたんだからな。」
だからお前も…
「恋をしてるんだったら行動してみろ。結果はどうあれ、いつかお前はその行動に感謝するときが来るんだ。」
運命…全て運命。そうか。そういうことか。
「益川教授の言いたかったことは…」
私は道場を飛び出し、京介と連絡を取った。
「なんで商店街へ行かなきゃいけないんだ。折角本を読んでるってのに。」
京介は服にしがみつくミヤコを払おうとしたがその力は凄かった。
「タイムリーの意味がわかった。タイムリーは絶対に動かせないもの。つまり運命よ。」
京介の本を取り上げ、商店街へ行かなければ返さないと脅す。
「わかったよ。時間がネジ曲がっても知らないからな!」
なぜ商店街へいるのか。
ビール瓶の空き箱を借りて座り込んだ。
すると一匹の犬が俺に向かって飛び込んできた。
「なんだよ!」
笑いながらその犬の飼い主が近付いてきた。
「ギュウタン珍しいな。お前がなつくなんて。お前がなてくのはあの子ぐらいだろう。」
ギュウタンとは情けない名前だ。
もっといい名前があっただろうに。
「お、噂をすればもう一人のギュウタンの大好物がきたぞ。」
その目線の先には…女子空手部。
ということは…
「おはよーおじさん、ギュウタン!今度大会頑張るからね。」
ミヤコだ。まだタイムスリップする前の。
全てを思い出した。あの時、俺は蹴られたんだ。
つまり俺は蹴られなければいけない。
どうする…あれしかない…
「南野ミヤコ!」
こちらを振り向くミヤコ。
体は勝手に動いた。
その行動に抵抗はなかった。
「ミヤコちゃん…あんた」
犬をつれたおじさんはふいの出来事に失神してしまった。
重なった唇は離れ、ミヤコは膝から落ちるように崩れた。
「これで10年前のことはおあいこだ。さあ俺を蹴りに来い。」
江頭は研究室で眠っていた。その肩を叩く少年の影。
「江頭先生ですね。起きてください。」
江頭は驚いて椅子から転げ落ちた。
「坊や。ここは立ち入り禁止だぞ。」
その言葉を遮り少年は話し続けた。
「あなたは15年前に京介さんとミヤコさんに会ってますね。そして僕に会う予定が僕は既に旅立っていた。」
なぜそれを…それより、今僕と言った…
「益川教授ですか?まさか…うそ!」
江頭は少年を抱き締めて泣き出した。
だがそれをすぐに解き放ちこくこくと話しを続ける。
「先程宮里さんにも同じ話しをしました。今からあなたは京介さんを時空移動させるつもりですね。」
宮里は強い口調で返した。
「益川教授。まさか南野さんをマシンに乗せるなと?そんなことしたら…」
「いえ。南野さんは絶対にマシンにのせなければなりません。」
江頭は益川が何を言いたいのかわからなかった。
「マシンに北河くんを乗せてもよいならば何も問題ないですよね。何が言いたいのですか?」
「2人はすでに帰ってきています。なので2人が帰ってきてら…」
「タイムマシンを破壊してください。」
宮里は絶句した。この研究に命を捧げて来た者にとって重たすぎる言葉だった。
「私は15年前に亡くなったあなたの後を継ぎ今までやってきたのに…」
宮里は手で口を塞いだがもう遅かった。
「僕は15年前に死んだのですね。」
宮里はごめんなさいと何度も頭を下げるが益川はとても笑っていた。
「時空移動の犠牲者は僕一人で充分です。未来なんか知るものじゃない。」
江頭はその言葉に唖然とした。
「では…戻ったらタイムマシンの研究はなさらないおつもりですか!?そんなことすれば…」
「そんなことはしません!僕は時間の犠牲者だ。江頭さんに宮里さん、京介さん、ミヤコさんは知らないままの未来を生きてください。」
「なにより…僕はハンバーグが食べれたらそれで幸せです。」
校門の付近で蹴られる京介さんと蹴るミヤコ。
それを物置に隠れて拝見するもう一人の京介とミヤコ。
「クリティカルヒットしたな。痛そ~」
「そりゃ不意にキスされれば怒るわよ…」
お互いの顔を見合い気まずい空気。
ハッと目を背ける。
京介は目を背けたまま話しかけた。
「今しても怒るか…」
「……たぶん…怒りません…」
二人の顔が近付く。
その時ガラガラと物置が開き光が差し込んできた。
「ここにいたんですか!二人が保健室へ入りましたよ!」
益川の目先に赤面し、物置の両側の壁に張り付く京介とミヤコ。
時間旅行研究部、部室を開ける京介。そこでは江頭が驚いていた。
「なんと…自分から来てくれたのか?」
おそらく時空移動する前の京介と間違えている。
「宮里教授、違います。私はタイムスリップから帰ってきた方です。」
ミヤコの姿に残念そうな宮里はヘナヘナと椅子に座り込んだ。
「座り込んでる場合じゃないです。早く俺を保健室へ迎えに言ってください。」
京介の言葉に江頭は両手を天井向きに上へ上げた。
「わかっているんだが、方法が思い付かない。何せ…」
「あなた我が強いのよ。空手でやられたら一溜まりもないじゃない。」
ミヤコはムッとしたが自分のことなのでわからないでもない。
その時パラレルクラブの机に置いてある時計に気付く。
「これは…?私たちと同じ時計ですよね。」
江頭は時計を手に取り説明した。
「この時計は僕やあのバカ女の作ったものじゃないんだ。益川教授が作ったものさ。必ず必要な時が来るって。でもなんの時計かわからないんだ。」
ミヤコは時計を手に取り電源を入れた。
「使い方は私たちがわかります。これは私と北河くんのいる時間軸を知るもの。そしてトランシーバーの機能もある。」
俺はミヤコに連絡を取った。
「時計がトランシーバーになる。それでこっちから教授に連絡がとれるぞ。」
(でも4つも時計があったら混線するわよ。)
「時間をずらして使うしかないか…」
「でも4つも時計があったら混線するわよ。」
(時間をずらして使うしかないか…)
「そんな面倒なこと…何か他の方法は…」
その時パラレルクラブの扉が開いた。
「益川教授!」
宮里の声を振り払い益川は時計を手に取った。
「宮里さん、これは僕が作ったものですね。」
宮里は首を縦に振った。
「僕がバカじゃなければ違う時代の日付までわかるのに、同じ時代に複数あるだけで混線するような失敗はしないはずだ。」
しばらく考え、益川は一つの結論にたどり着いた。
「わざと混線するように作ったとすれば…」
「とりあえず、俺を保健室へ迎えに行ってください。」京介は江頭を急かしたが江頭は「計画不足だ。」とだだをこねはじめた。
その時部室の扉が開く。益川だ。
「今宮里さんとミヤコさんにも説明してきました。この時計について説明します。」
益川は時計の裏側の機械を分解し、ボタンを押した。
「これで、江頭さんと京介さんは連絡の取り合いが出来ますよ。」
おそらくトランシーバーのチャンネルを代えたのだろう。
その後益川がサイド口を開く。
「ただし、この時計を時空移動前の京介さんに渡すとき、チャンネルを戻してください。」
京介は、「チャンネルをかえなけらば連絡取れるならそのままでもいいんじゃないか」と問いかけたが
益川は全てを理解していた。
「京介さんが旅してきたときにずっと連絡がとれましたか?」
「いいえ、取れずに何回も困りました。」
「連絡が取れないのが正しい現実ならば、今から旅立つ京介さんとミヤコさんが連絡が取り合えるのはおかしいですよね。未来の僕の言葉を借りるならそれはタイムリーではない…」
江頭は保健室の前にいた。
「北河くん、こちらイヤホンに連動してるからちゃんと連絡をくれよ。」
(わかってますよ。)
「取り合えず何て言おうか?」
京介は何を言われたら自分が喜ぶかを考えた。
(とりあえず、誉めてみてください。君はうちの誇りだとか…)
江頭は保健室の扉を開いた。
ミヤコが京介の服をひっぱり、無性に怒っている。
一体何があったのか。
知るよしもなく江頭は口を開く。
「おはよう諸君」
そこにいる京介の目はバカにしたような目だった。
まるで、タイムマシン作ってるダメ教授だと言わないばかりに。
「忙しいんですけど」
やはり冷たく返事が返ってきた。
だがここで折れる訳にはいかない。
「北河くん…君の活躍、うちの誇りだ。そんな君に話がある。」
(教授!ストレート過ぎますよ!)
「…もう遅いよ」小さな声で返した。
(なら、もう力づくでつれてきてください。オリンピックに出る人間が暴力沙汰なんかしませんから)
「ちょっ!教授!なにすんですか!」
首根っこをつかみ無理矢理連れ出した。
「ちょっと!まだ話しは終わってないわよ!」
ミヤコがなぜ怒ってるのか想像もつかないが取り合えず京介を研究部前まで連れてきた。
少し部室前で待たせ江頭は部室に入った。
「北河くん!ここからどうすればいい?タイムスリップ前の君めちゃくちゃ怒ってたぞ!何故か南野くんと喧嘩してるし…」
それはいいんですと話しを遮った。
一つ手があるが使いたくなかった。だが仕方ない。
「江頭教授、これを渡してやってください。食いつくはずです。」
京介は今朝買ったばかりの本、数式リラックスを江頭に渡した。
江頭が本を見せると目を広げ驚いていた。
「なぜここに」と江頭の顔と窓に反射する自分の顔を比べ始めた。
「単刀直入に言おう、実はタイムマシンが出来たんだ。君に協力をお願いしたい。」
そういうと有無を言わせず部室へと引き込んだ。
急に入るもんだから、京介は机の下に身を潜めた。
見られてはいないか。二人の会話に耳を向ける。
「タイムマシンだかなんだか知りませんが無理です。数学オリンピックで忙しいですから。」
江頭が頭を下げるも全然納得しない。
この時の自分にイライラする京介。
「おまえが行かなきゃ何も始まらないんだよバカヤロウ…」
机の下に研究用の分厚い本があった。
それを手に取り、そいつの頭を目掛けぶん殴ってやった。
「いいかげんにしろクソ野郎!」
この時の京介はこちらを振り向くように倒れこんだ。お化けを見たような目で気絶してしまった。
江頭は尻餅をつきビックリしていた。
「あわわ…無茶苦茶だよ君は。本当にいいのかね。」
「すいませんちょっとイラついちゃって。でも仕方ないですよ。これで全て戻るんですよ。」
「今あのアホ男が北河くんを引きずって保健室を出たわよ。」
宮里と江頭の間に何があったのかはさておき、ミヤコはとりあえず、誉めてみてくださいと指示を出す。
宮里が保健室を開けると一人ベットの角に座りムスっとしているミヤコがいる。
「おはよう南野さん…あなたの活躍うちの誇りよ…そんなあなたに頼みがあるの」
(単刀直入すぎますよ!)
「…だって…なんて言えばいいのよ」もちろん小声で。
こちらのミヤコは「なんかどっかで聞いたような…」といっている。
宮里はそれでも食い下がらず「どうしてもお話があるの!」と口を開き続けた。
あらかじめミヤコにどうしてもと言われたら断れないと聞いていた。さすが自分のことはよくわかっている。
案の定部室までついてきた。
「お話とはなんですか?」
「実はタイムマシンが…」
「はい?」
「だからタイムマシンができたの。あなたに協力してもらいたくて。」
その会話をミヤコはカーテンごしに聞いていた。
その後も話しは続くが全然納得しない。
「例えタイムマシンが出来たとしても空手の練習があるんです。休めません。」
ミヤコはイライラしてきた。
宮里先生があんなに頭を下げてるのに。
クソ女…
ミヤコはカーテンをちぎりそれを被った。
そして得意の正拳地獄突きを鳩尾目掛けてお見舞いした。
一発で気を失う長年の鍛練が作り上げた代物だ。
こっちのミヤコは泡を吹いて失神した。
「自分では食らえないから。こんなに痛かったのね。」
ミヤコはカーテンを取り自分の拳の凄さを痛感した。
「無茶するわね~」
「あ、すいません。でもこうしなきゃ未来は変わってしまうんです。」
京介はミヤコのことを考えていた。
三階の開かずの間で江頭に指示を出しながら。
こっちの京介は目を覚まし、さっき殴ったのは誰だとしきりに聞いていた。
そんなことはどうでもいい。ここでこっちの俺が時期時空移動をする。
そうすればもうタイムマシンに乗る必要もなくなる。
だがこの旅がなければミヤコとこんなに知り合えなかった。
このままサヨナラなのはタイムリーじゃない。
しばらくするとこっちの京介は旅立ち、江頭教授が大きくため息を付いた。
「君たちのお陰で助かった。これでもう何も心配する必要もない。」
京介は首を大きく振った。
「江頭教授、まだ宮里教授が好きなんですよね?」
江頭はあんな女と息巻いたがその言葉には動揺が隠れ見えた。
「俺も好きな人がいる。これを伝えなきゃタイムリーじゃない。うまくいくかはわからないけど未来は自分達で作るんだ。」
京介は開かずの間の扉を開けるとおもむろに走り出した。
ついにこっちのミヤコが旅立った。
まさか自分が旅立ったところが、旧空手道場で唯一残った部室とは思いもしなかったがそんなことよりも時空移動の思い出が頭に残る。
もう過去にいく必要もない。でもなんか…泣けてくる。ミヤコは涙をぬぐい助かったと抱きつく宮里に話しかけた。
「宮里教授。まだ江頭教授が好きなんですか?」
宮里はビックリしたようで否定したがしばらくするとうつむき話し始めた。
「昔、変な男に抱きつかれたの。私も迷惑したんだけどそれを彼が見てしまって。じじいが好きな浮気女って言われてこっちも熱くなっちゃってそのまま…」
宮里は指でバッテンを作った。
ミヤコは宮里の手を握り口を開く。
「失敗も確執も誤解も…全て時間が解決してくれますよ。時間は振り替える為にあるものじゃありません。」だから…
「私も傷ついてもいい。失敗してもいい。何が起こっても時間が解決してくれるから。」
ミヤコは部室を飛び出した。
宮里が部室に戻ると一つの紙切れが机に置いてあった。
(あなたのタイムマシンは僕が過去に戻り壊します。お二人がなぜ喧嘩をしたのかわかりませんが、喧嘩をした過去も僕にとっては未来。お二人に会うのを楽しみにしております。これからは未来を信じて生きてください。では僕はこれで。京介さんとミヤコさんにもよろしく 益川)
「教授、ありがとうございました。」
涙ながらに頭を下げた先にかかる初代部長、益川の写真。
京介は校門の付近まで走った。
まだ生徒がポツポツといる。ふと立ち止まるとそこはミヤコに蹴られたあの場所だった。そして顔をあげた先に…
「南野…」
「終わったわね…」
京介は首を横に大きく振った。
まだ終わってない。ここから始まるんだ。
「好きだ。おまえが俺じゃなく、ジョニーを見てるとしてもそれでもおまえが好きだ。」
回りの生徒がざわつく。でもそんなことはどうでもいい。
「ジョニー様は、過去の人。私は未来を見て生きる…」
「私もあんたが好き。」
手を取り抱き合った。回り生徒が大きく声をあげ拍手をしているが別に恥ずかしくない。
「10年前助けてくれてありがとう…」
ミヤコの声に少し驚きながらもミヤコを離さなかった。