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転校初日の久留井三兄弟

作者: 高平しま

連載中の小説『久留井三兄弟の非現実的な日常』(http://ncode.syosetu.com/n0556u/)の番外編的小説となります。

転校初日、女子に追いかけ回され、ぐったりな誠一・祥吾・彰の三兄弟です。

「「「ただいまー……」」」

 三人分の帰宅の挨拶を聞きつけ、久留井恭子はいそいそと台所から玄関へ向かった。

「おかえり! 学校はどうだったの?」

 にこにこと笑顔で三人を迎えた恭子に対し、息子たち――長男・誠一、次男・祥吾、三男・彰――は全員げんなりとした表情を浮かべている。

「ど……どうしたの、三人とも? 何かあったの?」

 ただならぬ様子に、恭子も真剣な面持ちで尋ねる。

 まさか転校初日にいきなり敵からの接触があったのでは、という嫌な予感が恭子の脳裏を掠める。だが、

「女子って怖ぇ……」

 長男の誠一の口から漏れた呟きは、恭子の想像の範囲外のものだった。

「ホント……あんな怖い思いは久々にした」

「あのパワーはありえないですよ。ザンギ●フだってビビりますよ、あれ」

 誠一のぼやきに同調した次男の祥吾と三男の彰も次々に愚痴る。

「なに、もしかしてあんたたち、女子に追いかけられでもしたの?」

 恭子の問いかけに、三人は同時に、深々と頷いた。

「思いっきり追いかけ回された」

「俺はずっと囲まれて、尋問されてる気分だった」

「僕も同じ感じでした」

 各々女子にされたこと――本人たちにとっては拷問に近いだろう――を報告する三人。

 あまりにぐったりした様子の息子たちに、恭子は思わず笑ってしまった。

「ちょっと、恭子さん! 笑い事じゃないんですからね、マジで!!」

 恭子の笑い声を鋭く聞きつけた正午が全力で抗議する。

 誠一と彰も「そうだそうだ!」と揃ってブーイングする。

「ごめんごめん。お詫びに美味しい夕食を作ってあげるから。早く手を洗ってうがいしてきなさい」

 美味しい夕食、という言葉に目を輝かせた三人は、先を争うように靴を脱ぎ捨て、洗面所へ急ぐ。

 その様子を見て、恭子は柔らかな笑顔を浮かべた。

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