お月さまと女の子
あるところに、小さな女の子が一人いました
優しいお母さんと、お父さんと、お兄さんと、お姉さん
そして、とてもとても暖かい心を持つ子でした
女の子はよる、窓から外を見ていました
キラキラと輝くほしたちが、同じように女の子を見つめました
「こんばんわ、おほしさま」
「こんばんわ、小さな女の子」
「おほしさまはとてもキラキラしていてキレイね」
「それはありがとう。でも、私たちよりお月さまのほうがキレイだよ」
女の子はお月さまをさがしました
すると、少しはなれたところに、キレイで明るくてまん丸なお月さまが、ぽかりと浮かんでいました
女の子がお月さまを見ると、お月さまも女の子を見ました
「こんばんわ、お月さま」
「こんばんわ、小さな女の子」
「お月さまはとても明るいのね。そしてとてもキレイ」
「それはありがとう。でも、私は一人なの」
女の子が見回すと、確かにお月さまは一人でした
一人でぽかりと浮かんでいました
「ほんとに一人ね。寂しくないの?」
「寂しいわ。とても寂しい」
「どうして一人なの?」
「私はとても明るいわ。ほしたちの光を消してしまうの。だから、みんな私の傍にはこれないのよ」
「お日さまは?」
「お日さまはよるには眠っているもの。それに、起きていても、近くに行ったら私が消されてしまって傍には行けないわ」
お月さまは悲しそうに言いました
女の子は悲しく思いました
どうにかできないか、女の子は一生懸命考えました
しかし、いい考えは思いつきません
困った女の子は、お兄さんとお姉さんのところへ行きました
「お兄さん、お姉さん、お月さまが寂しそうなの。どうすればいいの?」
「そうなの?なら、ほしのお友達をつくってあげたら?」
「そのほしのお友達は、どこにいるの?」
しかし、二人は首を横に振りました。
「僕らは知らない。お父さんに聞いてみたら?」
女の子はお父さんのところへ行きました
「お父さん、お月さまが寂しそうなの。ほしのお友達はどこにいるの?」
「知らないな、お母さんに聞いてみなさい」
女の子はお母さんのところへ行きました
「お母さん、お月さまが寂しそうなの。ほしのお友達はどこにいるの?」
「私も知らないわ。もうそろそろ寝なさい」
女の子は部屋に戻ると、そっと窓から外へ出ました
ほしのお友達を探したかったからです
みつけたかったのです
「風さん、ほしのお友達を知らない?」
「知らないなぁ」
「まつの木さん、ほしのお友達を知らない?」
「知らないよ」
「お魚さん、ほしのお友達を知らない?」
「知らない」
女の子はとうとう泣き出しました
どうしてこんなに探しているのにみつからないのでしょう?
泣き声を聞きつけ、野ネズミがやってきました
「どうしたの?どうして泣いてるの?」
「ほしのお友達がみつからないの」
「それなら、ものしりのふくろうに聞いてみようよ。きっと知ってるよ」
二人はふくろうの処に行きました
ふくろうは大きな優しい瞳で女の子をみました。
「どうしたんだい?」
「ふくろうさん、ほしのお友達がどこにいるか知ってる?お月さまに負けないくらい明るいほしよ」
ふくろうは首を困ったようにふりました。
「大体のほしは空にいるから、ここにはこないんだよ。時々落ちてくるが、それも朝になったらいなくなってしまっている。それに、そんな明るいほしは少ない」
「オレは見たぞ、さっきほしが落ちてきた」
女の子ががっかりとした時、ぐるぐるとしゃがれた声がしました
みると、木の根元に大きなヤマネコがいました
「ほんとう?」
「ああ、とっても明るいほしだ。あれならお月さまにも負けないさ」
「そこにつれてって!」
「ああ、いいさ。背に乗りな。ちゃんとつかまってるんだぞ」
女の子が乗ったのをかくにんしたヤマネコは、すぐに走り始めました。
風がみみもとで楽しそうに笑います
景色はどんどん後ろへ飛んでいっています
「ほら、あそこだ」
ヤマネコが指した処には、確かに明るくなっていました
近付くと、丸いとても明るいほしがいました
「こんばんは、おほしさま」
「こんばんは、小さな女の子。一つ頼みたいことがあるんだ」
「どうしたの?」
「空に戻りたいんだが、戻る方法がわからない。このままでは朝になって、私はお日さまのひかりでとけてしまう。助けてくれないか」
「いいわ、その代わり、お月さまのお友達になってあげて」
「そのくらいどうってことないさ。私はお月さまのひかりには負けないからね」
女の子はそっと明るいおほしさまを持ち上げました
おほしさまはほんのり暖かく、大人しく女の子のされるがままに任せていました
女の子はとても大きいすぎの木に頼みました
「大きなすぎの木さん、おほしさまを空に戻したいの。だから、あなたにのぼらせてほしいの」
「ああ、いいとも。さぁ、お乗り」
すぎの木は、一番したの枝をたらし、女の子をそっと持ち上げました
てっぺんに運んでもらいましたが、あと少しでとどきません
お月さまは悲しそうな顔をしました
そして、女の子に言いました
「あまり無理をしないで。ちょっと離れててもいいわ」
「いいえ、近くにもって行くわ」
すぎの木は一生懸命背をのばしました
女の子も背を伸ばし、手をめいっぱいのばしました
しかし、それでも足りません
「オレの背に乗れ」
いつの間にかすぎの木にのぼってきていたヤマネコがしゃがれた声で言いました
女の子はヤマネコの背を使い、おほしさまをお月さまのとなりにおきました
おほしさまも、お月さまも笑顔になりました
「「ありがとう、小さな女の子、ヤマネコ、すぎの木」」
「どういたしまして」
「別に、礼を言われるようなことじゃない」
すぎの木はてっぺんが地面につくくらいおじぎをしました
女の子はすぎの木をおりてから、すぎの木にお礼を言うとヤマネコの背に乗りました
景色がぐんぐんと後ろに飛んでいき、気が付くと自分の部屋の窓の処にいました
「ありがとう、ヤマネコさん」
「おやすみ、小さな、優しい女の子」
しゃがれた声で言うと、ヤマネコは走り出し、あっという間にみえなくなってしまいました
女の子は窓から入り、ふとんにもぐりこみすぐに眠ってしまいました
そのねがおを、空から月と、その近くにいるほしがてらしました




