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少年から大人への巻

京介は目覚めた。さっき見た光景だ。


助手席のミヤコも目を覚まし、原理の成功を喜んだが少し違う。昨日に行く設定を直し忘れて、前に来た1985年の前日に来てしまう。


「30年後に行くには60年。未来も過去も行くには30年のズレができたのか…」


その時二人の背筋がゾクゾクと寒くなる。


子供の声が聞こえる…


(スゴイ…すごすぎる…)


ふと後ろにいたのは…益川教授。


「すいません!ついあなた方の姿を見て乗り込んでしまいました…殺したりしないでください」


二人は益川をマシンからおろした。


「益川教授!やっと会えたわね。これが私たちの出会いだったのね。」


なぜ名前を…教授?出会い?言ってる意味はわからないが、益川は詳しい話を聞いた。


「あなた方は未来人で、タイムマシンは僕の意思を受け継いだ部下が作った。そしてそれにどーいう訳か無理に乗せられ、もろもろ今に至るわけですね。」


益川は二人の目に異様に見えるほど冷静だった。


むしろその顔は喜びに溢れている様に見える。


「ちなみに俺は明日ここで1985年のあんたと会うんだ…」


後ろから誰かの足音が聞こえた。


3人は森の中に隠れた。だがその足音の主はこちらを一瞥し又登り始めた。そして手には紙袋。

   

「今のが…この時代の益川教授だ。俺たちが着るはずの服を持って上がったんだよ。」


「それより一瞬こっちを見なかった?なんで?」


二人は出来事にこんがらがるが益川少年は至って冷静だった。


「なるほど。」


二人は納得できなかったが益川は理由をこくこくと説明する。


「まずあなたたちに服を持ってきた理由、それは今さっきお二人に明日ここに来て滝に打たれたことを僕が聞いたからだ。そしてこちらを見たのは、ここに僕たちが隠れていることを知っているからだ。なぜならあの人は僕なんだから。」


二人は益川の説明につい小刻みな拍手をした。


やはり子供の頃から天才だったのだ。 


だが天才にもわからないことが起こる。また足音がする。その二人は男二人組で何やら話をしていた。


(数学は…車はやはり…風太のやつは…)


あ!


ふとミヤコの声が響く。


二人は気づいたのか去っていった。


「片方は私をナンパした男よ。車工場の社長。」


正確には明日ナンパされる男だがもういい。


そして京介は京介で止まっていた。


「あれは…間違いない…イリアネスバール博士だ!思い出した。俺が昔警察署で会った人。あの人だ。」


京介は興奮して躍り呆けた。そしてミヤコの手を握る。


「ナンパ男に会わせてくれ。イリア博士に会いたいんだ。」


普段冷静な京介の姿にミヤコもどうしていいかわからない。


「京介さんいけません。」


その声は益川少年だ。


「ミヤコさんがあの方に会うのは明日です。不用意な行動は時代のズレを生むかもしれない。何よりそれだけ尊敬できる方ならば、あなたの力で会いましょう。必ず会えますよ。」







ジョン、砂肝はそれぞれ目的は違うが同じ夢を追うものとして出会った。


出会いはこの場所、大学の裏山の小屋だ。


ここのOBではないが誰もいないため変人扱いされない。ジョンはここで数学の研究をし、砂肝は車の設計案を練る。ここの小屋はそんな2人をはちあわせた。


ちなみに実際は3人なのだ。もう一人山根という男もここで一人コントやギャグの練習をしていた。山根は今日は来なかったがここでそれぞれの意見を言い合うのが楽しみなのだ。


「数学は素晴らしい。実験もなく数のみですべてを導けるんだから。リーマン予想だっていずれ解ける!」


「ジョン、車だってすごいぜ。性能ももちろん大事だろうが、車はやはりデザインだろう。俺は今度恐竜のようなデザインを考えてるんだ。」


「数学の面で協力できたらするよ。ちなみに今日、風太は?」


「ギャグの考案で忙しいんだとよ。」


「外国人の俺でもあいつはつまらないからな。誰かギャグを売ってやればいいのにな。」


「そんなやついるかよ!!」


「あいつに明日本を頼んでるんだ。ネコババされないようにしなきゃな」


二人で笑っていたときだった。


(あ…)


女の声だ…それは数学でも、設計でも解けないもの。

「ジョン帰るぞ。こんなとこに女がいるはずない。あれはきっと…」


「やめろ!ガッデム!オバケキライ!」


大の男が全力で山をかけ降りた。


そこからこの山では夜毎叫び続ける女の霊がさまよっているという噂が流れた。









京介、ミヤコ、益川はマシンに戻り明日の日時に戻った。もちろん30年のズレがあるので、1955年経由で。


「ちゃんと私のマシンがあるわ。」


すべて益川の指示だった。30年計算を暗算で導きだしたのだ。もちろん30分のズレもだ。数学の分野でも活躍できただろう。


「今いるのは俺たちが1955年に飛んだ瞬間だ。だから南野のタイムマシンだけある。俺たちはもういない。」


実はここに来るときもうひとつ益川に言われたのだ。


別の時代の自分に会っては行けない。正確には同一人物と気づかれてはいけないらしい。


同じ時に同じ場所に二人存在することは絶対にできない。それをしてしまうと必ずねじれが起こりどちらかの存在が消えてしまう可能性がある。ドッペルゲンガーとも呼ばれる現象のようだ。


全て本で得た知識というのが不便な時代に育った益川少年の知能の源のようだ。


京介やミヤコでは歯が立たない。


「とりあえず降りますね。」


益川は降りてミヤコのタイムマシンをのぞきこんだ。


「こちらは椅子の形ですか。私の部下は仲が悪いのですか。なぜ2つも作ったのでしょう?」


「2000年の時点で二人は付き合ってました。ですがまた尋ねた時喧嘩をしてました。男女間のもつれみたいで…」


教授とはいえ、何を少年に話してるんだとミヤコが背中を殴った。そして言い争いになる。


益川は二人の様子に笑った。


「お二人は仲が良いですね。」


二人は反発した。


「ですが、お二人がここにいるのには必ず理由があります。もしかしたら…」


益川は何かを閃いたようだが口をつぐんだ。


そして益川はミヤコのマシンに座り、色んなものの位置、仕組みをノートにとりはじめた。

そして事件が起こる。


突然の雷だった。雷はマシンに乗る益川に直撃した。


「教授!」


二人はマシンの方に向かったが…マシンもろとも消えていた。


益川はマシンとともにどこかへ飛ばされたのだ。


京介とミヤコは内心焦りながらもあることに気がつく。


始めて少年の益川に会った場所。


「2005年だ!」









益川が気がつくと、そこはまだ見たことのない時代で京介のタイムマシンみたいなものが沢山走っている。


「また違う時代に来てしまった…ラッキー!」


その時鼻の中に嗅いだことのない心地のよい匂いが入ってきた。


その匂いのもとを訪ねてみる。


そこはカフェと呼ばれるなぞの飲食場だった。


匂いの元となった食べ物を頼んでみた。


そらは見たこともない丸くて黒くて牛のふんの様だったが、騙されたと思い口にいれてみる。


「…うますぎる…」


涙が溢れだしそうだった。


泣いてる益川に店員のおばさんが話しかけた。


「泣くほどうちのハンバーグは美味しかったのかい。ところであんたお金持ってる?」





通過単位が変わったのか、700円の大金を払えと言われ思わず逃げてしまった。


後ろからあの店の店主が大声で追いかけてくる。


どこを走っているのか全くわからない。


すると目の前に見覚えのある顔があった。

あの二人だ。


「京介さん!やっと会えた!」


京介はかなり不信感を抱いている。


「あなたはミヤコさん!」


こちらも同じだった。


つまりこの二人はまだ僕の存在を知らない、益川の頭脳でそれを導きだした。二人が益川の存在を始めて確認した瞬間だった。


「この人が珍しいものがあったら何でも食って良いって言ったんだ!」


ごめんなさい、京介さん。


心で謝りながら警察に終われる京介を見送った。


ミヤコも益川に怒っていた。


それは当然だが、それよりもまずタイムマシンの操作方法を聞かなくては。


「僕が誰か。それはいずれわかります。今は全て説明できません。とりあえず僕と一緒に来てください。」


「はっ?」







京介とミヤコは益川を追い2005年のあの日にやって来た。とりあえずとある草むらで作戦を練った。


「この時代の俺たちは絶対に会ってはいけない。」


「わかってるけど、あれは教授の理論上の話でしょ。」


そんな話をしてるとき、見覚えのある仔犬が捨てられていた。


「かわいい。連れて帰っちゃおうかな。」


「馬鹿か」


「馬鹿はないでしょ!」


京介は段ボールを運び隣の公園へ移した。


「諦めろ。ここにおいてれば誰かが拾ってくれる。」








さっき人間に拾ってもらえたと思って喜んでたら、ただ草むらから公園へ移動させただけだった。クソ!飼ってもらえると思ったのに。


公園へ来て5分した頃またあの人間が来た。今度こそ飼ってもらえる様にとびきり可愛い声で吠えた。


クンクン。


(可愛い…)


(会うんじゃないのかよ…)


(タイムマシンにのせてく…)


(ジョニー様に会えないぞ…)


さっき会ったのにまるで始めて見たかのような反応だ。まあいいや。


とりあえず拾ってくれたが犬だから人間が何て言ってるかはもちろんわからない。










益川はミヤコをタイムマシンの場所へと連れてきた。

「なんでここに?裏山に移動したはずなのに?」

まるで信じられないような目をしてる。


「なぜここにあるかはいずれわかります。とりあえず僕の話を聞いてください。」


ミヤコはその熱に押され頷いた。


「あなた方が誰かは知っている。なぜここにいるのかも。だけど旅を続けてください。まだ帰らないでください。次の時代は二人で話し合い決めるんです。」


「わからないけど、あなたにいずれ会うのね。なら北河くんにもつたえておくわ。」


「伝えないでください。本当はあなたにも伝えるべきかわからない。でも道標がないとどうしていいかわからなくなります。」


ミヤコの頭ではパンク寸前だった。


「気付かれれば仕方がないと思いますが…」






京介とミヤコが歩いているとミヤコがふいに立ち止まる。


「そうだ…バタバタして忘れてた」


京介は頭の?が消えなかった。


「…益川教授が前に言ったの。私たちでは道標がなければどうしていいかわからないと…」







「全て自然に任せればいい。しかしタイムスリップした現実を変えることはできない」


益川はミヤコに引き続き話していた。







「自然に任せるのはいいけどタイムスリップしたことはかえられない」


ミヤコの言葉を黙って聞く京介。







「今から言うことは全てに詰まったときに思い出してください。」







「行き詰まったら思い出してって」








「僕はあなた方の時代へいきます。二人がここへ来た理由を証明します。」







「私たちがタイムスリップした訳を教えるから、2015年へ戻れと…。」












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